酒を飲まなければ良い人?いいえ酔ってDVする夫です

(写真はイメージ)(ペイレスイメージズ/アフロ)

「酒を飲まなければ良い人」と考えず「酒を飲んでDVする夫」と考えて、自分と子どもを守ろう。

■妻と子が焼死、放火容疑で夫を逮捕

悲惨な事件です。

~全焼した民家から母子とみられる3人の遺体~妻美由さん(31)が「酒に酔った夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けている」と警察に相談~「深酒した夫に平手で頬をたたかれる」~同署は島谷容疑者に口頭で警告し、「二度と妻に手を上げない」という内容の誓約書を書かせた。それ以降、美由さんや同居の家族らからDV被害の相談はなかった。

出典:<放火母子死亡>妻が相談「酔った夫からDV」:河北新報7/6(木) 10:24配信

亡くなったのは、妻と3歳と1歳の子どもです。別の報道によると、酔った夫がライターで布団に火をつけたと見られると報道されています。妻は1年前から警察に相談相談していました(最近は相談していなかった)。また知人らの話によると、「仲の良い家族に見えた」とも報道されています。容疑者である夫も、仕事上の問題もなく、悪い評判もなかったと報道されています。

■酒を飲まなければ良い人?

夫、恋人のアルコール問題で悩む人がよく言うセリフです。「酒を飲まなければ良い人」。気持ちはわかります。それは、本当なのでしょう。大量飲酒する人の中には、仕事もせず日常的に問題を起こし続ける人もいますが、普段は全く問題が見えない人もいます。真面目に働き、収入を得て、妻子にも優しい人です。しかし、酒を飲むと人が変わります。

欧米で大きな社会問題になるアルコール依存症などの問題が、日本ではそれほど大きくなりません。その理由の一つが、日本人は仕事には行くからです。従業員の1割が酒の問題で休んだりすれば大問題になりますが、仕事をきちんとしてくれれば、社会問題にはなりにくいでしょう。

本当に良い人、良い夫、良い父と言ってよい人たちもいます。同僚も、友人も、親でさえ、酒に伴う暴力、DVの問題に気づかないこともあります。

普段は、良い人で、おとなしい人で、暴力を振るうなど想像もできない人が、家庭内で暴力(DV:ドメスティック・バイオレンス)をふるうことがあります。酒を飲むと、そうなる人もいます。

■酒を飲んでDVをする夫

「酒を飲まなければ良い人」。それ自体は間違いではないかもしれません。しかし、その男性への見方として「酒を飲まなければ良い人」は間違っています。その男性は「酒を飲んで暴力(DV)をふるう人」なのです。

「酒を飲まなければ良い人」と考えてズルズルと関係を続けると、悲劇が生まれることがあります。妻の中には、子どもが産まれればあの人も変わってくれるだろうと思う人もいますが、父親になっても酒を飲めば暴力をふるう行動は変わりません。

さらに妻の中には、もう一人子どもを産めば変わってくれるだろうと考える人もいるのですが、何人子どもが生まれてもやはり変わりません。問題がさらにこじれて悪化するだけです。

夫や恋人を私の支えと力で正しい人に変えてあげようと思う女性もいます。その気持ちは素晴らしいと思うのですが、問題は解決しません。

■警察への相談と反省

誰かに相談することは良いことです。普通なら、誰かに、特に警察などに叱られれば、反省します。反省文や誓約書などを書かせれば、変わることもあるでしょう。しかし、多くのアルコール問題、家庭内暴力(DV)は、変わりません。

妻や恋人に暴力をふるう男性は、暴力の後は優しくなったりします。ただし、しばらくは優しくしながらもストレスが溜まり、また暴力をふるいます(DVサイクル)。酔って乱暴する人は、酔いからさめて冷静になれば、本気で反省することもあるでしょう。しかし、酒はやめられません。酒を飲むと暴力を振りたくなることも変わりません。

相談することは大切です。そして、相談し続けることが大切です。

反省を見せ、誓約書などを書かせ、それでも酒や暴力が止まらない時、女性は相談をあきらめることがあります。相談する前よりもさらに孤立することがあります。

■自分と子どもを守ろう

結婚して、私がこの人の酒や暴力をやめさせようと思う女性もいるのですが、男性の大量飲酒と暴力が止まってから結婚しましょう。その女性の愛は素晴らしいですが、妻は看護師でもカウンセラーでもありません。

男性への愛と責任感は素晴らしくても、問題は解決せず悪化します。時には、優しさやよりも心を鬼にする必要のある時があります。酒を飲んで暴力をふるう人とは一緒に暮らせません。子どものことを思って別れない人もいますが、何が本当に子どものためかを考えましょう。

日本中で、夫の大量飲酒や暴力で悩んでいる女性がたくさんいます。男性だって、自分の行動に悩んでいる人が多くいます。男性への優しさが本当の優しさとは限りません。妻は、みんなのために、自分と子どもを守りましょう。

警察以外にも相談できる場所はあります。シェルターもあります。まず、自分を守ることが、結局はみんなの幸せにつながるのです。

リンク

女性のためのDV相談室

各地の女性センター、福祉事務所、警察署、配偶者暴力相談支援センター、法テラスなど、相談窓口はたくさんあります。行きやすいところ、相談しやしところに行って、相談し続けましょう。

女性センター一覧(内閣府)

婦人相談所一覧(厚生労働省ホームページ)

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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