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内村航平が新型コロナウイルス陽性反応。国際体操連盟・渡辺守成会長の説明は?

矢内由美子サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター
20年9月、全日本シニア選手権で鉄棒に出場した内村航平(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 国際体操連盟(FIG)は10月29日夜に緊急記者会見を開き、11月8日に東京・国立代々木競技場で開催される「Friendship and Solidarity competition」に向けて東京都北区のナショナルトレーニングセンター(NTC)で今月21日から合宿をしている内村航平(リンガーハット)が、PCR検査で新型コロナウイルスの陽性反応を示したと発表した。

 PCR検査は唾液をつかったもので、10月28日に日本チームの全員が検査を行い、29日の16時30分に結果が伝えられた。内村以外は全員陰性だった。

 内村は無症状で体温は36度3分。陽性が判明してすぐに個室に隔離されている。

 また、陽性が判明した直後の17時から行われた日本選手のオンライン会見は欠席していた。

 大会には米国、ロシア、中国、日本の4カ国から30人の選手が参加予定となっている。日本からは男女8名が参加。選手は10月21日から都内のナショナルトレーニングセンターで隔離生活に入っていた。21日の検査では陰性だったが、28日に行われた検査で陽性となった。

 以下、19時30分からオンラインで行われた渡辺守成FIG会長の緊急会見の内容。

渡辺守成FIG会長の説明:

「日本チームは10月21日、大会参加者全員がPCR検査を行い、全員が陰性だった。28日に2度目のPCR検査を行い、29日16時30分に検査結果が出て、内村選手から陽性反応が出た。現在の状況は無症状で、体温は36度3分で安定している」

「保健所にはすでに報告している。きょうは夜になっているので、明日(30日)朝9時に保健所から詳しい指示が出る。基本的には、6日間の経過観察の後、11月4日にPCR検査を受け、さらに24時間後の11月5日に再検査を行う。いずれも陰性であれば解除される。これを受けて日本チームのほかの選手や役員も全員、急遽あす再検査をする。また、当初から予定されている11月1日のPCR検査も予定通り行う」

「現段階で内村選手が大会に参加できるかは未定。それ以外の日本選手についても、あすの保健所の指示による。他の参加各国(ロシア、中国、米国)の30人も21日と28日にPCR検査を行っており、内村以外は全員が陰性。今のところ、大会は開催する予定で進んでいる。今後の推移を冷静に見ていきたい」

質疑応答:

――21日から28日までの内村選手の行動を追うことはできているのか?

「本日16時30分に判明し、本人は個室で待機中なので、21日から28日までの行動と、その前の行動については、あす保健所と一緒に調査する」

――21日から28日まではずっとNTCで合宿中だが?

「行動の追跡調査をしてみないとわからないが21日から28日までの間で感染したのかその前に感染していたのか現時点では不明。感染を広げないのが一番重要。保健所とともにしっかりとした調査をやっていきたい」

――大会が中止になる可能性は? 開催可否の基準は?

「現段階では内村選手1人が感染。次のステップとして日本チーム全体に広がるかどうかの検証が必要。もし、日本チーム全体に広がっている可能性があるなら、日本チームの参加はやめてもらう。海外からの選手については、この問題は一緒にはならない。各国は11月4日に来日する。他国に同じ状況が発生したときに大会中止の可能性はあるが、現段階では大会中止の可能性はない」

――内村選手は今どうしているのか?

「内村選手はすでに個室で隔離状態になっている。明日以降は保健所の指示による。隔離専用のホテルに移るのかどうかは保健所の指示に従う。今後は行政の管理下に入っていくことになる」

――日本チームが参加できなくても3カ国で開催するのか?

「そうです」

――内村選手はこの大会に向けて強い思いがあったのでは?

「まだ内村選手に聞いていないが、彼自身もこの大会への大きな思いがあったはず。その気持ちにこたえるためにも、できる限り大会を開催する方向で努力していきたい。自分が理由で大会が中止になることはつらいだろう。できるだけそういった状況は避けてあげたい」

――日本チームの選手はいつからNTCに宿泊しているのか。

(広報部)「選手は10月20日にNTCに来た選手と21日からの選手がいる。21日以降はNTCで生活している」

――確認だが、内村選手は現時点で欠場が決まったということではないのか?

「現在の行政指導では28日から6日間の経過観察をしてその後PCR検査を行う。それが11月4日になり、その24時間後の11月5日にやる。そこで問題がなければ、今回は勝敗ではなく、世界中の選手が集まって友情や絆を確認しようという大会なので、彼が出るか出ないかは本人の意思に任せたい」

 FIGには本大会を東京五輪開催に向けたモデルケースと位置付けたいという考えがある。そのため、本大会の開催にあたっては、日本政府から特別な許可を得て、ロシア・中国・米国からの参加選手らは2週間の自主隔離のかわりにそれぞれの国で出発前に2週間程度の隔離とPCR検査を行うことが決められている。

 日本選手の男女計8人は10月21日からNTCで合宿を始め、各選手が個室で寝泊まりしている。練習では、補助につかなければいけないとき以外は距離をとっており、食事の際にも極力会話をしないことを徹底しているほか、外出は週に1度、距離にして数百mのコンビニや薬局に行く程度に制限。手洗いやうがいも徹底している。

サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター

北海道大学卒業後、スポーツ新聞記者を経て、06年からフリーのスポーツライターとして取材活動を始める。サッカー日本代表、Jリーグのほか、体操、スピードスケートなど五輪種目を取材。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。スポーツグラフィックナンバー「Olympic Road」コラム連載中。

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