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ウクライナ軍、ドイツが第二次大戦から使っていた"動く爆弾ロボット"「ゴリアテ」でロシア軍の陣地を爆破

佐藤仁学術研究員・著述家
"動く爆弾"「ゴリアテ」を操作するウクライナ兵(ウクライナ軍提供)

2023年3月にウクライナ軍はドイツ製の「ゴリアテ」を使用してロシア軍の塹壕を攻撃して爆発させていた。「ゴリアテ」はドイツ国防軍が第二次大戦時から使用していた。リモートで操作して敵の陣地に「ゴリアテ」が行って爆発する。いわゆる"地上を動く爆弾ロボット"である。

今回のウクライナ軍が使用した「ゴリアテ」にはロシア製の地雷が搭載されていた。ロシア軍の陣地で爆発する様子を小型ドローンで上空から撮影した動画も公開されている。

ウクライナ軍では上空からのドローンによる攻撃シーンなどを撮影して公開しているが、「ゴテリア」で攻撃するシーンを公開するのは非常に珍しい。

爆弾を積んだロボット(ゴリアテ)が地上から来て標的の場所で止まって爆発する。上空から突っ込んでくるドローンのようにスピードはないが搭載している爆弾の量が多いので、爆発すると破壊力があり被害は大きい。

ドイツ軍は第二次大戦時から"動く爆弾"「ゴリアテ」を使っていた。1944年のワルシャワ蜂起でもポーランド軍やパルチザンを鎮圧するために使用した。だが、ポーランド兵によってケーブルが破壊されて機能停止してしまったり、銃撃で破壊されていた。ゴリアテはケーブルを切断されると機能停止してしまうものが多い。ワルシャワ蜂起を描いた映画「地下水道」でもゴテリアのケーブルが切断されて停止するシーンがあった。

▼ウクライナ軍が「ゴリアテ」を使用してロシア軍の塹壕を攻撃して爆破

ゴリアテは旧約聖書に登場するダビデに石で殺される巨人兵士。旧約聖書の「第一サムエル記」でダビデと戦うゴリアテは巨人だが、兵器の「ゴリアテ」は小型の動く爆弾ロボットである。第二次大戦時にドイツはユダヤ人を差別・迫害して約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコーストを起こしている。そのドイツがユダヤの聖典である旧約聖書から兵器の名称を取っているのも興味深い。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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