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初期費用不要の住宅ローンとは

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 みずほ銀行は8月から、借入時にかかる初期費用を不要にする新たな住宅ローンの取り扱いを始める。銀行や保証会社に借入時に支払う手数料をなくし、顧客の負担は金利のみとする(29日付日本経済新聞)。

 住宅ローンは借入時に借入金額の2.2%を取扱手数料として徴収するタイプが主流となっており、さらに保証会社の事務手数料や保証料がかかる場合もある。

 この初期費用を無くすことで、顧客の負担は金利のみとする。ただし、変動型の最優遇金利は初期費用のかかる従来型の商品より0.2%高くする。

 長期にわたるローンとなれば、返済負担がむしろ大きくなるのではと思われるが、対象顧客はパワーカップルや富裕層となる。ちなみにパワーカップルとは、夫婦の両方が高収入を得ている共働き夫婦のことを指す。

 資金に余裕があるこれらの世帯では、ローンは短期間で返済するのが前提となったり、そのまま住み続けるのではなく、その後住み替えを考えたりするケースも少なくない。

 従来型であればローンを借り入れるたびに高額な初期費用を負担することになるが、新商品は初期費用が不要になるため金利を考慮しても、早く返済すれば総支払額を抑えられることとなる。しかもそれが複数回となれば負担を抑えることが可能となる。

 なかなか面白い住宅ローンとなる。家は一生で最大の買い物と言われた。私を含め、住宅ローン返済に苦労した人も多いのではなかろうか。

 しかし、みずほ銀行によると大半の住宅ローン顧客が当初期間35年で借りるものの、繰り上げ完済する人が多く、実質的な借入期間は平均で16~17年だそうである。短期間の返済や住み替えを検討する人も意外に多いとか。

 初期費用を不要にする新たな住宅ローンというのも、時代にあったものということができるのかもしれない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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