長期的な「肥満者」「やせの者」の割合変化をさぐる
・男性はどの年齢階層でも肥満者の比率は増加中。
・女性は40代から60代で肥満者の比率が減少中。
・女性は30代から60代でやせの者の比率が増加気味。
最近では中堅層の肥満や若年女性のやせ具合が問題視されている。統計上はどのような実情なのだろうか。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(※)の公開データから確認する。
BMIは肥満度を表す一つの指針で、Body Mass Indexの略称。計算式は簡単で「体重÷身長÷身長」と表せる。BMI値が測定出来た人を肥満(BMI≧25.0)・普通(18.5≦BMI<25.0)・やせの者(BMI<18.5)に区分している。
この値を元に「肥満者」「やせの者」の比率動向を年齢階層別に確認していく。まずは男性。
男性はどの年齢階層でも肥満者の比率が増えている。つまりふとましい傾向が強くなっている。詳しく見ると30代から60代まではほぼ同じペースで、20代はやや緩やかに、そして70代以上は今世紀に入ってから上昇率が大きくなっている。ただし70代以上は寿命が延びるに連れて、より高齢層の比率が高まっているため、それも一因と考えられる(高齢層属性のより一層の高齢化)。
他方やせの者の比率では大きな変化は無し。数字の上では60代から70代以上で減少の動きがあるが、70代以上に関しては肥満者同様に「より一層の高齢者」の比率の増加が一因だろう。しかし60代も減少している以上、高齢者におけるやせの者の割合が多少だが減っていると見て問題はなさそうだ。
続いて女性。
肥満者に関して30代以下は大きな動きは無し(2015年の30代における大きな減少はイレギュラーの可能性が高い)。20代で最近上昇する気配も見せているが、この動きが確定的なものかはもう少し様子を見る必要がある。他方40代から60代では20代の上昇とほぼ同じタイミングで減少の動きを示している。
やせの者の比率は20代では前世紀に一段上昇する形で増加した後は横ばい、30代から60代までは今世紀に入ったあたりから増加の動きが生じている。女性のスリム化が進んでいる、一部で話題に上る過度なダイエット関連の話を想起させる流れではある。あるいは女性の就業率が高くなるに連れ、他人、中でも異性の目を気にして体格に注意を一層払うようになったとの説も、あながち的外れでは無い気がする。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。直近年分の調査時期は2016年10月から11月。調査実施世帯数は10745世帯で、調査方法は調査票方式。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。