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「たけし軍団」に嫁いで分かったコト

中西正男芸能記者
“軍団の妻”になって今年20年になる江口ともみさん

タレント、司会者、コメンテーターと幅広く活動する江口ともみさん(48)。たけし軍団・つまみ枝豆さんと結婚して、今年で丸20年が経ちました。初めて夫婦で司会を務めるAbemaTV「Abemaエンタメサンデー」もスタート。たけし軍団の妻になるということ、そして、軍団の師匠であるビートたけしさんへの思いを語る中、レア中のレアな結婚生活かと思いきや、そこにあったのは意外な真実でした。

出会いは子供番組だった

1996年の6月11日に婚姻届を提出しました。なので、今年の6月で丸20年。あっという間でした。

最初にダンナと出会ったのは、テレビ朝日の子供番組だったんです。夕方に放送されていた「パオパオチャンネル」という番組で、私は水着のお姉さん。ダンナは子供の邪魔をする意地悪なキャラクターを井手らっきょさんらと一緒にやってました。

番組をやってる時は、ほとんど接点がなかったんですけど、ちゃんとお話をしたのは番組が終わるとなっての打ち上げの時でした。ただ、そこでダンナに電話番号を聞かれても、ま、生意気な話なんですけど(笑)、番号の数字をバラバラにしたものを渡して「運よく並べられればつながります!」なんてことをやったり…。それくらい、芸能界の人とお付き合いをするアタマが本当になかったんです。

打ち上げでも、カラオケに行って歌ってたら、頭の上に何とも言えない生温かさがあって「え、何なの?」と思ったら、らっきょさんのイチモツが乗っかってて「ちょんまげ~」と(笑)。初めて一緒にご飯に行ったのに、いきなりこの“洗礼”なのかと。やっぱり、この世界はすごいなと…。しかも、らっきょさんはお酒を飲まないので、シラフですからね。それでいて、それですから。でも、周りで女の子が悲鳴を上げてる中、不思議とイヤではなかったんですよね(笑)。

共通の趣味の話ができる人

そこで、ダンナと初めてしっかり話したんです。共通の趣味としてのレースの話があって。当時、ダンナは「ビートたけしのスポーツ大将」(テレビ朝日系)でレース企画をやっていて、私もレースが好きだったんです。そこで初めて会話が合って、芸人さんというよりも、共通の趣味のお話ができる人という感覚になったんです。

ただ、周りの方々からも、例えば、ガダルカナル・タカさんにも「こいつは曜日分、女がいるからやめといた方がいいよ!!」みたいなことは言っていただいたんですけど、そこも、不思議なもので、学生時代にお付き合いしてた男性が束縛の強い人でもあったので、逆に気が楽な部分もあったのかなと思います。今から思えば。たくさん遊んで、女の人もいっぱいいてという状況に、いちいち腹が立たないというか。「もー、他にも女の人がいるなんて!!」みたいなの感覚が意外となかったんです。

今から思えば、芸人さんへの私の勝手な思い込みがいい具合に作用したというか、いろいろ遊んでても芸人さんだから仕方ない。そして、話せば話すほど、逆に、とても、とても常識がある人なんだなと。そんなことが合わさって、出会って1ヵ月くらいでお付き合いという形になりました。ただ、向こうからしたら、たくさんいるうちの1人というところだったとは思いますけどね(笑)。

でも、裏腹と言いますか、純なところもありまして。その頃はダンナとは違う事務所で仕事をしてたんですけど、たけしさんの映画「ソナチネ」でヒロインのオーディションがあって、それに応募したんです。すると「殿の映画にヒロインで出ると、絶対に脱ぐことになるから。…やめてね」と言われたり(笑)。そんな会話をしてしばらくしてから、当時の事務所の女性社長が「なんか、いいところまではいったんだけど、急にお断りの電話がきたわ」と。なので「あれ?これはスタッフさんに言ったのかな…?」とかはありましたね(笑)。

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一度は別れたけど…やっぱり

21歳からお付き合いをして、結婚まで7年間。いわば、私の一番いい時期を独占しているのが申し訳ないからと、ダンナもちょこちょこ言ってたんです。「もし、いい人ができたら、そっちに行ってね」と。そして25、26歳の時に「この人のことは好き。だけど、ずっとこのままでいいのか。いいんだけど、でも、でも、どうなんだろう…」と考えていた時に、事務所の社長から男性を紹介されて、その人とお付き合いをすることになったんです。ダンナに別れを告げて。

私はポリシーとして“別れた男性とはもう会わない”というのがあったんですけど、らっきょさんや女友達からも「会いたがってるから、何とかしてやってよ」とかなり言われたんですけど、私も考えてやったことだし、そこは頑(かたく)なに会わなかったんです。

そんな中、ダンナと共通の知り合いの車屋さんの誕生日会があって、そのパーティー会場でダンナを見かけました。そうしたら、当時35、36くらいのダンナの髪が真っ白だったんです。それを見た瞬間、ギョッとしました。「そんなにも…」という思いはあったんですけど、それでも話はしなかったんです。

そのパーティーからしばらくして、ある日の朝、6時くらいでした。当時、私はマンションの1階で暮らしてたんですけど、久しぶりにダンナから電話があったんです。しかも、そんな朝早くに。何だろうと思って反射的に電話に出たら「雪が降ってるよ」と言われて。パッとカーテンを開けたら家の前に車で来てて、窓からこっちを見ながら電話で「よかった、やっと顔が見れた。それだけ」って帰って行ったんです。その瞬間、スーッと気持ちが戻っていきましたね。またね、その季節が微妙に初雪が降るか降らないか、でも、今降ったらすごいなというくらいのタイミングだったんです。この作戦は見事でした(笑)。

師匠の事故で痛感した

ずっと昔から言われてきたのは「オレにとって師匠が一番で、二番目が軍団。三番目が君だけど、それでいいかな?」と。その言葉を受け入れてお付き合いもしましたし、もちろん、分かってもいるつもりだったんですけど、この言葉、本当に、本当に、本気なんだと思ったのは、たけしさんが事故をされた時でした。

結婚する直前にたけしさんの事故があったんです。その時のダンナの空気感や表情、生活を見ていたら、もし、たけしさんが助からなかったら、この人は後追いをするだろうなと本気で思うくらいの状況でした。

そのちょっと前くらいに私もたけしさんに正式に紹介をしてもらいまして。その時は「結婚するのか、分かったよ、枝豆。で~、このお姉ちゃん、一回やらしてくれるか」って(笑)。そこはさすがに「分かりました」といって献上されなくてよかったと思いましたけど、何もかも、すさまじい絆で結ばれているからこそのやりとりなんだなと痛感しました。

これもよく言われてますけど、以前、収録の時にスタジオの床に釘が落ちていたと。そこで普段は穏やかなたけしさんが「こんな危ないところで、うちのもんにやらせられるか」と激怒した。ダンナは「そういうことで、オレたちだまされてきたんだよな」って言ってますけど、全てが、全てが、そういうことなんですよね。

どんなことがあっても、もし、もし、絶対的にたけしさんが悪いということがあったとしても、たけしさんにつく。それが弟子だと思いますし、そういう弟子だからこそ、たけしさんも愛を注ぐ。それは軍団ではない立場で、でも、近くから見せてもらっていて強く感じるところです。

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21歳の頃の自分と話ができるなら…

普段は、うちの夫婦は互いのことを「父さん」「母さん」って呼んでるんですけど、もう一回生まれ変わっても、結婚するのは父さんがいいですね。生まれ変わって、虫だったとしても一緒になってるでしょうし、木だったとしても隣に生えてるんじゃないかと思います。

このインタビューもそうかもしれないですけど、番組でも、たけし軍団の人と結婚したといことで、壮絶なエピソードとかがないかと言われるんですけど、うちは本当にないんですよね。なんだか、スミマセン…。その辺りは、ガダルカナル夫婦に任せています(笑)。

ダンナと出会った頃の21歳の自分と、もし話ができるならば「男性は外見だとか、肩書ではなく、中から出てくるもの、そして、中身をきちんと見て判断した方がいいよ」と強く言いたいと思います。ただ、私も時間をかけて父さんと一緒にいる中で分かったことですからね。言われて、スッと「はい、分かりました」とは当時の私も言えないでしょうけどね(笑)。

■江口ともみ(えぐち・ともみ)

1968年2月4日生まれ。東京都出身。オフィス北野所属。東洋英和女学院短期大学卒業後、商社からの内定を得ていたが、芸能界入り。テレビ朝日系「パオパオチャンネル」(87~89年)でたけし軍団のつまみ枝豆と出会い、交際に発展。96年に結婚。テレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」、朝日放送「キャスト!」、ニッポン放送「三宅裕司のサンデーヒットパラダイス」などに出演中。枝豆と初の夫婦司会番組「Abemaエンタメサンデー」はインターネット放送局「Abema TV」で毎週日曜午後2時から放送中(時間変更の場合あり)。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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