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「日本シリーズ優勝から最も遠ざかる球団」と「ワールドシリーズ優勝から最も遠ざかる球団」の共通点

宇根夏樹ベースボール・ライター
広島東洋カープはリーグ3連覇を目前としている Sep 19, 2017(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 広島東洋カープは、3年連続リーグ優勝を目前としている。ただ、日本シリーズで優勝したのは、33年前34年前の1984年が最後だ。どの球団よりも日本一から遠ざかっている。この状況は、「最もワールドチャンピオンから遠ざかる球団」が、今秋もポストシーズンへ。悲願成就の鍵を握るのは」で紹介した、クリーブランド・インディアンズと似ている。

筆者作成
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 広島のリーグ優勝と同じく、インディアンズの地区優勝も2016年から続いている。ともに、3連覇がかかった今シーズンは、他球団を大きく引き離した。

 現在、広島が「日本シリーズ優勝から最も遠ざかる球団」であるのに対し、インディアンズは「ワールドシリーズ優勝から最も遠ざかる球団」だ。1948年を最後に、ワールドチャンピオンになっていない。

 また、広島とインディアンズのキャップには、どちらもCのロゴがついている。かつて、インディアンズはワフー酋長の顔をメインのロゴとしていたが、数年前にCへ変更した。来シーズンからは、ワフー酋長の顔をまったく使わなくなる。

 さらに、ここからは牽強付会の感もあるが、広島で指揮を執った外国人監督は、2人ともインディアンズからやってきた。ジョー・ルーツは、1973年までインディアンズでコーチを務めた後、1974年に広島の打撃コーチに就任し、1975年から監督となった(シーズン序盤に退団)。マーティ・ブラウンは、選手としても監督としても、インディアンズから広島へ。1992~94年に広島でプレーする直前は、インディアンズ傘下のAAAにいた。2006~09年に広島を指揮する直前は、インディアンズ傘下のAAAで監督を務めていた。

 ちなみに、日本シリーズ優勝後の「空白期間」は、中日ドラゴンズの52年間(1955~2006年)が最も長く、この他、北海道日本ハムファイターズの43年間(1963~2005年)、横浜DeNAベイスターズの37年間(1961~97年)、福岡ソフトバンクホークスの34年間(1965~98年)も、広島の33年間(1985~2017年)を上回る。

 広島が今年も日本シリーズで優勝できなければ、福岡ソフトバンクと並び、歴代4位の長さとなる。先日の記事で書いたとおり、インディアンズはワールドシリーズ後の「空白期間」で、歴代4位に位置している。

 もっとも、広島とインディアンズは、この秋に別の共通点を作り出すかもしれない。揃って頂点を極め、それぞれが持つ「日本シリーズ優勝から最も遠ざかる球団」と「ワールドシリーズ優勝から最も遠ざかる球団」の称号を返上する――。両球団の力をもってすれば、あり得るシナリオだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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