98日ぶりの「ウッズ復帰戦」、高まる期待、静かなる戦い!?
「タイガー・ウッズが3カ月ぶりにカムバック」と来れば、これまでなら大勢のタイガー・マニアが試合会場へ押し寄せ、「ゴー、タイガー!」と叫びながら狂喜するところだが、コロナ禍の今は、無観客でハイファイブも禁止され、静かに執り行われることになりそうだ。
今週末の24日、米フロリダ州のメダリストGCで開催される「ザ・マッチ:チャンピオンズ・フォー・チャリティ」は、ゴルフ界のビッグ・スターであるウッズとNFL界のビッグ・スター、ペイトン・マニングがペアを組み、フィル・ミケルソン&トム・ブレイディのペアと対戦するチャリティ・マッチだ。
その1週前の17日には、世界ナンバー1のローリー・マキロイとダスティン・ジョンソンのペアが、リッキー・ファウラー&マシュー・ウルフのペアと対戦するチャリティ・マッチ、「テーラーメイド・ドライビング・リリーフ」が開催され、総額550万ドル超(約5億8000万円)を最前線で戦う医療従事者たちへの支援金として寄付したばかりだ。
ウッズらの「ザ・マッチ」は、それに続くチャリティ・マッチ第2弾的な位置付けだが、集められるチャリティ総額は1000万ドル(約10億7000万円)を超える見込みだ。
【98日ぶりのウッズ登場】
社会貢献、社会支援が目的ではあるのだが、ファンの注目は、やっぱりウッズの試合復帰と復活ぶりに集まっている。
驚くなかれ、ウッズが最後に試合に出場したのは2月半ばの米ツアー大会、ジェネシス招待だった。ウッズは自身の財団がサポートする「ウッズの大会」で大会ホストを務めながら選手としても出場していたが、腰痛を発症して最下位に終わった。
ウッズは以後のフロリダシリーズをすべて欠場していたが、その途上の3月半ば、米ツアーはコロナ禍で休止状態に陥った。
自粛期間中は、当然ながらウッズが公けの場でゴルフをすることも披露することも皆無だった。それゆえ今回の「ザ・マッチ」は実に98日ぶりの「ウッズ登場」となる。
しかし、大会は無観客の形で行なわれるため、ウッズの復帰戦でありながらファンが詰め寄せることはなく、熱いエールも拍手喝采も起こらない。
前週のチャリティ・マッチではキャディを付けず、4名の選手たち全員がスタンドバッグを自ら背負って歩いて回ったが、今週の「ザ・マッチ」では、やはりキャディは付けないものの、乗用カートは使用する予定だ。
【人々のためにプレーする】
ウッズとミケルソンの一騎打ちといえば、2018年11月に初開催された「ザ・マッチ」が記憶に新しい。あのときは22ホール目まで持ち越された末、ミケルソンが勝利。総額9ミリオン(約10億円)を独り占めし、頬を紅潮させていた。
2人の対戦は2年ぶりとなるが、前回敗北したウッズは冷静に今年のマッチを見据えている。
「2年前はフィルと僕だけだったけど、今回は4人によるマッチだから違う形でゴルフをして競い合うことになる。だから2年前とは事情も勝手も異なる。そして、これはチャリティであるということが何より大きい。僕らは人々のためにプレーするんだ」
会場となるメダリストGCはウッズのホームコースであり、ミケルソンは一度もプレーしたことがないと言われている。
5年前に改修された際、ブルー・ティやブラック・ティよりさらに距離が長くなる「タイガー・ティ」が設けられ、そこからプレーすると、全長は7515ヤード(パー72)となる。
下馬評では、コースを熟知したウッズ&マニング組のオッズが2倍と高くなっているのだが、ミケルソンは本番3日前から早々に現地入りして戦いに備えるそうで、意気込みの強さでは誰にも負けていない。
しかし、勝敗はさておき、「これはチャリティである。僕らは人々のためにプレーする」というウッズの言葉が何より胸に響く。
「ウッズのカムバック」より「バック・トゥ・ノーマル」、そしてウッズやミケルソンらによるゴルフ界の「ニュー・ノーマル」のお披露目を堪能しようではありませんか。