大人女子は令和でも輝けるか? ~平成に女子ブームを作った宝島社女性誌の決意~

平成に躍進した大人女子は今後どうなっていくのか。(写真:アフロ)

ファッション誌も令和アピール

 新元号になって半月。雑誌の世界では、一足早く先月に発売されたものから新元号が見出しに躍っている。「新時代をもっと美しく幸せに! 『令和』の開運ビューティ」(『&ROSY』2019年6月号宝島社)「新時代スタート!令和元年『大人のお洒落』」(『GLOW』2019年6月号宝島社)「昭和生まれの私が輝く令和の髪とメーク」(『美ST』2019年6月号光文社)「令和の最初にやりたいNEWなことリスト」(『ViVi』2019年6月号講談社)「令和時代のブラウン ベージュ カーキ」(『MORE』2019年6月号集英社)という具合である。

 10代、20代の平成世代向けファッション誌よりも、元号に親しみがある昭和世代(30代後半~40代)向けファッション誌ほど、新元号「令和」をアピールしているようだ。とりわけ、平成時代に躍進した宝島社の雑誌には新時代に賭ける意気込みが感じられる。

平成に誕生した「大人女子」

 「新時代スタート!令和元年『大人のお洒落』」と力の入っている『GLOW』は2010年に「私たち40代、輝きます宣言!」を掲げて創刊した40代向けファッション誌だ。世間に大人女子、40代女子という言葉を定着させたことで知られているが、この令和元年記念号でも、創刊号の表紙を飾ったYOUを再び登場させ、「45歳、大人女子第2章スタート!」を謳っている。

 今でこそ、40代女子と言われても驚かなくなったが、『GLOW』が創刊されるまで、「40代女子」などという言葉はないに等しかった。

 だが、2003年に創刊された『InRed』ですでに30代女子、大人女子を世に喧伝していた宝島社は、40代になった大人女子に向けて「好きに生きてこそ、一生女子」とばかり、「40代女子」を華々しくデビューさせたのである。40代になっても、妻や母という役割に生きるのではなく、私を優先して生きたい。らしさにとらわれたくない。「妻です。母です。シングルです。私たちみんな40代女子です。」(『GLOW』創刊号)女性たちの想いに支えられ、40代女子は大人女子とともに市民権を得ていった。

女性だけ、新しい種へ

 平成時代、「女子」とともに躍進した宝島社の雑誌は、並み居る強敵を押しのけて一大勢力となり、『JJ』『ViVi』『CanCam』などの赤文字雑誌に対して、青文字雑誌と呼ばれるまでになった。2009年にはついに女性誌ナンバーワンにまで上り詰めた。トップになったことを記念して出された新聞の見開き広告には、「女性だけ、新しい種へ」という見出しの後に次のような文章が続く。

 

この国の新しい女性たちは可憐に、屈強に、理屈抜きに前へ歩く。

 この国の新しい女性たち。別の言い方で「女の子」あるいは「女子」、あるいは「ガールズ」。

 彼女たちのファッションはもう男性を意識しない。

 彼女たちは、もう男性を見ない。もう、自分を含めた女性しか見ない。

 彼女たちのファッションは、もう欧米などには憧れない。

 それどころか、海外が自分たちに驚き始めている。でもそのことすら気にもかけない。

 彼女たちはもう、「年齢を捨てなさい」などという言葉など持っていない。

 そんなこととっくに思っている。いや、もうとっくに実現している。 

出典:朝日新聞、日本経済新聞 2009年9月24日朝刊全面広告より 

令和も輝く大人女子

 このように、宝島社の雑誌は新しい種としての「女子」を表現していった。従来の30代、40代女性が求められていた「妻らしさ」「母親らしさ」「女らしさ」にとらわれない新しい女性像が「女子」(あるいは「大人女子」)だったというわけだ。

『GLOW』や『InRed』だけでなく、『Cutie』『Sweet』といった宝島社の雑誌が平成時代に躍進したのは、付録の力もさることながら、妻はこうあるべき、母はこうあるべき、女性はこうあるべきという昭和的な価値観にとらわれない女性像=女子を示したからだろう。

 平成時代にせっかく生まれた新しい種、この国の新しい女性たちを絶やしてはならない。新時代も大人女子が可憐に屈強に理屈抜きに前へ歩けるように。宝島社の雑誌から新時代にかける意気込みが必要以上に感じられるのは、「令和も輝きます宣言!」をしているからなのではないか。新時代の大人女子第二章に期待したい。