レノファ山口:新戦力積極起用も勝利ならず。相手ペースで黒星

9戦勝ちなしとなった=18日、山口市(筆者撮影。この記事の他の写真も)

 J2レノファ山口FCは8月18日、維新みらいふスタジアム(山口市)で京都サンガF.C.と対戦し1-2で敗れた。ジュリーニョは初先発して得点をアシストし、存在感を示した。レノファは8位、京都は3連勝で最下位から抜け出した。

明治安田生命J2リーグ第29節◇山口1-2京都【得点者】山口=岸田和人(後半50分)、 京都=ジュニーニョ(前半25分)、カイオ(後半46分)【入場者数】6060人【会場】維新みらいふスタジアム

ワシントン(背番号35)、ジュリーニョ(同8)などが先発
ワシントン(背番号35)、ジュリーニョ(同8)などが先発

新戦力を積極起用も、京都ペース

 レノファは新加入のジュリーニョとワシントンがそれぞれ初先発。前節ボランチで出場した前貴之は右サイドバックに戻った。

 ゲームは序盤から大きな展開が続く大味な内容となり、落ち着かないまま進む。京都はクロスボールやカウンターなどからの供給をFW陣が収めてシュートへ。レノファは京都の形を正面から受けてしまうが、長いボールを使って自陣を抜け出すと、センタリングをオナイウ阿道が狙うなど浮き球を絡めてゴールに迫った。

 入れ替わりの激しい中、最初にスコアを動かしたのは京都だった。前半25分、京都陣での間接フリーキックをGK若原智哉がロングフィード。このボールを仙頭啓矢がつなぎ、最後はジュニーニョが押し込んだ。レノファは放り込まれたボールの処理を誤り、今節も先制点を許してしまった。

 追いつきたいレノファだったが、アクシデントが起きたのはそれから10分後だった。センターバックとして1試合を除く全試合に出場してきた渡辺広大が負傷。渡辺は担架でピッチ外に出され、レノファは前節に続いて負傷による交代を強いられることになった。

 霜田正浩監督はこのタイミングでサイドバックの鳥養祐矢を投入。ボランチでプレーしていたワシントンを渡辺の位置に下げて穴を埋め、前をボランチに置いた。前節は機能していた前のボランチが再び見られることになったが、田中マルクス闘莉王を先発させた京都は前線に高い強度があり、動きの良さもあって、レノファは京都の勢いを跳ね返せないままハーフタイムに入っていく。

痛い2失点目。岸田が一矢報いる

 ハーフタイムで霜田監督は「ロングボールをしっかり跳ね返そう。セカンドボールも拾っていこう」「相手陣地でボールを回そう」と指示。後半の最初から池上丈二をピッチに立たせ、高い位置に起点を築いた。

丸岡満は後半、サイドから積極的に仕掛けた
丸岡満は後半、サイドから積極的に仕掛けた

 池上投入の効果は大きく、レノファは後半、ショートパスを生かしてゲームを作る。「前半は内側にポジションを取ることが多く、うまくボールが来なかった。ジョージ(池上)が入ってきたことで僕のポジションを彼が埋めてくれた。サイドで1対1で抜いたり、特長を出せた」。そう丸岡満が話すように、中央からサイドへとスムーズに動かしたり、丸岡や高井和馬、あるいはジュリーニョがサイドで仕掛けたりと、チームプレーと個の力を融合してボールを運んでいく。

 だが、京都のブロックも堅牢で、なかなかペナルティーエリアの中でシュートに持ち込めない。後半10分の池上のミドルシュートはエリア外からで枠を捉えられず、同22分の前貴之のクロスはゴール前のオナイウ阿道に向かったものの、タイミングがわずかにずれた。

 決定機を決められないでいると、後半アディショナルタイムにカウンターから途中出場のカイオに決められ、0-2となってしまう。

 最終盤、ジュリーニョのクロスに岸田和人が体ごと飛び込んでヘディングシュートをしずめ、レノファはもう一度1点差としたものの、すでにアディショナルタイムは掲示時刻を経過。試合は1-2で閉じた。

鮮明になる既存戦力の「成長」

 「失点は本当にもったいない失点だが、それ以上に点を取れなかったことが敗因だ」(霜田監督)。レノファはリーグ戦9戦連続で勝ちから遠ざかっているが、このうち黒丸が付いている試合は得点がいずれも1点以下。逆に2点以上取れていれば、少なくとも敗戦だけは免れている。2点目、3点目を取ることが勝ち点につながるのは明らかだ。

 攻撃力こそが武器ながら、レノファは前半、相手の土俵の上でサッカーをしてしまった。守備陣や中盤の底から前線に放り込もうとする京都に対して、十分には跳ね返せず、セカンドボールも回収できなかった。行ったり来たりの大味の展開は、ロングボールの質が高く、競り合いにも強い京都に有利に働いた。

得点を決める岸田和人。左は前貴之。前線に人数を割いてのゴールだった
得点を決める岸田和人。左は前貴之。前線に人数を割いてのゴールだった

 一転して後半はボールを保持したが、ブロックの前でのサッカーに終始した感も否めない。

 一矢を報いた岸田は、外から眺めていたこの時間帯を「点を取るためにどうするか。逆算していくと、中に人数を集めてセンタリングだったり、パスで崩したり。どこで点が入るのかというとサイドではなくて中」と話し、ペナルティーエリア内に入るよう訴える。実際、岸田の得点時は前貴之もクロスに反応してゴール前に入り込んだ。終盤でも前線まで行けるのは前の運動量のなせる技かもしれないが、新加入選手が増える中で、人がボックスに入り、ボールもそこに入れていくタイミングをもっと深めなければならない。

 試合を通してみれば、選手起用が必ずしも合点がいくものではなかった。「本当はもうちょっと早く(岸田を)出したかったが、交代枠が一つしかなく、90分プレーできるかどうか不安な選手がほかにもたくさんいたので、(高井を)引っ張らざるを得なかった」。そう霜田監督が話すように、必ずしも90分が計算できる11人でスタメンを構成していたわけではなかった。

新加入選手のうちジュリーニョの動きは鋭敏だった。守備にも貢献し、攻撃では1アシスト
新加入選手のうちジュリーニョの動きは鋭敏だった。守備にも貢献し、攻撃では1アシスト

 ワシントン、ジュリーニョ、高井といった新戦力は90分を戦えるかは未知数。試合数の少ない丸岡、廣木雄磨もゲーム体力がどこまで持つかは分からない部分もある。交代枠をこうした選手たちに使う必要があるのは明らかながら、今節もアクシデントへの対応で枚数を削り、高井は終盤まで、ワシントンなどは結局はフル出場した。運動量こそあまり落ちなかったものの、パスやシュートの精度に疲労は見え隠れした。

 高井などが加入したことで明らかになったのは、キャンプから練習と試合をともにしてきた選手たちの運動量や判断力が想像以上に成長しているという点だ。試合はもとより、酷暑でのトレーニングでも動きは鋭い。霜田サッカーをやっていく中で、集中するタイミングと、力を抜くタイミングもきちんと判断できているとも言えよう。

 運動量が求められる試合で、既存戦力が最後まで力を使えるのは積み上げのたまもの。一方で新加入選手たちは、半年分の遅れをいっそうの努力で補わねばならないし、起用する側も半年間で付いたギャップの意外なほどの大きさを十分に考慮すべきだ。

 もちろん体力を理由にレノファが自陣にこもってサッカーをする必要はない。失点を悲観する必要もないはずだ。

 キャプテンの三幸秀稔はチームに流れる感情をこう代弁する。「ベタ引きして失点ゼロに持って行くチームにしようと思えばできるが、それで毎試合2点近く取れるのか。10本、15本とシュートを打てるのかというと難しくなる。どっちを取るかというのは、霜さん(霜田監督)が一番難しいところだと思うが、自分たちの成長のほうを先に取ってくれている監督。選手がうまくならなければ意味がないと言ってくれている。選手が応えないといけない。どこかで霜さんに勝ち点3をとみんなが思っている」。

 次戦はアウェー戦となり、敵地で5位大宮アルディージャと対戦する。