上原浩治的2020年は『闘』! 初めて野球を外から見て確信した「野球に正解はない!」

ボストン時代に優勝したのはもう7年も前。時間が経つのは早い…(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現役を引退してから、初めて1月から12月までユニホームを着ることなく1年を過ごした。現役時代に張りつめていた糸が切れた感覚で「反骨心」はなくなった。しばらくはゆっくりするつもりで、日本と家族が住むアメリカを時間が許す中で往復しながら、今後について考える時期なのかなと思っていた。しかし、新型コロナウイルス禍で世界は一変。プロ野球も開幕延期に無観客開催、セ・リーグのクライマックスシリーズ見送りなど異例続きのシーズンになった。引退して、すぐに指導者にならないOBの方々が口にされる「外から野球を見る」という経験をとんでもないシーズンに経験することになった。

 ユニホームを脱いでも「野球が好き」という気持ちは変わらない。グラウンドでプレーしている現役選手を見ると、うらやましくも思える。そんな自分に何ができるのか。野球界にどういう形で関わっていこうか。頭を巡らせているとき、このYahooのコラム、さらにYouTubeチャンネル「上原浩治の雑談魂」開設、NHKのサンデースポーツのレギュラー出演と立て続けにオファーが届いた。

 「人にやらされる」ということが性に合わない。やるからには「上原流」をどう出していこうかと自分で考え、コラムやYouTubeのテーマを探し、自分から企画を提案することなどに面白さを見いだせるようになった。コラムやYouTubeはいわば「上原浩治」に特化したメディア。テレビ番組や新聞のように〝尺〟や〝行数〟は意識しなくていい。自分の思いをニュアンスまできちんと伝えたいと思ってやってきた。まじめすぎてもダメ。自分も楽しく面白く、読んでくれる人、見てくれる人も楽しく、面白くという視点を心掛けているつもりだ。振り返っても、これからもまだまだ「新鮮」な感覚で臨めている。

 意識していることは、自分の経験を引き出しに話すこと。だけど、選手や監督といった当事者の考えと必ずしも一致はしていないだろうから、本人たちがどう考えたかは「本人に聞かないとわからない」ということも言い続けている。

 「田澤ルール」の撤廃にはじまり、「引退試合」、FA「宣言」の是非など、グラウンドの外から見た野球界の「ここが変!」なことには遠慮なく切り込んだ。自分の考えに賛同してくれる人もいれば、反対の声もある。そもそもが、タイトルの通りで「野球に正解はない!」。だから、自分の主張が正しいという驕りもない。フロントも選手もファンも、みんなが議論して意見をぶつけ合うきっかけになってくれればと思っている。

 真正面から発言するから叩かれることもあった。「上原だから言える」という声には首をかしげる。実績とか年齢に関係なく、自分の考えを主張できる野球界であってほしい。若手だろうが、おかしいと思ったことは口にしないと何も変わらない。フロントの人たちも、親会社からの出向だから、自分が球団にいる数年の間は「事なかれで」って思う人にはすぐにでも退場してほしい。すそ野に目を向けたとき、日本の野球界は決して安泰ではない。本気で向き合わない人が座る「席」はないと思う。「自分がいるときに変えよう」という意識をみんなが持ってほしい。

 ファンにも本気のコメントを求めたい。悪口、批判は現役時代から慣れているけれど、もう少しわかってほしいなという寂しさも正直に言えばある。

 今年1年の自分自身を漢字一文字で表すなら「闘」になるかなと思う。自分の考え、思いを発信していく中で「衝突」は避けられない。だけど、挑発的にではなく、建設的に闘いたい。2021年もお手柔らかによろしくお願いします!