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「ニュースにならないから逆に凄い」大谷翔平・本塁打王の裏で大記録を打ち立てた平野佳寿の偉大さ

上原浩治元メジャーリーガー
メジャーでは思うような結果が出なかったが、日本復帰後は獅子奮迅の活躍を見せる平野(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アメリカ・メジャーリーグでエンゼルスの大谷翔平選手が歴史的な快挙となる、日本人初の本塁打王を確定させたのと同じタイミングで、日本球界では、オリックスの平野佳寿投手が日米通算250セーブをマークした。

 思い返せば、2人はともに2017年オフにメジャーへ挑戦した。大谷選手が投打の二刀流として、全米中から脚光を浴びたのとは対照的に、平野投手のメジャーでの成績は3シーズンで8セーブにとどまった。

 日米を合わせて通算250セーブを挙げた投手は過去、佐々木主浩さん、高津臣吾さん、岩瀬仁紀さんに続いて4人目だが、年齢的には最年長での到達となった。プロ入り当初は先発で期待されたが、思うような結果が残せず、10年シーズンから本格的に救援に転向。同年に初セーブを挙げ、11年は最優秀中継ぎ投手、14年は最多セーブのタイトルを獲得するなど、与えられた場面で着実に結果を残してきた。史上初の「200ホールド、200セーブ」にプロで生き抜いてきた軌跡がみてとれる。

 日本球界復帰後の21年シーズンからはオリックスのリーグ3連覇に貢献。抜群の存在感を発揮している。メジャーの3年間が遠回りだったかと言えば、そんなことは決してないだろう。目先の数字には見えない「経験」は、海を渡ったからこそ手にした「財産」だと思っているはずだ。

 平野投手の武器は、私と同じ直球とフォーク。彼の偉業をたたえる3日付の日本経済新聞の記事では、尊敬する投手として同じシンプルな配球で勝負した私の名前を挙げてくれていた。お返しと言っては何だが、私が彼を尊敬できる点は「気づいたら、数字を積み上げている」というクローザーとしてはお手本のようなタイプである点だ。

 中継ぎやクローザーは抑えて当たり前という風潮があり、打たれたときだけメディアにも批判的に取り上げられる。やっている側からすれば、不満もあるのだが、「ニュースにならない」投手ほど、救援投手としては有能なのである。平野投手がコツコツと積み上げた数字は一見、地味に見えるかもしれないが、「やっていることはめちゃくちゃすごい」ということだ。「あー、もうこんなに数字が積み上がっているんや」と気づいたときに驚かされるタイプの典型のような投手。抑えて当たり前の場面で淡々と仕事をこなし、また次の登板に備える。250セーブを積み上げるまでこうした日々を繰り返すことは、まさに賞賛に値することである。

 この先も、淡々と、気がつけばまた大きな数字にたどり着いている-。派手さはなくても、チームメートや首脳陣から厚い信頼を得ている投手として、1年でも長く現役のマウンドで投げてほしい。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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