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年俸5億円でもメジャー保証なし…藤浪晋太郎のメッツ契約を上原浩治が解説「大化けの可能性はまだある」

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月中旬からのキャンプインを前に、メジャー2年目の藤浪晋太郎投手がニューヨーク・メッツと1年契約で合意した。年俸335万ドル(合意時のレートで約5億円)で、出来高が最高85万ドル(同約1億2600万円)となっている。

 昨季、アスレチックスとの契約が年俸325万ドル(同約4億2千万円、シーズン途中でオリオールズへトレード)だったので、評価はほぼ変わらないが、現地の報道によれば、ポジションは中継ぎでの契約。さらに、昨季はメジャー在籍が保証されていたが、今回はメジャー枠を保証する条項は盛り込まれておらず、マイナー降格も可能になっているという。

 日本球界では年俸5億円といえば、超一流クラスの待遇になるが、メジャーでは平均年俸よりやや下という位置づけ。メジャー枠が保証されていない以上、春季キャンプから早くもサバイバルが始まると言っていいだろう。

 ただ、この時期に契約が決まったことは大きなプラスになる。

1点目は精神面だ。新しいチームに溶け込むための時間がある。キャンプと同時に新しいチームメートと顔を合わせるのと、シーズン途中からでは、私の経験上も全然違う。さらに、メッツには、エース格の千賀滉大投手もいる。日本選手がいなかった昨季のアスレチックス、オリオールズとは違い、環境面でもリラックスできる面はあるだろう。

 2点目はチーム事情である。メッツは昨季、ナ・リーグ東地区の優勝候補に挙げられながら4位に低迷し、バック・ショーウォルター監督が事実上の解任となった。投手陣はチーム防御率が4・45とメジャー全体でワースト9位と振るわず、中継ぎの補強を進め、7、8の2イニングを任せられる投手争いが熾烈となっている。新監督の下でのチーム再建とあり、藤浪投手にも「新戦力」としての期待が向けられるだろう。

 藤浪投手の魅力はメジャーでも変わらず、高いはずだ。最大の魅力はストレート。昨季はメッツ戦で日本投手の史上最速となる102・6マイル(約165・1キロ)をマークし、メジャーの強打者にとっても脅威となっている。藤浪投手の場合、もちろん「勝ちパターン」の7、8回を任される一角に入ることが理想だが、先発をやっていたこともあり、中継ぎでは長い2~3イニングを投げる肩のスタミナもある。連投も苦にはしていないだろう。短いイニングからある程度はロングまで任せられるというのは、ベンチにとっても重宝したくなる。

 今回の契約でメジャーの評価はほぼ固まったといっていい。「先発」では難しいが、「中継ぎ」ならメジャーということだ。私の場合も、メジャーの先発マウンドに立ちたいと思って挑戦したが、自分の中で譲れないものは「メジャーのマウンド」だった。ゆえに、中継ぎと言われたときも、「ここが自分の生きる道」と割り切ることができた。藤浪投手にも、先発でやってきた自負はあるだろうが、メッツは「中継ぎ」で戦力として期待して獲得しているというのが前提にある。

 評価を確立するためにも、春季キャンプからシーズン序盤の数ヶ月が勝負になってくるだろう。そこからは1試合ずつの積み重ねになるが、本領を発揮すれば5、60試合を投げる潜在能力は十分にあると思っている。「大化け」できる可能性も秘めていると思う。

 ナ・リーグ東地区は昨季、2位に14ゲーム差をつけたブレーブスが圧倒的な実力を持つが、新たなシーズンは蓋を開けてみないとわからない面もある。メジャー2年目、大都市のニューヨークで「アメリカン・ドリーム」を体現してほしい。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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