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東北地方も梅雨明け秒読み 来週は暑さに注意 8月は高気圧が弱まる可能性も

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
7月20日正午の雨雲の様子 今年はザっと強く降る雨が多い(ウェザーマップ提供)

今年は「陽性の梅雨」に近い

 天気を勉強したことがある人であれば、「陽性の梅雨」「陰性の梅雨」という言葉は、一度は聞いたことがあると思います。

 「陽性の梅雨」とは、ザっと強い雨が降ったかと思うと、晴れて暑い日もある、メリハリのある梅雨のことで、西日本はこのタイプであることが多いです。

 「陰性の梅雨」とは、曇りや雨が何日も続いて、弱い雨がシトシト、少し肌寒さもある梅雨で、東日本や北日本で多く見られます。特に東北地方の太平洋側は、梅雨になると「やませ」と呼ばれる冷たい北東風が吹き、日照不足になることもしばしばです。

 しかしながら今年は、いわゆる「梅雨寒」がほとんどなく、長袖が活躍する場面がありません。冷涼な空気をもつオホーツク海高気圧が、ほとんど現れなかったことが要因です。宮城県でいえば、この1ヵ月の気温は平年を3度前後も上回り、日照時間も平年と比べて多くなっています。かと思うと、時折、雷を伴うようなザっと強い雨も降り、今年は西日本で見られるような「陽性の梅雨」に近い印象です。

最近30日間の平均気温の平年差(気象庁ホームページより)
最近30日間の平均気温の平年差(気象庁ホームページより)

最近30日間の日照時間の平年差(気象庁ホームページより)
最近30日間の日照時間の平年差(気象庁ホームページより)

梅雨明け秒読み 来週は暑さに注意

 週間予報では、東北地方各地も晴れが並び、梅雨明けも秒読み段階に入りました。来週にかけて太平洋高気圧が強まるため、東北地方も暑さが厳しくなり、内陸部を中心に35度くらいまで気温が上がる予想です。熱中症には十分ご注意ください。また、来週後半は、高気圧に覆われながらも湿った空気が流れ込みやすく、晴れていても急な雷雨が起こる可能性があります。山や海のレジャーは、天気の急変にも注意が必要です。

東北地方の週間予報(7月21日11時  ウェザーマップ発表)
東北地方の週間予報(7月21日11時 ウェザーマップ発表)

8月に戻り梅雨?

 この先の天候で一つ気になるのが、8月の天候です。現在、太平洋赤道域東部の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」が発生しています。エルニーニョ現象が発生すると、日本付近に張り出す太平洋高気圧の勢力が弱まる傾向があり、その影響が徐々に出てくる可能性があります。

 やや専門的になりますが、下の図は、8月の気圧の平年差を表したものです。暖色が平年より気圧が高い場所、寒色は平年より気圧が低い場所です。

 日本の南は黄色やオレンジで、気圧が高くなっています。太平洋高気圧が日本の南で西へ張り出し、沖縄や奄美は晴れて暑くなることが予想されます。

 一方で、北日本周辺は水色で、気圧の低いエリアが、東西に帯状に連なっています。これは、高気圧が弱く、前線や低気圧の影響を受けやすいことを暗に示しています。

 まだ不確実な部分は多いですが、8月は曇りや雨が多くなる可能性があり、今後もまだまだ大雨には注意しておいた方がよさそうです。

8月の気圧の平年差(ウェザーマップ提供)
8月の気圧の平年差(ウェザーマップ提供)

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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