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美容ナースが見た老後の変化!美容整形後に年齢を重ねたらどうなる?

繁和泉看護師・予防医学士・薬機法管理者

以前は芸能人やセレブが主流となっていた美容整形。

近年はその低価格化の影響もあり、一般の方でも気軽に美容整形を受けられるようになってきました。

しかし、目先の美しくなる変化にばかり気を取られ、老後の変化までを想定して施術を受けることを考えていますか?

今回は、美容ナースとして実際に見た老後のよくない変化の事例を紹介します。

1.そもそも老後のトラブルはつきものなのか?

結論から言うと、加齢による老化現象が起きても必ずしもトラブルが生じるわけではありません。

整形した種類によって老後の加齢的変化に違和感が生じるかどうかと言うのも違いがあります。

個人的な印象ではありますが、やはり人工物を入れている症例ほど、加齢的変化による違和感が生じる印象です。

つまり…。

・シリコンプロテーゼ
・シリコンバッグ

などは、シリコンの物理的容量が経年経過により変化しません。

しかし、その人工物を包んでいる体や顔の皮膚や皮下脂肪を含む軟部組織は加齢とともに変化してたるんだり、歪みが生じます。

時間経過による、人工物と人間の変化が比例しないので、強い違和感となってトラブルが起きたように感じるのです。

2.「買い物袋に石?」老後にたるんだ乳房に入っている違和感満載の豊胸バッグ

私が実際に見た症例です。彼女は70代の女性でした。若い頃に胸の小ささがネックで当時は生理食塩水の豊胸バッグを挿入したとのことです。

挿入当時は良かったのですが、年齢を重ねてくるとともにバストの皮膚がたるみ、中に入っている豊胸用のバッグが重みで下に移動しおなかの前がわだけが「ぼこん」と突き出たような違和感満載のバストになってしまいました。

老後に豊胸バッグだけが際立っている様子
老後に豊胸バッグだけが際立っている様子

しかしながら、当時豊胸手術を受けたクリニックは閉院しており、取り出そうにも他のクリニックに行くしかありません。

さらに、他のクリニックに行っても彼女が抱える内科的な疾患の影響で手術中の管理が難しく、断られてしまったそうです。

残念ながら、当時私が働いていたクリニックでも同じ回答でした。

取り出そうにも内科的な健康状態に対しての懸念で、クリニックレベルの手術管理では対応が困難で安全が保証できないと言う理由で対応できなかったのです。

きっとあのバストでは、温泉なども楽しめないでしょう。垂れ下がったバストの先端だけ、ボールのような丸みがあり、お腹の部分に2つくっついているようなものです。

お洋服を着ていてもなんとなく違和感のあるバスト。

どこかきちんとした病院で、正直に事情を話してきちんとした手術管理のもと抜去できていることを切に願います。

2.鼻のシリコンプロテーゼが飛び出してきた

その患者さんは60代の方。若い頃に鼻にシリコンプロテーゼを挿入したのだそうです。

私が働いていたクリニックにきた時には、鼻の先端からプロテーゼが飛び出している状態でした。

シリコンプロテーゼが鼻から飛び出した様子
シリコンプロテーゼが鼻から飛び出した様子

元々の鼻と比較してもしかしたらやや大きめのプロテーゼを入れていたのかもしれません。

30年以上入れていたようなのですが、先日孫と遊んでいて頭突きをされた拍子に飛び出したと…。

普通では、ズレるなどはあっても、飛び出すまではなかなかないことです。きっとこの方も年齢により皮膚の薄さが出てきた頃に、長く鼻先に圧がかかっていたところのトドメとしてお孫さんの頭突き…。

結果、予想外の外力により皮膚が破れ、プロテーゼが飛び出してしまったのだと思います。

鼻の皮膚が破れてしまっているので、急遽摘出手術をして、洗浄、縫合しました。

長いこと高い鼻で過ごしてきた患者様は、それはそれは悲しみに暮れていましたが…。

皮膚の状態があまり良くないのでプロテーゼの再挿入はおすすめしないと言われてしまいました。

出てきたプロテーゼを見ても感じる通り、かなり高い鼻でいたようです。お顔の印象も大きく変わってしまいました。

残念ながら直後にはどうすることもできす、本来の鼻の高さで生活をしてもらうことになりました。

(結論・人工物を入れた美容整形はメンテナンスも視野に入れること!)

今回は、私が経験した中でもかなりレアケースで、ダメージの大きな症例を紹介しました。ここまでの症例は珍しいですが、年齢を重ねて

「違和感を覚えるから抜いてほしい」
「他のものを入れたい」
「修正をしたい」

と言ってご来院される50代、60代の患者様は少なくありません。

また、抜去・修正の手術はクリニックで行うので健康であることが第一条件。

老後に自分が必ずしも健康で、いつでもクリニックで手術が受けられる健康状態とは限りませんよね。

人工物を入れた美容整形を受ける際は、必ず「修正や抜去などの手術が必要になるかも」と言うのを念頭に置いておいて欲しいです。

また、いま健康でも年齢を重ね始めたアラフォーやアラフィフの方は、自分の体が健康であるうちに修正や抜去の施術を検討してみても良いでしょう。

  • 吸収されてなくなるものに置き換える
  • 脂肪や軟骨組織など、メンテナンスの必要がない自分の組織に入れ替える
  • 元気なうちに抜いてしまう

などの選択肢を検討し、「今の自分にあった美しさを手に入れる」ことを考えてみてはいかがでしょうか?

看護師・予防医学士・薬機法管理者

【医療・美容・健康・ヘルスケア・子育てに関するリアルな情報を発信】兄妹の子育てをしながら働くワーママ。保有資格を活かしながら実際の現場で得た自身の知識や経験をもとに「誇大表現にならないリアルな情報をユーザーに届け、ユーザーが自分にとって適切な判断ができる」情報発信を追求。Well-beingな社会を目指す。

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