在宅勤務でも都心通勤でもない。「郊外サテライトオフィス」という選択ーーリモートワーク時代の街づくり

タリン市風景(出展:エストニア政府)  

 コロナを機に在宅シフトが一気に進む。日立は来年4月から在宅比率を5割にする方針を示し、ITベンチャーの中にはオフィス廃止の動きもある。大企業は週1日程度が多いが次第に在宅勤務比率は上がるだろう。住居選びでは再び郊外志向の兆しがあり、東京から地方へ人口流動が起きるという予測もある。こうした動きの中でこれからの街づくりはどうなるか、考えたい。

〇リモート勤務は功罪半々

 ステイホーム期間に多くの人が在宅勤務(リモート勤務、テレワーク)を経験した。ヒアリングしてみると功罪半々だった。「オンライン会議は意外と快適」「通勤がないのは最高」「家族と過ごす時間が延びた」といった反応の一方で「寂しい」「オンラインで新人育成は無理」「初対面の相手とは厳しい」等も分かった。若者には概して好評だが若い夫婦は辛いようだ。狭い家に大きなディスプレイの置き場がない」「子どもが泣いたり家族が会議している横で集中できない」と嘆く声もある。中には「サービス残業が家までやってきた。社畜が家畜になった」と言った皮肉なコメントもあった。

〇郊外のサテライトオフィスはどうか。

 おそらく「完全在宅シフト」も「全く在宅なし」もともに現実的ではない。企業にとって正解はこの2つの間にある。筆者は大企業の場合、本社の規模は維持しつつ、郊外に複数のサテライトオフィスをいくつか置くというやり方が標準になるような気がする。例えば本社スタッフを半分に減らし、残りは八王子市、さいたま市、鎌倉市の3つのサテライトオフィスに勤務する。社員は週に1回本社に会議に行くが、他の2日はサテライトオフィスに通勤し、後の2日は在宅勤務といった勤務形態だ。パンデミックのリスクを考えると、朝夕の通勤時間帯に満員電車で都心に通勤するのは避けたい。郊外オフィスなら広々とした空間が取れるし、通勤時間も短くてすむ。駐車場も使える。

〇サテライトオフィスは社内縦割りを壊す

 サテライトオフィスには社内文化を変えるポジティブな効用がある。社内の部門間連携がうまくいきやすい。サテライトオフィスでは近隣に住む見知らぬ他部門の社員と机を並べる。リラックスした環境で他の部署の人との付き合いが始まり、ランチの場などで自然に部門間コミュニケーションが進む。こうした効用は新たに発生する賃料コストを上回りうる。

〇街づくりの核にサテライトシェアオフィスを誘致

 自治体もこうしたトレンドを先取りして、街づくり戦略を見直すといい。従来の企業誘致は高速道路の近所の物流センターや工場の誘致が主流だった。しかし今後は企業のサテライトオフィスも誘致対象になりうる。

 特に注目したいのは、

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筆者は経営コンサルタント。35年間で100超の企業・政府機関の改革を手掛けた。マッキンゼー時代は大企業の再生・成長戦略・M&A、最近は橋下徹氏や小池百合子氏らのブレーン(大阪府市、東京都、愛知県、新潟市等の特別顧問等)を務めたほか、お寺やNPOの改革を支援(ボランティア)。記事では読者が直面しがちな組織や地域の身近な課題を例に、目の前の現実を変える秘訣や“改革のシェルパ”の日常の仕事と勉強のコツを紹介する。

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専門は企業,政府,非営利組織の戦略&経営改革。1957年大阪市生まれ。京大法,米プリンストン大学院修士卒.旧運輸省,マッキンゼー(パートナー),米ジョージタウン大学研究教授を経て現職.兼務で大阪府市特別顧問,愛知県政策顧問,国交省政策評価会座長,日本博物館協会評議員,ビジネスモデル学会理事のほか企業の取締役,監査役,顧問等。過去に東京都顧問・特別顧問,東京財団上級フェロー,新潟市都市政策研究所長等を歴任.著書に『改革力』『大阪維新』等。世界117か国を旅した。DMMオンラインサロン「街の未来、日本の未来」主宰 https://lounge.dmm.com/detail/1745/

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