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山本由伸は契約6年目を終えた時点でオプト・アウトするのか。年齢は31歳、残りは6年1億7000万ドル

宇根夏樹ベースボール・ライター
山本由伸(左)とマコ・アルビー Dec 27, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 山本由伸は、ロサンゼルス・ドジャースと12年3億2500万ドル(2024~35年)の契約を交わした。それまで、投手が得た契約の総額は、ゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)の9年3億2400万ドル(2020~28年)が最も高かった。

 APのロナルド・ブラムによると、3億2500万ドルの内訳は、契約金が5000万ドル、2024年が年俸500万ドル、2025年が年俸1000万ドル、2026年が年俸1200万ドル、2027~29年の年俸が各2600万ドル、2030~31年の年俸が各2900万ドル、2032~35年の年俸は各2800万ドルだ。

 山本は、契約6年と8年目が終わった時点、2029年のオフと2031年のオフに、オプト・アウトできる。ただ、2024~29年にトミー・ジョン手術を受けるか、右肘の怪我によって134日以上続けて故障者リストに入ると、オプト・アウトのタイミングは、2031年のオフと2033年のオフにずれる。また、トレード拒否権はないものの、トレードで移籍すれば、そのシーズンの終了後にオプト・アウトが可能になるという。

 ブラムが報じたとおりだとすると、右肘の怪我に見舞われることなく、ドジャースで投げ続けた場合、まず、2029年のシーズン終了後に、契約の打ち切りか継続、オプト・アウトかオプト・インを選択することができる。この時点で、契約の残りは6年1億7000万ドル(2030~35年)、年齢は31歳だ。山本は、2029年の夏に31歳の誕生日を迎える。

 これまでに、総額1億7000万ドル以上の契約を手にした投手は、山本以外に延べ11人を数える。そのうちの4人は、契約1年目のシーズン年齢(6月30日時点)が31歳以上なので、2030年の山本と同じか、それよりも上だ。

筆者作成
筆者作成

 スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)の7年2億4500万ドル(2020~26年)とアーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)の7年1億7200万ドル(2024~30年)の契約は、どちらも、31歳から37歳まで。ザック・グレインキー(現FA)の6年2億650万ドル(2016~21年)は32~37歳、ジェイコブ・デグローム(テキサス・レンジャーズ)の5年1億8500万ドル(2023~27年)は35~39歳だ。

 これらの前例からすると、山本が2029年のオフにオプト・アウトし、6年1億7000万ドルを上回る契約を手にする可能性は――それまでの山本のパフォーマンスと、ここからのFA市場がどう変化していくかにもよるが――ありそうな気がする。

 ちなみに、契約前の3シーズンは、2013~15年のグレインキーが、602.2イニングで奪三振率8.29と与四球率1.93、防御率2.30とFIP2.97。2017~19年のストラスバーグが、514.1イニングで奪三振率10.69と与四球率2.47、防御率3.15とFIP3.16。2020~22年のデグロームが、224.1イニングで奪三振率14.12と与四球率1.48、防御率2.05とFIP1.80。2021~23年のノラは、579.1イニングで奪三振率10.25と与四球率1.76、防御率4.09とFIP3.31だった。

 FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 4人のうち、デグロームは、イニングが極端に少ない。2020年は短縮シーズンだが、その後の2シーズンも、100イニングに届かなかった。けれども、他のスタッツは素晴らしく、その前の3シーズン(2017~19年)は、622.1イニングで奪三振率11.03と与四球率2.15、防御率2.53とFIP2.70を記録している。

 なお、オプト・アウトした場合も、山本は、他球団へ移るとは限らない。FAとなった後、ドジャースに戻ることもあり得る。あるいは、オプト・アウトの前、2029年のシーズンが終わるまでにドジャースと交渉を行い、延長契約を交わすことも考えられる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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