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トランプ大統領就任で米国プロスポーツ界に及ぼす影響は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
第45代大統領に就任したドナルド・トランプ氏(写真:ロイター/アフロ)

ドナルド・トランプ氏が20日、正式に第45代大統領に就任した。

その就任演説では、これまで繰り返してきたように「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」の姿勢を鮮明に打ち出した。そして演説の中で以下のような発言も行っている。

「貿易、税、入国、外国交渉において、今後はすべてにおいてアメリカ人労働者、家族に有益であるようにしていかねばならない。我々の雇用を破壊し、企業を奪い、我々と同じ製品をつくる諸外国の損害からしっかりと我々の境界を守っていかなければならない」

内容は選挙運動中から繰り返してことで目新しいものではないが、これを米国のプロスポーツ界に置き換えると、多少なりとも不安を感じてしまうのは自分だけだろうか。

ここ最近、米国のプロスポーツ界での外国人選手の台頭は目を見張るものがある。いわゆる4大スポーツを見ても、NFLは未だアメリカ人選手主体ではあるものの、それ以外のMLB、NBA、NHLでは年を追うごとに外国人選手の占有率が増している状況だ。新大統領の思惑とは正反対に、どんどんボーダーレスが広がっているのだ。

外国人選手は米国政府にとって貴重な高額納税者であることは間違いない一方で、大統領が忌み嫌うアメリカ人アスリートから職場を奪っている存在でもあるのだ。果たしてトランプ新大統領はこの状況を看過できるのだろうか。

これまで4大スポーツの優勝チームは大統領から招待を受け、ホワイトハウスを表敬訪問するのが習わしになっている。つい先日も108年ぶりにWSを制覇したカブスの選手たちがホワイトハウスを訪問し、オバマ前大統領から祝福されている。

ちょっと話が横道に逸れるが、MLBの優勝チームはシーズン中のワシントンDCもしくはボルティモア遠征に合わせ、ホワイトハウスを訪問するのが通例だった。しかし今回は、かつてイリノイ州知事(シカゴがある州)だったオバマ前大統領が離職前にカブスを招待したかったという要因があったようだが、これでトランプ新大統領がカブスを招待することはなくなったようだ。

しかし今後他の優勝チームがホワイトハウスに招待された場合、トランプ新大統領は外国人選手たちも手厚く歓迎するのだろうか。もしくはアメリカ・ファーストの姿勢を貫く大統領に対し、招待を拒否する外国人選手が現れたりしないのだろうか。

いずれにせよトランプ新体制は船出したばかりだ。プロスポーツ界においても彼の今後の言動に注目していくしかないようだ。とにかくプロスポーツ界が、新大統領の批判の矢面に立たされる日が来ないことを祈るばかりだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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