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自衛隊の海外での取り組み、現状維持を望む人は7割近く、より積極的には2割

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
ハイチ地震での陸自部隊の支援活動も国際平和協力活動の一つ一つ(写真:ロイター/アフロ)

自衛隊による活動としては、海外における国際平和協力活動や国際緊急援助活動がある。他国との関係なくしては現状維持すら難しいほどに密接な関係を持つようになった国際社会においては、それらは日本の平和と繁栄に貢献する活動に違いない。一方でその行為については賛否両論がなされているのも事実。今回は内閣府が2023年3月に発表した自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査(※)の結果報告書から、人々は自衛隊の海外での活動について、どのような思いを抱いているのかを確認する。

自衛隊における海外の活動、国際平和協力活動とは【国際平和協力本部事務局】の区分によると、「国連平和維持活動(United Nations Peacekeeping Operations、国連PKO)」の他に「人道的な国際救援活動」「国際的な選挙監視活動」などが該当する。

↑ 国際平和協力業務の仕組み。国際平和協力本部事務局・公式ページより抜粋
↑ 国際平和協力業務の仕組み。国際平和協力本部事務局・公式ページより抜粋

自衛隊における海外の活動としては国際平和協力活動とは別に、海外の地域、特に開発途上地域において大規模な災害が発生またはその恐れがあり、被災国の政府などからの要請を受けた外務大臣からの協議があった場合に、防衛大臣が自衛隊に実施させる国際緊急援助活動がある。具体的には医療活動や輸送活動、給水活動などが行われるが、具体的な内容は個々の事案や要請内容によって決められる(【国際緊急援助活動等(防衛省・自衛隊)】)。

これらの自衛隊による海外の活動に対し、今後どのように取り組んでいくかを答えてもらった結果が次のグラフ。現状維持派が多数であり、より積極的な参加とまでは考えていないようだ。

↑ 自衛隊の海外での活動について(2022年)
↑ 自衛隊の海外での活動について(2022年)

これまで以上に積極的な活動を望む意見は2割、現状維持は68.1%。一方でこれまでから規模を縮小すべきとの意見は7.5%、取り組むべきではない、つまり自衛隊は海外での活動をすべきではないとの意見は1.4%でしかなかった。

男女別では男性の方が積極的な活動を望む意見が多く、女性は現状維持を望む人が7割を超えるほど。男性の方が自衛隊の海外での活動へのより一層の注力を望んでいるようだ。

年齢階層別では際立った傾向はなし。60代で突出して積極的な活動を望む人が多くなっているが、それも併せて定年退職をすると、自衛隊の海外での活動への積極さを求めるように見える。

今調査の他調査項目では自衛隊への期待に関し、「国連平和維持活動、国際緊急援助活動、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処など海外の活動」との説明で、今件活動への期待が寄せられていることが明らかにされている(30.5%の人が同意)(グラフ化は省略)。もっともその設問では「災害の時の救援活動や緊急の患者輸送などの災害派遣」(88.3%)や「周辺海空域における安全確保、島々に対する攻撃への対応など国の安全の確保」(78.3%)などの選択肢が上位についている。現状維持が7割近くもいるのは、海外よりもまずは国内、あるいは日本の周辺など直接日本にかかわりがありそうな地域での活動を、との思いがあるからなのかもしれない。

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※自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査

2022年11月17日から12月25日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた18歳以上の日本国内に在住する日本国籍を持つ人に対し、郵送法で行われたもので、標本数は3000人、有効回答数は1602人。有効回答者の男女構成比は757対845。年齢階層別構成比は18~29歳が170人、30代が162人、40代が240人、50代が276人、60代が306人、70歳以上が448人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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