ロシアへの経済制裁で、この水産物が消える
ロシアのウクライナ侵略によって、国際社会の秩序が大きく揺らいでいます。日本を含む多くの国がロシアへの経済制裁を行っています。ロシアから禁輸措置を執った場合に、天然ガスなど様々な分野で影響が避けられないのですが、水産物についても大きな影響があります。
ロシアからの水産物輸入の現状
我が国の水産物の輸入相手国のシェアはこのようになっています。
ロシアのシェアは7.1%となっており、輸入の1割弱が消えることになります。
ロシアからの輸入金額のシェアは次のようになっています。
金額が大きいものでは、イクラ、ズワイガニ、紅鮭、たらこ、うに、タラバガニ、ほっけ、甘エビ、白サケ、スルメイカなどです。北のオールスターが勢揃いといったかんじですね。
これらは、日本にも代替品はあるのですが、資源状態が悪いものが多く、水揚げは減少傾向です。ロシアからの輸入が止まると、厳しいことになるでしょう。
ほぼ無くなる
ロシアのシェアが大きな紅鮭は、見かけなくなるでしょう。アラスカ産もあるのですが、価格が高いので、引っ張ってくるのは難しそうです。
かなり減る
イクラ、ズワイ、タラバは、ロシアのシェアが大きく、余所から代替を引っ張ってくるのがむずかしいため、目に見えて供給量が減ります。
価格が上がる
甘エビ、ほっけ、ウニ、たらこは、国内生産もあり、米国などから代替品を引っ張ってこれるので、いきなり無くなることはありません。ただ、需給関係がタイトになり価格の上昇は避けられないでしょう。
国産資源の回復が急務
ロシアからの輸入が途絶えると、多くの水産物に深刻な影響があります。これらはもともとは国産の水産物の代替品として日本に入ってきたものであり、日本近海にも生息しています。しかし、日本は、自国の水産資源を場当たり的に獲り尽くし、漁業生産を減少させてしましました。
下の図は日本の漁獲量です。自然変動が大きなマイワシを除くと漁業生産は直線的に減少しています。水産物の需要は世界的に高まり、争奪戦が繰り広げられています。生産量の減少を輸出で埋め合わせていくのはもう限界です。ロシアによる危機により、食を他国に依存することのリスクがより明確になりました。
北海道を筆頭に、日本には生産性の高い好漁場に囲まれています。漁獲規制を徹底し、自国の水産資源を回復させれば、自国の食卓を支えるのに十分なポテンシャルがあります。変動する世界の中で、美味しい水産物を食べ続けるために、我々は自国の水産業が非持続的であるという現実と、真剣に向き合う必要があります。