ネットやスマホ、高齢者はどれほど利用しているのか
利用者は3割足らず
インターネットの普及、技術進歩に伴い、それを用いる多様なインフラや商品が世の中に浸透し、社会の有り様を大きく変化させている。その急速な流れに高齢者達はどこまで対応しているのだろうか。インターネットそのものやスマートフォンなどの端末まで含めた情報通信技術ことICT(Information and Communication Technology)を、高齢者がどの程度活用してるかについて、内閣府が2015年3月に発表した「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」(60歳以上男女対象、郵送配布・郵送回収形式で2014年12月実施)の結果を元に確認していく。
調査の際に用いられた質問票ではICTとの表記は用いず、インターネットやスマートフォンなどの情報端末について、買い物や仕事、学習などの日常生活のツールとして利用しているか否かを尋ねている。全体では約1/4が利用している、7割近くが使っていないとの結果となった。
男女別では男性の方が利用率が高く、1/3を超えている。女性は2割に届かず。歳を経るまでの日常生活のスタイルが継続したかたちとなっているのだろう。ただし昨今ではむしろ女性の方がスマートフォンを積極活用していることから、今後は女性の方がICTの利用状況の値が大きくなる可能性はある。
世代別ではきれいな形で高齢層ほど利用率が低い。60代前半では5割近くに達しているが、70代になると2割にまで減る。元々若い時にICTとの接触があまり無かった世代であることに加え、視力をはじめとした身体的な衰えがハードルとなっていると考えられる。
現職の内容別では?
続いて現職内容別でICTの利用実態に違いは生じるのか否かを確認する。
現在の就業形態別では仕事でICTを使う可能性が高い職種ほど、高い値を示している。正社員、役員が過半数、自営業・個人事業は4割近く。社員でも非正規の場合はパートやアルバイトでICTを使わない事例も多々考えられることから、正社員と比べると値は低い。他方、在宅就労では低めの値が出ているのはやや意外なところではある。
ICT技術は身体的な老化や地域社会の過疎化など、高齢化に伴う諸問題の原因となる要素に、大きな状況改善をもたらす可能性を秘めている。大いに有意義さ、メリットを享受できるであろう高齢者には積極的に活用をしてもらいたい。同時に開発・提供側は、不慣れな人でも容易に、スマートに、そして安心して利用できるよう、十分以上の配慮を求めたいものだ。
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