少女誘拐監禁事件の犯罪心理学:なぜ彼らは少女を狙うのか
■少女監禁事件加害者の心理:なぜ少女を狙うのか
先日も、岡山で事件が発生しました。今回は、スピード解決で被害者も無事保護されましたが、数年に渡る監禁事件も発生しています。今回の事件では、まだ詳しい情報はありませんが、「少女に興味があった」との供述が報道されています(フジテレビ系(FNN) 7月21日)。
普通の成熟した男性は、成熟した女性を求めます。しかし、成人女性との関係に自信が持てないことを心理的背景として、少女に関心を示す男性もいます。
すでに身体的には成熟しつつある少女を狙う場合は、成熟した女性の代理として狙うわけですが、あえて未成熟の幼女を狙う場合もあります。
彼らは、被害者から見れば恐ろしい存在ですが、心理的にはしばしば傷ついた心を持っています。その傷ついた心を天使のような存在に癒して欲しいと感じて、少女を狙います。
女性に優しくして欲しいと願うのは、男性として普通でしょう。しかし、通常の人間関係で女性から愛と尊敬を得る自信はない。お金を払ってサービスを受けるだけでは満足しない男性もいます。
すると、空想の中や、ビデオの中のストーリーで満足を得ようとします。彼の中でしだいに異様なイメージが膨らみます。現実にはあり得ない、天使のような少女に慕われている生活です。
通常は、空想やビデオの世界で満足しているのですが、それではガマンできず、現実の世界で実現しようと考えてしまう人も登場します。誘拐できる時間、場所、道具、被害者の存在。監禁できる住居環境、生活状態など、条件がそろったとき、おそろしい犯行に至る人もいます。
誘拐監禁した少女に、明白な性的行為に至る小児性愛(ペドフィリア)と呼ばれる、性倒錯(性的異常)の場合もあります。行為の後、殺害することもあります。
一方、上記のような少女への関心はあるものの、性的行為はまったくない場合もあります。客観的には誘拐監禁という残酷な行為をしているのですが、主観的には大切にしていて、「仲良しになりたかった」と語った犯人もいました。
■犯行防止のために
少女への犯行は、再犯率が高い犯罪の一つです。前の犯罪で執行猶予中に次の犯罪を犯した犯人もいました。出所後すぐに、次の犯罪に走った人もいました(本当にひどい犯罪者だと思います。被害者や被害者のご家族のことを思うと、言葉もありません)。
小児性愛(ペドフィリア)自体を治療するのは、とても難しいものです。
犯罪防止のためには、刑罰の強化や監視強化も考えられるでしょう。しかし、それらには限度があり、副作用も考えられます。簡単に終身刑にはできませんし、社会的に孤立させることは逆効果だとの意見もあります。そこで現在、性犯罪者への刑務所内での教育も始まっています。
また、小児性愛自体が治らなくても、実行に移さないですむためには、通常の社会生活が順調に進む、失いたくない人間関係や仕事などを持つことも大切です(「社会的絆」の重要性)。
悪いのは犯人であり、被害者は何も悪いことはありませんけれども、私たち社会全体で防犯を考えることも必要でしょう。
→ネットと世間に流れる「少女はなぜ逃げなかったか」に答える:岡山小5少女誘拐監禁事件(倉敷女児誘拐監禁事件)被害者保護のために
→「変質者犯罪から子ども守ろう:少女誘拐監禁事件の犯罪心理学(岡山小5誘拐監禁事件・倉敷女児誘拐監禁事件から)」
→「子どもを守る」の本当の意味は?:心理学者が伝える正しい子どもの「傷つけ方」:犯罪被害は困りますが、弱い子を育ててしまっても困ります。
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長期監禁事件の犯罪心理学:アメリカ監禁事件、オハイオで10年監禁の3女性保護:加害者の心・被害者の心