『グランメゾン東京』から学ぶ幸せになる努力とグリットの心理学

(写真はイメージ)(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

■TBSドラマ『グランメゾン東京』最終回(木村拓哉・鈴木京香)

TBS系列のドラマ『グランメゾン東京』(木村拓哉・鈴木京香)。今期のドラマ中No.1満足度を保ちながら、ついに12月29日最終回を迎えました。

全てを失った天才料理人尾花夏樹(木村拓哉)が、仲間と共にミシュランの三つ星を目指す物語でした。

番組終了後、ネット上でも絶賛です。

「号泣」「素晴らしいドラマをありがとう」「一皿に心血を注ぐ料理人の情熱を知りました」「この(最終回の)シーン、世界最高です!!!」「面白かったーーー!」

「とても満足度の高い素敵なドラマだった」「自分の歴代ドラマの中でもトップレベルに最高」

ツイッターでも、最終回終了後に「最高のドラマ」がトレンド入りでした。

そして、

「(最終回での三つ星授賞式での)オーナーシェフ論子さん(鈴木京香)のスピーチ、すごく良かった」。

このスピーチに、ドラマのテーマがみんな入っているように感じました。

天才的な主人公がみんなをグイグイ引っ張って成功を修めるドラマはたくさんありますが、このドラマは一度は全てを失った天才シェフが傷つきながらも成長して、そしてみんなを育ていく物語だと、最終回であらためてわかりました。

■三つ星授賞式でのオーナーシェフ早見倫子(鈴木京香)のスピーチ

念願の三つ星を獲得したグランメゾン東京のオーナーシェフ論子さん。感動に震えながらのスピーチが始まります。

「すべての飲食業界に関わるすべての人に、敬意を評します。この舞台に立たせてもらえていることに、感謝いたします。ここに立つことを夢見て、ずっとやってきました。でもダメでした。理由は簡単です。努力が足りなかったからです。それに気づかせてくれたのは、店の仲間たちです。彼らは教えてくれました。情熱を持って向き合うこと。最後まで逃げないこと。お客様を一番に考えること。そして、自分を信じること。彼らが、私をこの場所に運んでくれました。みんな、ありがとう!」

「私はこの仕事が大好きです。誇りに思っています。」〜

「そして、私が尊敬する”尾花夏樹”に負けないように、これからも精進し続けます」。

■凄まじい努力

オーナーシェフ早見倫子(鈴木京香)は、一流の料理人を目指していました。しかし、自分だけの力ではミシュランの星は取れないと悟り、そこで尾花夏樹(木村拓哉)と共に三つ星を目指すことになります。

ドラマが進むにつれて、論子さんは尾花たちの凄まじい努力を目にすることになります。自分が超一流にはなれなかった理由は才能以前に努力が足りなかったからというセリフは、最終回以前にも出てきます。

論子さん以外にも、「これだけの料理を作るためには、どれだけの努力があったことか」といったセリフは、他の登場人物も語ります。

このドラマの中では、「天才」「才能」よりも、「努力」が語られていたように感じます。

現実世界でも、努力しないで大成功している人はいないでしょう。「大して努力していない」と語る成功者は多くいるのですが、それは謙遜だったり、コッコつけだったり、あるいは本人に努力の自覚がないだけです。

成功、大成功のレベルは、人によって違います。エジソンも、1パーセントのひらめき(インスピレーション)と99パーセントの努力(パスピレーション:汗)と言っていますね。

資格試験に合格した学生が、「そんなに勉強しなかった」と言っていましたが、周囲の学生は「いつも図書館にいたよね」と語っていました。これは、嘘や謙遜ではなく、自覚がなかったようです。

プロ野球で、並の選手で終わった人が、言っていました。「若い頃は大した努力をしなくても成績が残せた。けれど、のちに大成功した選手はその頃からすごい努力をしていた。その差が現れたのだと思う」。

成功する人々は、もう一歩上に行こうと考えます。しかも、それを楽しんでいるかのように。

ドラマの登場人物たちも、多くのものを犠牲にして料理にのめり込みます。しかし同時に、どこか楽しそうです。

先月NHKテレビで放送された番組「プロフェッショナル 仕事の流儀▽弁当人生おいしさへの情熱は冷めず~山本千織」。約束の時間が迫る中、さらに良いものを作ろうとする姿が描かれています。時間的には切迫しているのですが、どこか楽しそうと、ナレーションで語られていました。

同じ「忙しい」にも、辛い忙しさと楽しい忙しさがありますね(私たちはなぜ忙しいのか:心が亡びないための正月休みの過ごし方の心理学)。

■努力がすべてではない

ドラマ「グランメゾン東京」の登場人物、京野陸太郎(沢村一樹)。彼も、一流の料理人を目指していました。しかし、自分の才能の限界に気づき、ギャルソン(給仕)に転向します。そして超一流のギャルソンになります。

エジソンも、実は99パーセントの努力を生かすためには1パーセントの才能が大切だと言いたかったようです。

心理学の研究からも言われていますが、大成功のためには、才能と、努力と、環境と、運、すべてそろわなければならないようです。

でも、自分の生まれついての才能は自分で動かせません。生まれ育った環境も今更変えられませんし、運はなおさら左右できません。しかし、努力は自分次第です。

オーナーシェフ論子さんも、実は素晴らしい才能があったのですが、料理輪のしての自信を失いかけていました。それを尾花は見出し、共に働きながら彼女の才能を開花させることになりました。

(写真はイメージ:写真AC
(写真はイメージ:写真AC

■成功には努力が必要

近年話題にあっている「やり抜く力」(GRIT グリット)の研究によれば、成功のために努力は二重に大切です。

やり抜く力の研究によれば、

才能×努力=スキル(技術)

スキル(技術)×努力=達成(成功)

とされています。

努力することでスキルが磨かれ、そのスキルを使って努力することで大成功が近づきます。

■努力のためには、楽しさ、自信、目標、希望が必要

研究によれば、やり抜く力が育つためには、4つステップが必要です。

  1. 興味を持つ
  2. 練習する
  3. 目標を定める
  4. 希望を持つ

ただ努力をしろと言われても、できるものではありません。

仕事でも趣味でも、まず興味を持つこと。大好きになることです。

そして練習をすることが必要ですが、意味な練習や努力を続けるためには、目標を目指す情熱が必要です。部活に励む生徒が、腹筋や腕立て伏せ自体が楽しくなくても、部活が楽しいと感じるのは目標を目指す情熱があるからです。

そこには、良い仲間も必要でしょう。良いライバルやチームメイトの存在は大切です。

それでも、いつも目標が達成されるわけえではありません。そこで必要になるのが、希望です。自分を信じること、仲間を信じること、最後まで逃げないことです。

世の中では、時短とか働き方改革とかと言われています。とても大切です。その一方で、ドラマではやはり仕事やスポーツに夢中になり、成功と幸せをつかむ物語が繰り返し描かれています。視聴者は、そのドラマに感動します。

「心理学の研究によれば、何もしない楽な状態が幸せな状態ではありません。低い目標は平凡な結果をもたらすだけではなく、自分が二流であるという感覚を植え付けます。満足感の高い人生のためには、困難な目標を避けて通ることはできません」(やり抜く力(グリット)の育て方:本当のやる気スイッチはどこにある?:Y!ニュース有料)

命と健康は大切です。家庭も仕事も大切です。人生を充実させることも大切です。これらのことは、本当は矛盾しないのだと思います。簡単なことではありませんが、ドラマに感動したように、幸せになる努力を私たちも続けていきたいと思います。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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