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『あつまれどうぶつの森』の島には、クリオネもヨナグニサンもいる! いったいどこにある島?

柳田理科雄空想科学研究所主任研究員
イラスト/近藤ゆたか

こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。

マンガやアニメ、特撮番組などを、空想科学の視点から、楽しく考察しています。

さて、今回の研究レポートは……。

『あつまれ どうぶつの森』は、空想科学的にもまことに興味深いゲームだ。

プレイヤーが無人島に移住して、自分の思うように島を開発しながら、魚釣りをしたり、昆虫採集をしたり……。

島の自然は豊かで、森にはヨナグニサンが飛び、海にはクリオネが泳ぎ、1年中フルーツや花が採集できて……って、ちょ、ちょっと待て。

それ、いくらなんでも生態系が豊かすぎるのでは!?

『あつ森』の無人島は、いったいどこにあるのだろうか?

◆シュモクザメとタラバガニが同居!?

『あつ森』における島は、正方形の「マス」で作られていて、境目の海も含めると96マス×112マス。

人間と比較すると、1マスの大きさは、縦横1mほどだから、ざっくり100m四方といった感じだろう。ちょっと広めの学校の敷地くらいだ。

自然界には「種数-面積関係」というものがある。

「面積の小さな島ほど、生物の種の数は少ない」という法則で、面積が小さいと新しい種が生まれにくく、現存する種が絶滅しやすいからだ。

すると面積が1万m²しかない島には、動植物の種類も少なそうに思われるが、ところがどっこい『あつ森』の島は動植物がメチャクチャ豊かだ。

たとえば近くの海には、イシダイがいて、ヒラメがいて、カレイがいて、シュモクザメがいて、ジンベエザメもいて、タラバガニもいて、クリオネまでもいる。

メンダコや、リュウグウノツカイさえもいる。

これはスゴイ顔ぶれだ。

タイは岩場、ヒラメやカレイは砂地という違いはあるが、世界中に分布しており、それだけでは島の場所はわからない。

有力な手がかりは、シュモクザメやジンベエザメがいることだろう。

これらの魚は温かい海に広く生息するから、島は熱帯、亜熱帯、温帯あたりにあるのでは……という気がしてくる。

ところが、タラバガニが棲むのは水温0~8度くらいの海で、日本では北海道の近海にしかいない。

また、クリオネは「流氷の妖精」と呼ばれるくらいで、北極圏を含む北太平洋と北大西洋、南極圏の寒流などに棲んでいる。

日本だと、1年じゅう見られるのは、北海道の沿岸と富山湾だけだ。

◆標高1000mの山がある!?

これに、昆虫の生息状況を考え合わせると、もっとわからなくなる。

島には、ヨナグニサンや、コーカサスオオカブトがいるのだ!

ヨナグニサンは、翅を広げた幅が24cmにもなる世界最大級の鱗翅目で、インド、ヒマラヤから東南アジア、中国南部、台湾の森林に棲み、日本では、与那国島、西表島、石垣島にしかいない。

コーカサスオオカブトは、インドネシアのスマトラ島やジャワ島、マレー半島など東南アジアに生息し、しかも多くは標高1000mを超える高地に棲むという。

さらに川には、ブルーギル(原産地・北アメリカ)、ブラックバス(北アメリカ)、ティラピア(アフリカ、中近東)、ガー(北アメリカ、中央アメリカ)など、特定外来生物が多い。

環境の破壊が心配になるが、それらは日本に持ち込まれたから特定外来生物なのであって、原産地では在来種である。

『あつ森』の島はもともと無人島だから、それらの魚は最初からいたのだろう。

北アメリカとアフリカの魚がいっしょに棲む島は、いったいどこにあるの!?

標高や深度のことまで考えると、ますます不可解である。

前述のように、コーカサスオオカブトがいるとなると、標高1000mを超える山地がある可能性が高い。

島自体は100m四方ほどしかないのに、標高1000mの山がある!?

周辺の海で不思議なのは、浅い海に棲むウツボ(水深60mまで)やハナヒゲウツボ(水深50mまで)と、深海魚のチョウチンアンコウ(水深200~800m)やリュウグウノツカイ(水深200~1000m)が同じ海で獲れること。

深度200m以深を「深海」というが、この島の周囲はすぐに深海になっているのだろうか。

日本の場合、富山湾は海岸のすぐ近くから深海になっていて、最深部は1000mを超えるが、それは北米プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる場所だから。

『あつ森』の島の周囲にも、プレートの沈み込み地帯があるのか、地質学的な歴史がまことに気になってくる……。

◆その島は暑いのか寒いのか?

さて、これらの状況をまとめると、どうなるか?

前述のとおり『あつ森』の島には標高千m級の山がある可能性が高く、一方で近海には深海がある。

山と海を合わせると1200mを超える標高差があるわけで、山から海に至る斜面は、絶壁のようになっているのかもしれない。

滑り落ちたら最後の、想像するだけでオソロシイ島だ。

そして、この島が北半球にあるとしたら、島の北側はタラバガニやクリオネが棲む極寒の海で、南側はシュモクザメやジンベエザメが回遊する温かい海ということになる。

南北たった100mの島をはさんですごい温度差の海が混ざり合うことなく広がっている?

北側の寒流と南側の暖流が、あいだの穏やかな海をはさんで、東西逆向きに流れている……のだろうか。

イラスト/近藤ゆたか
イラスト/近藤ゆたか

そんな極端な海域に挟まれていたら、島の上空では、冷たい空気と暖かい空気が常にぶつかり合って、暖気が寒気に乗り上げて渦を巻き、嵐のような大荒れの天候になっているに違いない。

標高1000mの山には常に稲妻が轟き、逆巻く猛風と豪雨は春夏秋冬やまない……。

島がどこにあるのかは特定できないのだが、とてもキビシイ環境なのは間違いない。

こんなところに移住する『あつ森』のヒトビトは、モノスゴクたくましいと感服いたします。

空想科学研究所主任研究員

鹿児島県種子島生まれ。東京大学中退。アニメやマンガや昔話などの世界を科学的に検証する「空想科学研究所」の主任研究員。これまでの検証事例は1000を超える。主な著作に『空想科学読本』『ジュニア空想科学読本』『ポケモン空想科学読本』などのシリーズがある。2007年に始めた、全国の学校図書館向け「空想科学 図書館通信」の週1無料配信は、現在も継続中。YouTube「KUSOLAB」でも積極的に情報発信し、また明治大学理工学部の兼任講師も務める。2023年9月から、教育プラットフォーム「スコラボ」において、アニメやゲームを題材に理科の知識と思考を学ぶオンライン授業「空想科学教室」を開催。

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