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【泉佐野市】“駅から徒歩1分” の外国。お手頃価格の豊富なメニューに驚く「地元で愛されるタイ料理店」

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

「日本に居ながらにして世界の料理を味わえる店」

最近、雑誌の特集などでよく見かけます。

はやる気持ちでページをめくり読み進めても、お気に入りのお店は決まって「東京」。ならば、わたしが取材を。

駅から徒歩1分で“外国”を感じ“世界を味わえる”お店をご紹介します。

南海本線「泉佐野」駅から徒歩1分のところに店を構える「Chet’s Inn(チェッツイン)」は、日本人オーナーシェフの藤田 力行(ふじた よしゆき)さんが腕を振るうタイ料理店。地元で愛されて10年ファンが多いお店です。

お店の営業時間は18時~24時。そう、ここはお酒をたしなみながらタイ料理を楽しむ、“オトナのタイ料理居酒屋”です。

開店と同時にお店に入ると、店内にはすでにお客さんの姿が。

“ひとり呑み”をしているご様子です。

異国情緒漂うカラフルな店内に、どんな料理を提供してくれるのか期待感が高まります。

駅から徒歩1分の場所なのに、まるでどこかの“外国”に迷い込んだような錯覚を覚えます。カウンター6席、4人掛けテーブル3卓のこぢんまりした店内は、開店から20分も経たないうちに多くのお客さんで埋め尽くされていきます。

お客さんの流れにあわせて緊迫感に包まれていく厨房…それもそのはず「Chet’s Inn(チェッツイン)」の料理は、日本人オーナーシェフの藤田さんが全て一人で作っているのです。そして、お店の内装も藤田さんが手掛けたというから驚きです。

ピンクの壁を背景に写真を撮ると、「タイに旅行してきました!」風に
ピンクの壁を背景に写真を撮ると、「タイに旅行してきました!」風に

徐々に慌ただしくなる厨房
徐々に慌ただしくなる厨房

黙々と調理をする オーナーシェフの藤田さん(写真手前)
黙々と調理をする オーナーシェフの藤田さん(写真手前)

一人ですべての料理を作るだけでも凄いことなのに、驚くのはその“メニューの多さ”です。

「鶏肉のタイ式焼飯」900円「ガパオライス」1000円「カオマンガイ」1000円「パイナップル焼飯」900円

「ミミガーハーブ」600円「カイジャオ~豚ミンチのタイ式オムレツ~」650円「クン・パオ~赤エビのグリル~」650円「ホイライ・ナンプリックパオ~あさりの甘辛バジル~」750円

「ガイヤーン~タイ式焼き鳥~」850円

「豚肉の揚げ春巻き」650円「しび辛チキン」700円「海老シュウマイ(3個)」580円「トートマンプラ―(5個)~タイ式さつま揚げ~」650円

「ゲーン・キャオワーン~鶏肉のグリーンカレー~」

*ジャスミンライス付き1100円

「ゲーン・ペッ~鶏肉のレッドカレー~」

*ジャスミンライス付き1100円

「ソムタム~青パパイヤのサラダ~」850円 ハーフ680円

「パッタイ」1100円

「トムヤンクン」

ハーフ(1人前) 680円 えび1尾

レギュラー(2~3人前) 900円 えび2尾

ラージ(3~4人前) 1400円 えび3尾

エクストラ(4~5人前) 2000円 えび5尾

追加トッピング「袋茸」100円「麺」150円「赤えび」150円「もやし」80円

*料金すべて税込

おいしそう! そして、これはまだほんの一部です。

どんだけ…。

聞いたことのない名前の料理や、世界三大スープのひとつとして名高い「トムヤンクン」、日本では数少ない「タイスキ」「ムーカタ鍋」「屋台コース」など、ワクワクするようなお手頃価格のメニューレパートリーがたくさん!

「トムヤンクン」は、人数にあわせてサイズが選べるのもうれしいポイント。

エクストラ(4人~5人前)が、えび5尾もついて2000円ってお財布にやさしすぎませんか? ハーフ(1人前)も“おひとりさま”には有難いです。

食べたい料理が多すぎて迷っていると、藤田さんがおススメをチョイスしてくださいました。

「豚肉の揚げ春巻き」650円「パッタイ」1100円「ソムタム~青パパイヤのサラダ~」ハーフ680円「トムヤンクン」ハーフ(1人前)680円をオーダーすることに。そして、ソフトドリンクの「バージンピニャコ」600円も。

「ドリンクメニュー」
「ドリンクメニュー」

タイのビールや、ワイン、カクテルなどもいっぱい!
タイのビールや、ワイン、カクテルなどもいっぱい!

藤田さん一人で作るのだから、さぞかし待たされるのかと思いきや、ほんの8分ほどでお料理が到着しました。

テーブルに並ぶ料理からは、ナンプラーの塩味感じる香りや、甘じょっぱいような酸っぱいような香り、そしてまろやかなクリームの香りと炒めた肉や海鮮の香ばしい匂いなどがふわふわと立ち上り、食べる前から食欲を刺激します。そして空気の中にふんわりとパクチーやココナッツの香りも。

もうこの瞬間だけでも最高に幸せ。タイでいただく晩餐のようです。

「豚肉の揚げ春巻き」

薄くてパリパリの皮は、生春巻きの皮を香ばしく揚げたものだそう。ひと口かじると“パリパリじゅわ~”な食感。具はオイスターソースでしっかり味付けされた甘みとコクのあるジューシーな豚肉、たけのこ、きくらげ、はるさめなど。噛むごとに口の中に響く食感の違いも楽しい。

そのままでも十分おいしいけれど、レモンを絞ったり、スイートチリソースをつけたりして“味変”を楽しむと一度で三度おいしい♪

「パッタイ」

「パッタイ」は、タイの屋台や地元の食堂などで提供される“ライスヌードル”を炒めた料理。いわゆる“タイの焼きそば”です。

麺に覆いかぶさるように盛り付けられたえび、もやし、ニラ、厚揚げ、たまごは薄味でまとめられ、甘じょっぱく味付けされたもちもちの平打ち麺に絡めながら食べ進めると味のバランスが最高に。鼻から抜ける干しエビの風味とナンプラーの香りが味に奥深さを感じさせ、ずっと食べていられるおいしさです。

もっちもち!
もっちもち!

ライムやレモンを絞って、さっぱりといただいても◎。

「ソムタム~青パパイヤのサラダ~」

一瞬、大根? と感じる食感ですが、「青パパイヤ」とのこと。

確かに大根より歯応えがよく、コリコリしています。パクチーとナンプラー香る甘ずっぱいサラダは、なんだかクセになる味。お酒のあてや箸休めにも注文必至の一品です。

「トムヤンクン」ハーフ(1人前)

このサイズ感がたまらなく可愛いしうれしい。680円というお手頃価格で本格的な「トムヤンクン」が食べられる幸せ…。

「Chet’s Inn(チェッツイン)」の良いところは、価格の安さもさることながら一部のメニューは“ハーフサイズ”が選べるなど、「タイ料理初心者」にとてもやさしいのです。濃厚でまろやかな「トムヤンクン」は、主張しすぎない酸味と程よい辛さが日本人にも食べやすく、パクチーも控えめ。お店の特徴としてさらに親切なのが、“好みにあわせてわがままを聞いてくれる”ところ。

「パクチー控えめ」「辛さ控えめ」「限りなく現地に近い味で…」などのオーダーに、藤田さんは真摯に対応されているのです。

えび、でかっ!
えび、でかっ!

そして、こんなに可愛い“おもてなしスタイル”の「バージンピニャコ」は、味もかわいくフルーティー♪ ココナッツとパイナップルって最高においしい組み合わせです。

「Chet’s Inn(チェッツイン)」は、オーストラリアで修行をした日本人オーナーシェフの藤田さんが10年前にはじめたお店。

どうしてオーストラリアで修行を? と疑問に感じたため、藤田さんに尋ねてみました。

「僕が中一の終わり頃、整骨院を営んでいた父親が突然『オーストラリアに永住するで!』と言い出しまして…オーストラリアで暮らすことになったんです。妹はその時まだ小学生でした。それからはもう波乱万丈で。現地で開業すれば永住権を取得できると聞き渡豪したものの、そんな話は真っ赤な嘘。開業資金もだまし取られ、極貧生活が続きました。両親は先に帰国し、ホームステイ先から現地の学校に通う僕たちを仕送りで支えてくれました。それでも経済的に大変だったため、僕が14歳の頃、現地のタイレストランでアルバイトをはじめ家計を支えました。タイ人のオーナーシェフに『タイ料理』を学び、そこから『タイ料理』の魅力にどっぷりはまりました」。

え…、ドキュメント番組の特集になってもおかしくないほどの波乱万丈ぶりに思わず絶句してしまいました。そんなご苦労を微塵も感じさせない淡々とした藤田さんの受け答えに「人生一周半まわった人」のような風格すら感じ、この人の周りに人が集まる理由が、“味”だけではないのだと確信しました。

今回の取材で、日頃お世話になっている知人に店でばったり出逢い、「Chet’s Inn(チェッツイン)」がどれほど地元の人たちに愛されているのかを伝えるために”8周年記念パーティー”の写真を提供してくれました。

多くのお客さんに囲まれ、幸せそうな藤田さん 左(写真提供 知人)
多くのお客さんに囲まれ、幸せそうな藤田さん 左(写真提供 知人)

そのアルバイト先の店名が「Chet’s Inn(チェッツイン)」だったそう。

高齢のオーナーが店を閉めた後、オーストラリアの高校を卒業し、跡を継ぐように日本で店をオープンさせた藤田さん。そんな藤田さんのもとへ、タイからお祝いに駆けつけてくれた元オーナーシェフとの交流は今も続いているそうです。

泉佐野市を選んだのは、関西国際空港も近く英語を活かせると思ったから。

空港でお勤めの方や、海外からのお客さんもたくさんいらっしゃるのだとか。

“駅から徒歩1分”の外国は、日本人オーナーシェフ藤田さんが営む、お手頃価格で日本人にも食べやすい“地元で愛される”タイ料理居酒屋「Chet’s Inn(チェッツイン)」でした。

サバーイ!(タイ語で「心地よい」)
サバーイ!(タイ語で「心地よい」)

【基本情報】

店名:「Chet’s Inn(チェッツイン)」
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:泉佐野市若宮町5-5
Tel:072-424-5458
営業時間:18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:日曜・祝日
駐車場:なし(近隣のコインパーキングをご利用ください)
取材協力 「Chet’s Inn(チェッツイン)」
代表 藤田 力行様
*記事内容は取材当時のものです。
*未成年の飲酒は法律で禁じられています。
*「Chet’s Inn(チェッツイン)」代表 藤田 力行様のご厚意により、撮影用の料理を無償でご提供いただきました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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