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トランプ・トレードが加速?トランプ・トレードって何?

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ前大統領の銃撃事件を受け、15日の米国市場では同氏の大統領再選を織り込む「トランプ・トレード」が加速した。トランプ・トレードとは、もしトランプ氏が米大統領に返り咲いたら、どんな政策をしてきそうなのか、それを考慮した売買(トレード)である。

 15日の米国株式市場では、財政拡張や規制緩和の恩恵を得られそうな銘柄が買われた。キャタピラーやゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどが買われた。

 不法移民に対して厳しい姿勢をとるトランプ氏の再選で国境管理が厳しくなり、取り締まりが強化されるとの見方から刑務所運営のジオ・グループやコアシビックも買われたとか。

 トランプ氏が掲げる関税強化、減税による物価上昇や財政悪化が意識され、トランプ政権となった場合に米長期金利に上昇圧力がかかる可能性が強まったことから、15日の米債は売られた。

 トランプ氏が大統領に返り咲いた場合には、FRBの金融政策に干渉してくる可能性が強まる。

 通常であれば、金融緩和を推し進めようとするであろうが、バイデン大統領の政策によって物価高となったとして、そこを争点としてくるのであれば、ドル安を促すこととなる金融緩和には躊躇してくることも予想され、こちらは良くわからない。

 経済においても再び混乱は招きそうだが、株式市場は好感してくる可能性がある。それに対して米債はどうなるのか。

 FRBの金融政策の行方には不透明感を強めそうだが、関税強化や減税などが意識されれば、米長期金利の上昇を促すことも予想される。

 米大統領選挙の行方については、まだまだ不透明要素も大きいが、金融市場への影響も少なからずあることで、こちらの動向にも注意したい。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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