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『小豆畑真也選手に聞いてみました』前編

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

あっという間に三が日も終わり、帰省していた方は日常が待つ我が家へと戻ってこられたころでしょうか。仕事始めは週明けという会社が多いので、とりあえずはパワーチャージですね。年賀式や新年会もありますから、しっかり備えてください。

さて、ことし2年目を迎えた選手たちの話をお送りする、シリーズ『○○選手に聞いてみました』。第2回は小豆畑真也選手(25)の巻です。小豆畑選手はよくしゃべってくれて、取材をする側としては本当に助かりました。今回も忙しい中で一生懸命、ていねいに答えてもらったので一度に全部を書ききれません。よって前編、後編に分けてご紹介します。

前編はルーキーイヤー回顧。最初に通算成績をごらんください。なお盗塁と盗塁阻止についてはファームの場合、公式な記録がありません。下に書いたものは私が把握できた範囲での数字ですので、参考としてごらんください。

  • ウエスタン公式戦

52試合 101打席 91打数14安打1打点 打率.154

本塁打0、三塁打0、二塁打2

盗塁0(失敗1)

三振16、四球5、犠打5

失策5 捕逸2  盗塁阻止率.258(盗塁23、阻止8)

  • 非公式戦(教育リーグ、育成試合、練習試合等)

28試合 71打席 63打数18安打8打点 打率.286

本塁打1、三塁打1、二塁打5

盗塁2(失敗0)

三振7、四死球6、犠打2(失敗1)

失策0 捕逸2  盗塁阻止率.355(盗塁20、阻止11) 

  • フェニックスリーグ(練習試合も含む)

15試合 34打席 29打数6安打3打点 打率.207

本塁打0、三塁打0、二塁打1

盗塁1(失敗0)

三振4、四球5、犠打0

失策0 捕逸1 盗塁阻止率.500(盗塁4、阻止4)

「力不足…プロは甘くなかった」

ルーキーイヤーを振り返って、まずひとこと「力不足」と表現しました。「自分の力がわかった1年。もっともっと練習しなくちゃいけないと痛感した。採点するなら50点です。年齢が年齢なので即戦力として指名していただいたのはわかっているけど、自分の力で活躍できるとは思っていなかったんです。時間のかかるポジションだし。だからケガとかせずに、1年間ゲームに出続ける環境にいられたらというのが、もともと思い描いていたことでした。でもプロはそんなに甘くなかった。テレビで見るのとは違う世界だとわかりました。表に出ない部分で大きな差がある」

西濃運輸では『二塁への送球タイム1.78秒の強肩捕手』として注目され、ドラフト4位で入団。しかし春季キャンプ後に実戦が始まると、その肩をなかなか生かせません。教育リーグや公式戦で1試合に2つ、3つと盗塁を決められ、送球もうまくコントロールできない場面が続きました。ファンの皆さんは期待感が大きいだけに、ため息がもれることも。とはいえ慣れてくると阻止率も上昇し、上の成績でもわかるように秋のフェニックスリーグでは本領を発揮しています。

痛恨のミスにより1回で交代

印象に残っている試合を聞くと、1軍戦出場などは別として、たいていの選手は特にないと答えます。ところが小豆畑選手は「最後の試合」と即答。5月28日に四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスとの育成試合で放った満塁ホームランではなく、昨年9月29日、鳴尾浜で行われたウエスタン最終戦(対ソフトバンク)のことでした。1回にエラー絡みで3点を取られ、そのまま迎えた9回裏に1点差まで追い上げ、中谷選手の逆転3ランでサヨナラ勝ち!確かに劇的な試合ではありますけどね。

「いえ…1回で代えられたことです。荒木、西田と僕の3人」。思い出しました。1回の表、1死からショートゴロを捕ろうとした西田選手が、地面に手をついて出遅れるエラー。盗塁阻止を狙ったキャッチャー・小豆畑選手からの送球をセカンド・荒木選手がポロリ(エラーではありません)。ついで四球と三振で2死一、二塁となりますが、ここで振り逃げ(三振と暴投)で満塁。さらに暴投で先制を許し、四球でまた満塁として2点タイムリーという展開でした。

その裏の攻撃が終わったところで3人いっぺんに交代となったわけです。もちろんベンチに下げられたことではなく「シーズン途中は、春先に比べるとよくなったとは思いましたが、最後の勝って終わらなくちゃいけない試合で…」と、バッテリーエラーでの先制点を猛省。相当悔しかったのでしょう。「あれを自分にとっての原動力にしたい。あのミスがあって頑張れたと思うか、あれがすべてだったとなってしまうのかは自分次第です」。いい思い出だったと言える時が来るよう、あえてミスの記憶を挙げた小豆畑選手の今季に期待しています。

入団前に最速1.78秒だった二塁への送球タイムですが、秋季キャンプ中にそれを更新して1.71秒をマーク!“球界最速”という新聞記事が出ていましたね。もちろん練習と試合は違うでしょうけど、ことしは速く強く正確に刺すところを見せてください。キャッチング、リード、そしてバッティングでもアピールです。

小豆畑選手のプライベートクエスチョンは、後編に続きます。お楽しみに。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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