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【バスケットボール】渡嘉敷来夢 3季目のWNBAの目標は「日本人初のオールスター出場!」

矢内由美子サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター
戦況を見つめる目は鋭い(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

■5月13日(日本時間14日)、WNBA開幕!

女子バスケットボール日本代表『アカツキファイブ』のエース、渡嘉敷来夢にとって3シーズン目となる米国女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)の戦いが、いよいよ始まる。

渡嘉敷が3季連続で所属するのはシアトル・ストームだ。昨季はレギュラーシーズン12チーム中7位になり、3年ぶりにプレーオフに進出している(1回戦敗退)。今季は5月13日(日本時間14日)に敵地で行なうロサンゼルス・スパークスとの戦いを皮切りに、9月3日にレギュラーシーズン最終戦が行なわれ、上位チームがプレーオフに進むというスケジュールになっている。

渡嘉敷はJX-ENEOSサンフラワーズの一員としてWリーグ9連覇に貢献した後、4月12日にシアトルへ出発した。渡米前に行なわれた会見では、「何度行っても楽しみな気持ちは変わらない。3シーズン目なので安定したプレーでチームの勝利に貢献することが目標。しっかり自分のバスケットをやって、チームにもアメリカにもアピールしたい」と意気込みを語った。

にこやかに答える渡嘉敷(撮影:矢内由美子)
にこやかに答える渡嘉敷(撮影:矢内由美子)

初めてWNBAでプレーした2015シーズンは、16試合に出場し、1試合平均8.2得点、3.3リバウンド、0.9ブロック、フィールドゴール成功率44%を記録。新人ベスト5に選出された。

2年目の2016シーズンは、同じポジションにスーパールーキーのブレアナ・スチュアート(米国代表)が加入したことによって、先発は1試合にとどまったものの、31試合に出場して1試合平均5.3得点、3.3リバウンド、フィールドゴール成功率47.2%という数字を残した。

プレータイムは短かったが、シーズンを通じて短時間で集中力を発揮し続けて効果的な仕事をした。また、リオデジャネイロ五輪による中断以降は、4試合で2ケタ得点をマークする急成長。シーズン終盤の大事な時期にチームに貢献し、強い印象を残した。シアトルの3年ぶりプレーオフ進出の陰には渡嘉敷の奮闘があった。

■“3人目”ではなく“1人目”と言われたい!

そんな渡嘉敷が、密かに抱き続けていた“野望”を明らかにしたのが、3シーズン目に向けて渡米したその日だった。

萩原美樹紀子、大神雄子に続く「3人目のWNBA選手」である渡嘉敷だが、実は「3人目」と言われることに、ちょっとした反抗心を持っていたという。

「負けず嫌いなので、やっぱり最初というのが良い。何かで1番になりたい」

こうした思いを元に、目標とすることにしたのが「オールスター出場」だ。今季は7月22日に所属するシアトルを舞台に開催されることが決定しており、絶好の機会と言える。

「誰も成し遂げたことがないことをやりたい。オールスターに出たら日本人初なので、みんなに“1人目”と言われるかな」。口調には茶目っ気も混じっていたが、もちろん思いは真剣だ。

渡嘉敷が考えているのは「全米の日本人が自分に投票してくれればかなりの得票になる」ということ。票を得るためにも、今季は一層の活躍とチームの勝利への貢献を自分へのノルマとしている。

■3点シュートにも挑戦

個人スキルの中で伸ばしていきたいと考えている目標もある。3点シュートだ。

渡嘉敷が昨夏のリオ五輪で痛感したのが、「世界ではペイントエリア(インサイド)だけでは通用しない」ということだった。

ところが、リオ五輪後はすぐにWNBAが再開したため、新たなトレーニングを積む時間はなく、また、米国から戻って参戦した日本国内のWリーグではインサイドでプレーすることがほとんどで、アウトサイドからシュートを打つ役割を担うことはなかった。昨夏から温めてきたプランを実行するのが今シーズンのWNBAなのだ。

「(日本代表の)トム・ホーバスヘッドコーチからも『チャンスがあったら打ってきなさい』と言われている。外と中のバランスを考えて攻めることのできる選手になりたい」

5月3日と7日にはフェニックス・マーキュリーとプレシーズンマッチを行ない、渡嘉敷は2試合とも先発出場。86-64でシアトルが勝った第1戦は24分のプレータイムで4得点、5リバウンド、55-72で敗れた第2戦も24分のプレータイムで6得点、5リバウンドの数字を残し、3シーズン連続の開幕ロースター入りを勝ち取った。

シーズンが始まり、順調にプレータイムを確保しながら外角シュートを決めるようになっていけば、それがいずれ日本の力となっていくのは間違いない。オールスター出場を含めた3シーズン目のチャレンジと成果に、大いに注目したい。

「オールスターに出たい」と目を輝かせる渡嘉敷(撮影:矢内由美子)
「オールスターに出たい」と目を輝かせる渡嘉敷(撮影:矢内由美子)
サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター

北海道大学卒業後、スポーツ新聞記者を経て、06年からフリーのスポーツライターとして取材活動を始める。サッカー日本代表、Jリーグのほか、体操、スピードスケートなど五輪種目を取材。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。スポーツグラフィックナンバー「Olympic Road」コラム連載中。

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