町田に完勝! リーグ戦3連勝で15位浮上。球際と幅で勝機つかむ/レノファ山口

ゴールを決めた山下と飛びついて喜ぶ高木=筆者撮影、この記事の他の写真・図も

 J2レノファ山口FCは7月7日、維新みらいふスタジアム(山口市)でFC町田ゼルビアと対戦し、3-0で白星を飾った。天皇杯2回戦を含めれば4連勝。順位は15位に浮上した。

明治安田生命J2リーグ第21節◇山口3-0町田【得点者】山口=高井和馬(前半36分)、前貴之(後半19分)、山下敬大(同41分)【入場者数】4864人【会場】維新みらいふスタジアム

レノファのスタメン。佐藤(後列左端)が先発した
レノファのスタメン。佐藤(後列左端)が先発した

球際の厳しさで上回る

 両チームともに7月3日に天皇杯2回戦が行われたため、中3日での連戦となった。ただ、天皇杯とリーグ戦ではいずれもメンバーを大きく変更。いわゆるターンオーバーで、リーグ戦に向けて主力選手を温存した。レノファで3連続出場となったのは菊池流帆や楠本卓海など若手が中心で、チーム全体に疲労を抱えるような状況にはならなかった。

レノファの布陣
レノファの布陣

 そのため、今節のスタメンも1週間前のリーグ戦とほぼ同じ。町田は1週間前の千葉戦からの変更は1名のみで、18歳の佐野海舟が2試合ぶりに先発復帰した。レノファも前節・福岡戦からの変更は1名。累積警告で出られない佐々木匠に代わって、佐藤健太郎が先発し三幸秀稔とのダブルボランチを組んだ。フォーメーションも町田が4-4-2、レノファが3-4-3で前節と同じ。J3時代から球際の厳しさが随所に見られる熱戦になってきたが、中3日ながら、互いが持ち味を十分に出せる噛み合わせになった。

 今節、両者にとって信条とも言えるハードワークで、より相手を上回ったのがレノファだった。序盤から球際に厳しく寄せて相手の攻撃を食い止め、敵陣内でボールを保持。さらには町田対策が奏功し、試合の進展とともに人の配置でも優位に立った。陣形をコンパクトにしてくる町田に対し、左では高井和馬と瀬川和樹が、右では吉濱遼平と高木大輔が局面に応じてウイングのようなポジションを取り、サイドを張ってボールを引き出した。

 「町田がそういうサッカーなので、僕たちも球際に負けてしまうと相手の土俵に立ってしまう。しっかりスタートから球際に行こうとチームで話していた。それを最初から出せて、自分たちのペースでうまく運べた」(高井)。球際とポジショニングで優位性を築き、とりわけ高井と瀬川のサイドから敵陣を深く突き、クロスからペナルティーエリアにボールを供給。ワントップの山下が収め、前半25分と同33分にショートレンジからシュートを放つ。

ループシュートを決める高井(中央)
ループシュートを決める高井(中央)

 これらはDFにカットされるなどで枠を捉えられなかったが、サイドから組み立て続けたレノファは同36分、左サイドを駆け上がる高井に対してピンポイントで三幸がスルーパス。これを拾った高井がドリブルでゴール至近まで持ち込み、GKの頭上を行く技ありのループシュートを決めた。「左サイドの自分の得意な位置で、しっかりドリブルからシュートまで冷静に行けた」と高井。レノファが先制し、1-0で前半を折り返した。

幅を使うサッカーで主導権

 対する町田は前半から本来のハードワークが出てこなかったほか、コンパクトにしていながら縦に蹴るシーンも多く、レノファの守備を突けなかった。町田の相馬直樹監督は試合後、苦戦の必然性を次のように説いている。

 「インテンシティー(強度)の部分で上回られてしまったというのが一つ。あとは幅というだけではなく、深みを作られてしまった。それで幅が生きることになったと思うが、我々がそこをコントロールしきれなかった。もう一つは攻撃の部分で正直、我々が悪すぎた」

幅広くピッチを使ったレノファ。古巣対戦の吉濱(右)もサイドから仕掛けた。左は2016年にレノファでプレーした奥山
幅広くピッチを使ったレノファ。古巣対戦の吉濱(右)もサイドから仕掛けた。左は2016年にレノファでプレーした奥山

 レノファはフィールドプレーヤー10人のうち9人が町田の陣形に合わせて絞る一方、上述したように反対サイドのシャドーかウイングバックのどちらかが残ってボールを引き出した。このとき、逆サイドが一人だけで完結する単独攻撃に終始せず、レノファは再び反対サイドに振ったり、相手よりも先に同サイドに選手を集めたりして幅に厚みを持たせ、相手ディフェンスを揺さぶった。

 後半も立ち上がりから右に左にと動かしながらチャンスメーク。正確なプレースキックを武器とする吉濱が先発したことでセットプレーも好機になり、同16分、左からのCKに楠本が合わせると、こぼれ球から前貴之がシュートを放った。これはGKに止められてしまうが、その3分後にも今度は右のCKから同様のシーンを再現。再び前がセカンドボールに詰め、左足でゴールに振り抜いた。「(一つ前の場面で)GKに取られたので、次があればと思っていたらすぐにあったので打った。入って良かった」(前)。レノファがリードを2点に広げ、なおも敵陣でのプレーを続けていく。

霜田監督とハイタッチする山下
霜田監督とハイタッチする山下

 町田は4-4-2を保ったまま、選手を入れ替えて打開を図ろうとするが、レノファの最終ラインを突き破ることができない。後半41分にもレノファが幅を広く使うサッカーでチャンスを広げ、追加点を挙げた。センターサークルの右側から前が左サイドに展開すると、途中出場の田中パウロ淳一が深い位置からふわりとクロス。ファーサイドで山下がヘディング弾を突き刺した。「パウロ選手がいいボールをくれたので、信じて中に入った結果、うまく決まった」。そう話した山下はこれでリーグ戦3試合連続、天皇杯を含めれば4試合連続のゴールとなった。

 球際の勝負で勝ち、幅を使った攻撃も機能したレノファが3-0で完勝。リーグ戦3連勝で15位に浮上し、得失点差もマイナス圏から抜け出してプラス1とした。

6月から無敗。前半戦は15位

 今節で長いJ2リーグも前半戦の21試合が終わった。レノファは序盤戦で苦戦したが、6月から無敗で前半戦を上り調子で締めくくった。今節は相手のゲームメークが特徴的だったとはいえ、GKを含めた11人で連動し、「いろんな選手がゴールに矢印を向けている」(霜田監督)というレノファカラーで戦い抜いた。

霜田監督は「いい形で(今シーズンの)前半戦を終えた」と振り返った
霜田監督は「いい形で(今シーズンの)前半戦を終えた」と振り返った

 3連戦のすべてに出場した楠本や菊池、山下なども運動量が落ちず、キャプテンの三幸は「厳しい練習にみんなで耐え、厳しい競争で(先発とベンチメンバーの)18人に入り、(ゲームに出る)11人が責任を持って試合をやれている」と胸を張る。霜田監督も「今日みたいなサッカーが僕らがやりたいことで、やはり全員でハードワークし、ピッチを広く使う。相手にプレッシャーを掛ける。そういう僕らのプレーモデルをやって結果につなげるという戦い方が、前半戦の最後にできるようになった。いい形で前半戦を終えたというのが正直な気持ち」と総括した。

 もっとも、白星が重なっているとはいえ、まだ15位で昇格圏には遠い。「勝っているからといってこれからもずっと勝てるとは思わないし、(昨シーズンの)14試合勝てなかった時期を絶対に忘れてはいけない。常に謙虚に、真面目に、ハードワークしながらレノファのサッカーを確立し、勝ち点3を取りに行きたい」。霜田監督はそう引き締めて、トレーニングとゲームの質的な充実に注力。ゴールが続く山下も「点が取れていることは嬉しいが、満足できる順位ではない。調子の良さを継続するため、練習を100パーセントで取り組んでいい準備をしたい」と力を込める。

得点シーンに関わった田中パウロ(左)と三幸。戦績とともに戦力の融合も進む
得点シーンに関わった田中パウロ(左)と三幸。戦績とともに戦力の融合も進む

 昨シーズンは夏場の移籍やケガなどでチーム力が落ち、後半は失速した。それに比べれば今年はボトムアップが進みつつあり、若手の成長はめざましい。三幸や前が欠けると難しい試合にはなりそうだが、それでも今年は十分に上昇基調を維持できる可能性がある。ただ、勝っているときの敵は慢心で、緊張感が高く、強度も高い練習はこれからも継続していきたい。

 レノファの次戦はアウェー戦で、7月13日に栃木県グリーンスタジアムで栃木SCと対戦する。次のホームゲームは7月20日午後7時キックオフ。維新みらいふスタジアムでアルビレックス新潟と対戦する。

天皇杯は逆転勝ち 3回戦進出

 7月3日に行われた天皇杯2回戦で、J2レノファ山口FCはFC琉球に2-1で勝利した。

天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会・2回戦◇山口2-1琉球【得点者】山口=工藤壮人(前半25分)、山下敬大(後半28分)琉球=上門知樹(前半15分)【入場者数】2127人【会場】維新みらいふスタジアム

 メンバーの多くを入れ替え、レノファはリーグ戦の出場機会が減っていた選手を積極起用。ゲームの立ち上がりから川井歩や田中パウロ淳一が高い位置でボールを受け、連係を生かして攻撃を展開した。ただ、先制点を挙げたのは琉球で、ゴール正面からのFKを上門知樹がしずめ琉球が1点をリードする。

 追いかけるゲームとなったレノファだが、前半25分、田中パウロの右からのクロスにニアサイドで工藤壮人が合わせ、同点とする。その後は琉球に流れを渡してしまうものの、GK廣末陸のファインセーブなどで追加失点を阻止した。

 後半は再びリズムを取り戻し、同26分には敵陣を中央突破した佐々木匠がファールを受け、ペナルティーエリアすぐ手前からの直接FKを獲得。佐々木自らが放ったシュートは壁に跳ね返されるものの、レノファはセカンドボールを回収して二次、三次攻撃を仕掛け、ついに山下敬大が均衡を破る一撃を決めきった。

 1点のリードを守り抜いたレノファ。パスが合わないなどのイージーミスが目立ち、「非常に内容が良くない。ミスが多く、課題も多い」(霜田正浩監督)という試合にはなったが、90分間で勝利を決め、3回戦進出を果たした。

 3回戦は予備日開催の試合を除き8月14日に開催される。レノファは、7月10日に行われるセレッソ大阪(J1)対アルテリーヴォ和歌山(関西1部)の勝者と対戦する。