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大粒のぶどうによる窒息を予防する その6 〜包装に貼るシールができた〜

山中龍宏小児科医/NPO法人 Safe Kids Japan 理事長
Safe Kids Japan作成のシール。筆者撮影。

 2020年9月7日、東京都八王子市の私立幼稚園で、4歳男児が給食に出されたぶどう(ピオーネ)をのどに詰まらせて死亡した。

 2016年3月には、内閣府、文科省、厚労省から「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が出され、「事故防止のための取組み」の冊子の21ページには、「誤嚥・窒息につながりやすい食べ物の調理について」という項目があり、その中の「給食での使用を避ける食材」として、ぶどうやミニトマトが挙げられた。それにもかかわらず、教育・保育の場で大粒のぶどうによる窒息死が発生した。これは、大粒のぶどうの危険性を知らないということだ。ガイドラインを出しただけでは、予防にはつながらないことが明らかとなった。

 教育・保育の場だけではない。家庭においても、大粒のぶどうやミニトマトの危険性は変わらない。そこで、大粒のぶどうやミニトマトの包装に、「4才までの子どもに食べさせるときは、『縦に』4つに切って食べさせてください」という内容のシールを貼ることを提案した。

 指摘・提案するだけでは、予防にはつながらない。そこで、NPO法人 Safe Kids Japanでシールを作ることにした。大粒のぶどうとともに、ミニトマトの危険性も知られているので、今回は2種類のシールを作成した。これらのシールは、主に生産者の方に使っていただきたいと考えている。

 一方、青果店やスーパーマーケット、野菜・果物の直売所など、店頭でミニトマトやぶどうを販売している事業者の方から直接消費者の方に手渡せるよう、A5版のチラシも作成した。この度、そのシールとチラシが出来上がったので紹介したい。

実際にシールを貼ってみたところ。筆者撮影。
実際にシールを貼ってみたところ。筆者撮影。

このシールは、どなたでも自由に使ってください。

なるべく多くの人に、こういうシールがあることを知らせてください。

シールを使用した場合は、その写真をSafe Kids Japanに知らせてください。

 このシールが、日本中で使用され、子どもの窒息事故が減ることを願っています。

小児科医/NPO法人 Safe Kids Japan 理事長

1974年東京大学医学部卒業。1987年同大学医学部小児科講師。1989年焼津市立総合病院小児科科長。1995年こどもの城小児保健部長を経て、1999年緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。1985年、プールの排水口に吸い込まれた中学2年生女児を看取ったことから事故予防に取り組み始めた。現在、NPO法人Safe Kids Japan理事長、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員、国民生活センター商品テスト分析・評価委員会委員、日本スポーツ振興センター学校災害防止調査研究委員会委員。

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