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参院選投票のための方程式「イイ議員を増やし、ダメな議員を落す方法」

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

政治家だった30歳の時に迎えた2期目の選挙で「政治家の成績表」と題し、前回の選挙の際に有権者に示した選挙公約と、その公約に基づき任期の間にどのような活動を行い、どれだけ達成できたのか、また、新たな政治課題に対し、どのように対応し、議員としてどのような活動を行い、何ができたのかと有権者に示し、それに基づく新たな選挙公約を示して、選挙を戦ったことを思い出した。選挙公約が、「口約束」どころか、「絵に描いた餅」「口から出任せ」等とほぼ同意となりつつある中で、どうやって政治や政治家への信頼を取り戻すことができるか考えてのことでもあった。行政職員やシンクタンク研究員、自治体コンサルなどを経験した今、当時の政策がどれだけレベルの高いものだったのかは別だが、当時、すべての現職議員がこうした公約の実現度や、政治活動データを公表し、有権者に投票の参考にしてもらうべきではないかと思ったものだ。

あれから6年…。

今日また、この国は将来を左右する国政選挙の公示日を迎えた。

今回の選挙から、インターネットを活用した選挙活動が可能になり、この国の選挙はドラスティックに変わり、民主主義の質が高まるかの様な錯覚を感じている人もいるが、有権者に対して、それぞれの政治家を評価し、判断するだけの基準や情報は、本当に行き渡っているのだろうか。

学生時代から、一貫して「民主主義のインフラ整備が必要」だと言ってきた。インフラと言っても公共事業や下水道、公共交通という訳ではなく、この国の民主主義の質を高めるための環境整備といった意味合いで使っている。この「民主主義のインフラ」には、いくつかの要素があり、1つは、参画する場、もう一つが、判断するための情報、最後に判断するための能力の養成だと思っている。参画の場は、まだまだ足りないが、最も開かれた参画の場である選挙において、判断するための情報と、判断するための手法を少しでも多く提供する事ができないかと考えている。

この国の政治に不信感が広がり、政党や政治家に期待できないというのであれば、有権者自身がこの国の未来のために変わっていくしかないのではないだろうか。

こうした中、今回の参議院選挙では、有権者の判断の参考となる情報の提供として、2つの情報提供を行った。1つは、国会議員の議会活動のデータの提供であり、もう1つが、国会議員の質問の質に対する評価である。日本でも最近は、政党の政策と有権者を結ぶボートマッチや、ワカモノ・マニフェストでも各党マニフェストの若者度評価を行ったが、政党マニフェストの評価などが出始めた。これにより、各党の政策を意識する様にはなったが、一方で、その政党の中で、各議員が国民の代表者として国会の中でどんな活動をし、どれだけの成果が出ているのかなどについては、知り得る方法が極めて少なかった。

国会議員の議会活動のデータhttp://www.facebook.com/giindata については、とくに公正で客観的な数字のデータによって評価できるものをと、国会の中での議員の質問回数、議員立法の提出回数、質問趣意書の提出件数をランキングにして公表した。学生時代、社会の授業で、「三権分立」と共に、議会の役割は「立法府」と学んだ。この立法府としての本来の役割から考えれば、議員立法提出回数は議員にとって重要な要素であり、また、もう1つの議員の本分である行政のチェック機能の側面から役割が期待される質問の回数も評価したものである。ただこれらの指標は、どの委員会に入るか、また政党の規模によっても左右されるため、この2点よりさらに公平な機会が保障されている質問趣意書の提出回数や、野党有利のこうした指標を公平にするために、期間内の役職経験などを評価に加えるなどする事でバランスを取った。

しかし、こうしたデータは、客観性が高い一方で、「数をこなすことが議員として重要なのか」という側面を内在する。これを保管する情報として、今回、新たに取り組んだのが、国会議員質問力評価「国会議員の通信簿」http://www.facebook.com/mannenyato だ。「回数より内容が重要」だということは感じながらも、主観による評価では、単なる「好き好き」になってしまう。このため、客観性を持った評価をつけるために、あえて3つの評価を行うこととした。1つ目は、同じ議会という立場から質問を評価できる同僚議員からの評価。2つ目は、議員の質問を常に行政側からチェックしている官僚による評価。3つ目は、評価される国会議員自身に評価されるサンプルの質問動画を指定してもらっての有識者による評価である。

この国のこれまでの選挙では、政党の政策で判断される事はあっても、多くの場合、メディア報道などによる政党や政治家の印象によって判断されることが多かったのではないかと思う。「テレビに出ている議員が当選する」などと揶揄される程である。

政党の公約のチェックもそうだが、その政党の候補者だということだけでなく、その候補者がどういう活動を行ってきたのかをしっかりと評価していく必要がある。今回、公表した国会議員の質問力評価は、単にどの国会議員がランキングのどの位置にいるのかという活用だけでなく、どの議員のどういう活動が、同僚の国会議員、カウンターパートである官僚に評価されているのか、また政策関係の有識者が、どのような視点で評価しているのかといった視点を、他の議員や候補者を評価する際にも参考にして頂ければと思う。

また、民主主義のインフラ整備の3本目の矢である「判断するための能力の養成」についても、7月5日(金)の夜に、「政治家や役所にダマされないための、政策の評価とつくり方」 http://schoo.jp/class/176 と題し、自治体の部長研修や課長研修などでも行っている政策のアウトカム評価を知ってもらうための政治教育プログラムを素人でも分かる簡単な形にしてWEB上で公開講義する。こうした取り組みは、政策判断するための一つの手法の紹介に過ぎないが、これまで有権者に紹介される事のなかった、議会活動や政策形成の評価手法についても共有することで、有権者自身の持つ、政策監視機能を高めてもらうことで、この国の政治を変えていくキッカケにならないかと期待する。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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