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今年の確定申告4つの注意点は? 「税務署行かずに申告」も大幅に拡張

横川楓日本金融教育推進協会代表/やさしいお金の専門家/金融教育家
(写真:アフロ)

今年も確定申告の時期がやってきました。

確定申告をする必要がある人は、2月16日から3月15日までの間に、昨年分の資料を用いて、税務署へ申告書を提出しなければなりません。

改めて確定申告とはどういうものかや、マイナンバーカードを用いた確定申告、スマホでの確定申告の機能の拡張について、令和3年分の確定申告をする上でチェックしておきたいポイントについてお話ししていきます。

■そもそも確定申告はどういうときにする必要がある?

まずは確定申告をしなければならない人はどういう人かというと、

・給与収入が2,000万円を超える人

・複数の会社から給与収入を得ている人

・給与収入以外の副業収入の所得が20万円を超える人

・フリーランスなどの個人事業主で事業収入がある人

などです。

さらに、

・ふるさと納税をした人(ワンストップ特例を適用しなかった人)

・通院や処方薬などの医療費が年間10万円を超えた人

・セルフメディケーション税制対象薬の購入金額が1万2千円を超えた人

・会社勤めだったが退職して年末調整を受けていない人

などは、確定申告をすることで所得税の還付を受けられることもあります。

これらのために確定申告をしようとしているという人も多いかもしれませんね。次に、実際の確定申告の流れについて簡単にご説明していきます。

■確定申告の流れ

まず、確定申告をするためには、確定申告書を作り、税務署へ提出する必要があります。

確定申告書を作るにはさまざまな方法がありますが、事業収入ではなく給与収入の人が確定申告書を作る場合におすすめなのは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成する方法です。

 

紙で印刷して提出する場合、提出用と控え用の2枚を印刷して、郵送なら返信用封筒をつけて送付、直接提出であれば税務署へ行かなければならないなどの作業がありますが、「確定申告書等作成コーナー」であれば、パソコンでもスマートフォンでも簡単に確定申告書の作成と、申告書の提出(電子申告)まですることができます。

 

確定申告書を作成する際に必要なものとして、源泉徴収票と、ふるさと納税なのか医療費控除の申告なのかなどどの確定申告をするかにもよって必要書類は変わってきますが、インターネット上で申告書を作り電子申告をするのに必要となるのが、①マイナンバーカードもしくは②ID・パスワードです。

①マイナンバーカード

マイナンバーカード方式の場合、税務署へ行く必要はなく、自宅で全て完結するのがポイントです。

・パソコンの場合

パソコンで申告書を作成し、電子申告で提出する場合、マイナンバーカードの読み取りをする必要があります。

そして、今まではパソコンでの確定申告の場合、マイナンバーカードを読み取るICカードリーダーが必須でしたが、今年の確定申告からは、マイナンバーカード読み取り可能なスマートフォンがあれば、QRコードを読み込むことにより、ICカードリーダーなしでも電子申告が可能となりました。

国税庁ホームページ「確定申告特集」
国税庁ホームページ「確定申告特集」

・スマートフォンの場合

まずはマイナンバーカードを読み取れるスマートフォンであることは必須。厳密にいうと、「マイナポータル」アプリに対応している機種である必要があります。

iPhoneであれば、iOS 13.1以上がインストールされたiPhone 7以降の機種Androidは、2022年2月1日現在、合計343機種が対応となっています。

対応機種の確認は【こちら(マイナポータル)】

②ID・パスワード方式

マイナンバーカードがないという人は、ID・パスワードを用いた電子申告が可能です。

ID・パスワードを発行するためには、税務署へ行かなければなりません。本人確認書類を持参のうえ、税務署にて発行してもらいましょう。

また、税務署はお住いの近くではなく、会社の近くなどどこの税務署でも可能です。

コロナ対策のため、税務署の来場に際して予約が必要な場合もあるので、必ず調べてから向かいましょう。

基本的には①マイナンバーカード並びに②ID・パスワードがあれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の指示通り、申告書作成をし、自宅での確定申告書の提出が可能となります。

■知っておきたい注意点

最後に、確定申告に際して知っておきたい注意点についてまとめていきます。

①確定申告の相談のために税務署へ行きたい場合は入場整理券が必須

確定申告の時期になると、確定申告の相談のための会場として、確定申告会場というものが設置されます。

税務署のほか市区町村の施設なども会場となっており、自分が申告書を提出する税務署の会場がどこなのかを事前に調べる必要があります。

また、基本的には土日祝は、相談及び申告書の受付はしていませんが、一部の会場は2月20日及び27日に限り、日曜も相談が可能です。

【確定申告会場について】

そして、確定申告会場へ行く際には、入場整理券をもらう必要があります。入場整理券は各会場で当日も配布されますが、国税庁LINE公式アカウントから来場希望日の10日前から2日前まで事前予約も可能です。

当日の配布状況によっては後日の来場になる可能性もあるので、あらかじめ事前予約をしておくことをおすすめします。

※提出のみの場合は予約は不要となります。

【確定申告会場の予約について】

LINE 国税庁公式アカウントメニュー欄
LINE 国税庁公式アカウントメニュー欄

②電子申告であればいつでも申告可能

確定申告相談会場などで提出する場合その会場のやっている時間に行く必要があり、郵送の場合は税務署へ届く日程などを気にしなければなりませんが、電子申告であれば24時間いつでも申告をすることができます。

そして、2月16日以前にも電子申告は送信が可能です。できたタイミングで好きな時にすぐに提出できるのは大きなメリットですよね。

また、「医療費控除」「寄付金控除」「保険料控除」などの税金が戻ってくる還付申告であれば、2月16日~3月15日に限らず、1年中いつでも、5年間申告が可能なのです。

【「過去分も遡って申請できる」 知っておきたい確定申告のチェックポイント】

令和3年分については、令和4年1月1日から令和8年12月31日まで申告することができるため、税務署へ行って申告をしたいという人は、確定申告をしなければならない人たちの申告期間である2月16日~3月15日とずらしていくと、混雑状況も緩和されているかもしれません。

③スマホでの確定申告がより便利になっている

令和3年分の確定申告から、スマホ申告の対象範囲が増えました。また、源泉徴収票をスマホで撮影することで、記載内容が自動で反映される機能が追加されました。

マイナンバーカードを持っている場合、医療費控除やふるさと納税の確定申告であれば、スマートフォン上で簡単に申告が可能です。

国税庁ホームページ「確定申告特集」
国税庁ホームページ「確定申告特集」

国税庁ホームページ「確定申告特集」
国税庁ホームページ「確定申告特集」

④新型コロナウイルス感染症の影響を受けていれば、申告期限が延長に

今年は昨年と違い、一律で申告期限延長とはなりませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて期限内の申告が困難な場合、4月15日までの申告が認められます。

申請書などの手続きは必要なく、申告書に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載するだけで、期限が延長となります。

【紙で提出する場合】

申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載。

国税庁ホームページ「新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ」
国税庁ホームページ「新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ」

【確定申告書等作成コーナーで作成しe-Taxで申告する場合】

「送信準備」画面の「特記事項」欄に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力。

国税庁ホームページ「新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ」
国税庁ホームページ「新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ」

令和3年分の確定申告をするにあたり、わからないことがあれば税務署の電話相談窓口チャットボットに相談することも可能です。

直接相談がしたいのであれば、確定申告相談会場に行く際にはきちんと忘れずに事前予約をすること、もしくは還付のみの申告であれば時期をずらして税務署へ行くなどを検討することも大事です。

国税庁ホームページ「チャットボット」
国税庁ホームページ「チャットボット」

となるとやはり一番便利なのは、マイナンバーカードを用いた電子申告。どういった内容での確定申告を行うかにもよりますが、基本的にはマイナンバーカードがあればすべて電子での申告が可能です。

ただ、マイナンバーカードの発行には1か月程度かかります。いますぐ発行しても、確定申告しなければならない人の場合は間に合わないかもしれません。一方で還付申告だけの方であればマイナンバーカード発行後でも昨年分の申告は間に合うことでしょう。

これからもマイナンバーカードを使った電子申告の仕組みがより便利に整備されていくはず。

なるべく自宅でスムーズに申告ができるよう、マイナンバーカードを用いたe-Taxでの電子申告に切り替えていきましょう。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

日本金融教育推進協会代表/やさしいお金の専門家/金融教育家

経営学修士(MBA)、AFPなどを取得し、お金の専門家/金融教育家として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に尽力している。1990年生まれ。明治大学法学部卒。経営学修士(MBA)、AFPなどを取得し、現在はやさしいお金の専門家/金融教育活動家として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育普及に尽力している。2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立、代表理事となる。子供向けからお父さん向けまで、雑誌、WEB、新聞等の連載多数。著書『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。

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