風評被害の心理学:原発被害と戦おう、東日本と共に福島県と共に歩もう
■続く福島県の風評被害?
東日本大震災による福島第一原発の事故から3年。いまだに風評被害は続いていると報道されています。
<東日本大震災3年>風評と闘う「福島産」野菜:毎日新聞 3月8日
「数値の上では安全を確保しながら、「風評」という見えない敵と闘う現場」
震災3年 福島でシラウオ初水揚げ「風評が心配…」(テレビ朝日系(ANN))3月5日
福島県産品「買わない」30% 首都圏消費者の意識調査:福島民友新聞 2月13日
■風評被害とは
風評被害とは、「ある事件・事故・環境汚染・災害が大々的に報道されることによって、本来「安全」とされる食品・商品・土地を人々が危険視し、消費や観光をやめることによって引き起こされる経済的被害」です(関谷直也先生の定義)。
本当は安全なものまで、購入者が減ってしまうのが、「風評被害」です。
「人は本当に『安全でない』」から買わないのではなく『安全でなさそう』だから買わないのだ」とも言われています(三輪宏子師)。
たしかに、クリーニングしたての清潔なパンツでも、それで顔はふかないでしょう。気持ちはわかります。ただし、パンツで顔を拭かなくても誰も困りません。原発による風評被害は、多くの人が困っています。
たとえば、ある食物の不衛生な不祥事などが報道されれば、それとは全く関係ないところで生産された同じ食べ物が売れなくなったりします。何となく気持ちが悪いと感じます。私達は安全な物ではなく、安全そうに感じられる物を食べるのです。
ただし、こういった現象はしだいに弱くなります。でも、原発事故からはもう3年です。そろそろ風評被害をやめましょう。
■風評被害の発生メカニズム
関谷先生の社会心理学的研究によると、風評被害は、次のように発生します。
「人々は安全かどうかの判断がつかないのだらか、危険そうなものは買わないだろう」と、卸売業差など市場関係者が考える(想像する)→取引量減少、価格低下。
この様子が大きく報道される。「やっぱり怖い」などといった街頭インタビューが流される。人々は、「風評被害」が起きていると感じる。
その結果、市場関係者の「想像上の風評被害」と実際の消費者の行動が近づき、「実際の風評被害」が発生します。
メディアの責任は大きいと言えるでしょう。店から消えた商品や、怖がる消費者などを散々映しておいて、最後に風評ですなどと言っても、それではかえって風評被害を増大させます。
■風評被害を悪化させるもの
1膨大な報道
大きな報道がなければ、風評被害はなかなか生まれません。まちがった「うわさ」ではなく、報道が風評被害を生みます。さらにやっかいなことに、報道の内容ではなく、報道の量の大きさによって、風評被害は生まれやすくなります。
たとえば、「碓井は結婚詐欺ではありません。本当に詐欺師ではありません。絶対に詐欺師などではないのです!」などと言い続けると、だんだん碓井が怪しい人間に思えてきませんか?
つまり、何であれ、マスコミのが過剰に取り上げるほど、風評被害も広がりやすくなる危険性があるわけです。事実を伝え、問題意識を高めることは、確かに必要です。しかし、風評被害生まない配慮した冷静な報道が必要です。
2情報の不足
正確な情報が十分にないと、「何か隠しているのではないか」と人々が思い、本来安全なものまで買わなくなるという風評被害が発生します。
3不安をあおるもの
放射能が怖いといったツイートが飛び交ったりすると、風評被害は悪化します。悪気はなくてもネットでデマ(流言)が流されることもあります。
■風評被害と戦うために
マスコミ、インターネット、有名人の言動などが、風評被害を生み、悪化させることがあります。けれども、その逆もできるはずです。普通においしく東日本、福島県や隣県の作物を食べている様子、売れている様子を報道しましょう。
ネットでのあなたの一言が、一つの流れを作る可能性もあります。
総理官邸では、福島産のお米を使っていますね。
危険な物は避けましょう。安全な物は、美味しくいただきましょう。
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