「最近の若者は税金にお金を使ってる」は本当? 負担はどれだけ増えたのか
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本記事公開時点で約20万件のいいねやリツイートがされており、広く共感を得ているようです。
若者は一体、どのぐらい税金や社会保険を払っているのでしょうか?調べてみました。
20代後半の人の負担率は25%
国税庁の民間給与実態調査によると、25-29歳の給与所得者の平均金額は369万円とのこと。そこから社会保障や税金の負担率を試算すると下記のようになります。(試算前提の詳細については記事末尾に掲載)
厚生年金と健康保険、源泉徴収所得税、雇用保険、住民税等が控除されます。また、手取り額から支出をする際にも消費税がかかります。食材の購入や外食はもちろん、携帯電話代、電気代、交通費など、家賃以外のほぼ全ての支出に消費税がかかります。
これらの負担を全て合計すると、収入の25%に相当することがわかりました。
他の年齢層も大きく変わらない
25-29歳以外の年齢層でも、負担率はそう大きく変わりません。
若者の給与はどうなっているのか?
平成9年(1997年)からの調査は下記のようになっています。
若者世代の平均給与は1997年からリーマンショックのあった2009年ごろまで一直線に下がっています。そこから現在まで、少し回復はしていますが、それでもまだ20年前の水準には戻っていません。
上がり続ける税金・社会保障負担
その一方で、負担は上がり続けています。
収入は上がらないで、支出ばかりが増える状況が長く続く中、若者世代が将来に不安を持ち、お金を使わない傾向になるのは致し方ないのではないでしょうか。「若者は何にお金使ってるんだ」と言われても、絞られた後だし、この先不安なので使う気にならない、というのは事実そのままの反応かもしれません。
税金はまだまだ上がる
更にこの先、税金が上がることは確実です。新型コロナウイルス対策のために国や自治体が使ったお金を回収しなければならないからです。東日本大震災の後、復興特別税が創設されました。2013年以降、所得税が+2.1%加算されています。これは2037年まで25年間続きます。この増税によって見込まれる税収増が10.5兆円。新型コロナウイルスについては、すでに10兆円以上の税金が使われていますので、東日本大震災の復興特別税を上回る規模の増税となることはほぼ間違いありません。
それらの税金を支払うのは、現役世代。特に、若い世代の人ほど、長い期間に渡って支払っていかなければなりません。
若者に大きな負担をかけてまで徴収している税金と社会保障費。せめてその使い方だけでも、明るい未来につながるような意義のあるものにしてほしいと思います。
(備考)本件記事の試算の詳細
【年収】民間給与実態調査は給与所得者を対象としており、自営業、個人事業主は含まれません。
【月収】令和元年賃金構造基本統計調査によると、正社員の賞与は20-24歳が1.82ヶ月、25-29歳が2.7ヶ月、30-34歳が2.9ヶ月です。非正規社員の場合20-24歳が0.37ヶ月、25-29歳が0.54ヶ月、30-34歳が0.57ヶ月です。正社員と非正規社員の比率はこの年齢層では8対1ですので、全体の賞与は平均2ヶ月分と推定しました。そこから、民間給与実態調査で公表されている年収を14で割ったものを月収としました。
【消費税】2019年家計調査によると、20代、30代の世帯において、食費、交通費、娯楽など、消費税のかかる支出の収入に対する割合は43%でした。したがって、手取り収入の43%を課税支出として計算しています。
【住民税】前年度収入は今年と同じとして計算しています。
【健康保険】協会けんぽ(東京都)の保険料額表を用いて計算しています。
※ タイトル画像はいらすとや素材などを用いて筆者が作成。
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