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香港と台湾に行けなくなる? 「あんたが大将!」精神で中国と仲直りしてほしい

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:飛行計画 提出取りやめ(日本経済新聞)

僕は方向音痴かつ心配性なので、中国本土のように広大な土地に立つと、「道に迷ったらゴビ砂漠まで行ってしまうのではないか」という不安に駆られる。最初で最後の海外一人旅は上海だったが、早く帰国したいあまりに最終日は5時間前に空港に着いてしまった。

日本以上に小さな「島国」の香港や台湾ならば安心だ。どんなに迷っても周りは海。人口密度が高い場所に住む人たちに共通する繊細さも心地良く、比較的安全で、料理はすごくおいしい。

台湾は学生時代の卒業旅行で訪れたきりだが、香港は去年初めて行ってすっかり気に入ってしまい、できれば毎年行きたいと思っている(特にセントラルのSt Betty! 男の中の「乙女心」が目覚める店だ)。零細個人事業主の「ボーナス」である所得税の還付金が入る4月以降が楽しみだ。

しかし、香港や台湾にたどり着く航路に不安が生じている。今朝の日経新聞によると、中国が尖閣諸島上空を含む「防空識別圏」を指定したことに反発し、政府の要請で航空各社は中国に飛行計画を提出しないことを決めた。対象となる香港線と台湾線の便で、飛行計画を通告しない航空機は中国軍の「防御的な緊急措置」の対象になりかねない。

国交省は「民間航空機の安全確保を含め、中国側の措置にしっかり対応する」と言っているようだが、どのように安全を確保してくれるのかは不明だ。中国の戦闘機に撃ち落とされる危険もゼロとは言い切れないと感じる。

日本政府としては、日本の航空会社が中国当局に飛行計画を提出し続けると「防空識別圏」を暗に認めたことになってしまうため、提出拒否で「尖閣諸島は日本の固有の領土」だと意思表示をしたいのだろう。その気持ちもわかるけれど、香港と台湾に安心して行けなくなってしまう事態は回避してほしい。

なぜ中国と領土や領空を巡って争いが続いているのだろうか。対アメリカと違って、「負けるが勝ち」の精神を発揮していないからのように思う。

アメリカに限らず、中国やロシアといった大国は「オレ様がリーダーだ。偉いんだぞ」というプライドが強い。面子を潰されることを何よりも嫌う。

日本はどうなのか。国内のおじさんたちを見ると「お山の大将」的な威張りん坊は少なくない。しかし、国全体としては「国際的なリーダーになりたい。その責任も負い続ける」という気概は薄いと思う。立ててもらえるけれど荷も重い大国になるよりも、ズルくはないけれど如才なく立ち回ってメリットはちゃっかり享受するほうが向いている国なのだ。実際、戦後の日本はアメリカを「立てる」ことで様々な恩恵を受けてきた。

負けるが勝ち、あんたが大将!の気持ちで中国と接すれば、決して悪いようにはされないと思う。もちろん、アメリカの顔を立てることも忘れない。意地の張り合いは米中というお兄さんたちに任せておいて、日本は自由かつ安全な海外旅行を楽しめる平和な国であり続けてほしい。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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