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番狂わせなんかじゃない!WBCイスラエル代表の真の姿

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
韓国戦で3回無失点の好投を演じたマーキー投手はMLB在籍15年の実績を誇る(写真:ロイター/アフロ)

延長戦の末、優勝候補の一角と目されていた韓国代表を破ったイスラエル代表。大会初出場であり、決して野球が盛んではない国の代表チームとしてノーマークの人も多かったことだろう。

しかしイスラエル代表とは名ばかりで、MLB経験者も加わり現役マイナー選手中心に構成された、バリバリの強豪チームだったのだ。

韓国代表戦にしても、出場した全選手が、メジャーもしくはマイナーでMLB球団に在籍経験をもつ選手ばかり。特に先発したジェーソン・マーキー投手は2015年からMLB公式戦登板はないものの、MLB在籍15年で通算124勝を記録する大物投手だった。

さらに野手にしても出場選手11人のうち、サム・ファルド選手やアイク・デービス選手らMLB在籍経験者が5人含まれているのだ。まさに“第2”の米国代表チームといっても言っていいくらいだ。

だからと言って、実力あるメンバーを揃えただけで、イスラエル代表チームが韓国代表に勝利できたわけではない。この大会に合わせてしっかり準備してきたからだ。これは他の機会でも何度も指摘している通りだ。

代表チームとしてWBCに照準を合わせ、しっかり準備してきたチームが強かったのは第2回大会までのこと。4年前の第3回大会では、韓国代表は1次ラウンドで敗れ、準決勝進出チームも侍ジャパン以外は、ドミニカ代表、プエルトリコ代表、オランダ代表と、決して準備が十分でなかったチームがしっかり勝ち進んでくるようになった。

それはチームとしてではなく、参加選手たちの意識が変わり始め、WBCでプレーする準備をするようになってきたからに他ならない。現在アリゾナでキャンプ取材を続ける中で、より一層肌で感じることができている。

前回大会で1次ラウンドで敗れた韓国代表は、初の地元開催ということもあり、雪辱を期して今大会に臨んでいたはずだ。それでも大事な初戦を落としてしまったのだ。

もう過去のトレンドは通用しない。まさに今大会の波乱を予測させるような一戦だったようが気がする。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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