ギラヴァンツ北九州:水永が移籍後初ゴール。F東23に辛勝、ミクスタでは「不敗神話」継続

恒例となってきた勝利後のハイジャンプ

J3ギラヴァンツ北九州は5月28日、北九州市小倉北区のミクニワールドスタジアム北九州(ミクスタ)でFC東京U23と対戦し、1-0で勝利した。ミクスタとの相性は良く、ホームでは4連勝となった。順位は暫定7位。

明治安田生命J3リーグ第10節◇北九州1-0FC東京U23【得点者】北九州=水永翔馬(後半21分)【入場者数】3864人【会場】ミクニワールドスタジアム北九州

3選手を入れ替えてゲームに臨んだ
3選手を入れ替えてゲームに臨んだ

前節の藤枝MYFC戦を0-2で落とし、決定力や前線に割く枚数の不足が再び課題となったギラヴァンツ。今節はメンバーを3人入れ替えただけでなく、6試合ぶりに先発のFW平井将生を1トップに置く4-3-2-1で試合に臨んだ。狙いはもちろん「攻撃に入ったときの選手の距離感と、最終的なところに入ったときの人数を掛けたいというところ」(原田武男監督)にあった。しかし練習試合やトレーニングで実践してきた形とはいえ、まだ勝ちに繋がるほどに戦術を落とし込めていたわけではなく、平井へ送り込むパスの呼吸が合わなかったり、ポストプレーに絡めたはずの池元友樹と花井聖もプレーエリアを広げられず、シュートまでは持ち込めなかった。

連係ミスやパスクオリティの低さから自分たちでボールをロスト。時間の経過とともにF東23に攻め込まれるようになり、前半終盤はピンチが連続した。特にF東23はユ・インスに向けてシンプルに供給。これをDF刀根亮輔と開幕戦以来の出場となったDF西嶋弘之で跳ね返したり、GK高橋拓也が好反応したりと個の力で対応するが、いつ失点しても不思議ではない状態で前半を折り返すことになった。

ハーフタイムで原田監督はシステムを4-4-2に戻し、後半の頭からMF小野寺達也とFW水永翔馬を同時投入。池元は「(前半は)ピッチの中でコミュニケーションは取れていたが、改善できる流れには持って行けていなかった。ハーフタイムが非常にいい時間だった」と話し、切り替えて後半に入っていく。

後半はギラペース。水永が移籍後初ゴール

慣れたシステムにしたことで、明らかにギラヴァンツがボールを握る時間が増加。右サイドバックのDF福森健太がオーバーラップする機会も増えて、高い位置でボールが動くようになる。また、水永のポストプレーからもシュートチャンスを作り、前半は漂わなかったゴールのにおいがするようになっていく。

MF小野寺(手前左)が反らし、水永が反応した
MF小野寺(手前左)が反らし、水永が反応した

待望の先制点が生まれたのは後半21分。福森が低いクロスをゴール前に送ると、ニアサイドで小野寺がフリック。詰めていた水永が左足に当ててゴールネットを揺らした。これがギラヴァンツ移籍後の初ゴールとなった水永は「練習通りに入り込めたのが得点に繋がった」と話す。この得点シーンではファーサイドで井上翔太が構えていたり、サイドバックの積極的な攻撃参加が起点となっていたりと、前線に人数を割くことに成功。F東23は後追いの守備になっていた。

試合後にサポーターとハイタッチするギラヴァンツの選手。先頭はキャプテンの池元友樹
試合後にサポーターとハイタッチするギラヴァンツの選手。先頭はキャプテンの池元友樹

得点直後は引き気味になってF東23にボールを握られるが、終盤に掛けて再びギラヴァンツに勢いが出て行く。しかし最後の決定力は未だ高まらず、奪えたゴールは水永の1点にとどまった。守備陣は前半同様、ギリギリのところで耐え無失点。ギラヴァンツは1-0で勝利を収めた。

機能しなかったシステム変更

前節の敗戦を引きずらずに勝てたことは大きい。とはいえ、手放しで喜べる勝利ではなかった。システム変更をして臨んだ前半は、「4-3-2-1」あるいは「4-3-3」のシステムが持つメリットを引き出すことに集中しすぎた印象を受け、選手それぞれの特徴も十分には反映しきれていなかった。相手とのミスマッチはもっと突くことはできただろう。ただ、軽いプレーからのイージーミスも多く、原田武男監督は「悪いのはシステムのせいなのかというところを考えて欲しいと選手に伝えた。本来最初に狙うべきところ、動き出すべきところもできていなかった結果」だと語気を強めた。

原田武男監督は「相手うんぬんより自分たちがどう強くなっていくか」と話す
原田武男監督は「相手うんぬんより自分たちがどう強くなっていくか」と話す

幸いにして立ち返るべき基本の4-4-2があったため大きな傷口にはならなかったが、これが返って難しい判断を迫ることになるかもしれない。ギラヴァンツは今後、基本のシステムを伸ばしていくのか、それとも相手の研究が進むであろう夏場以降を見据え、いくつものオプションを持つようにしていくのか、今後の戦い方を注視したい。

また、相手との戦力差を考えれば1得点に留まったことも反省点で、決定力不足がやはり頭をもたげる。水永のゴールシーンでは上述のとおり確かに人数は多く、マークは絞り込まれなかった。だが、個々の選手たちの動きは強度が低かった。池元や水永はマークを外す動きで自分の間合いを作っているが、別の選手がおとりになるようなランニングをしたり、さらに外から割って入ったりと、意欲的に動きを出してかき乱すような動作も必要だろう。

ホームは4連勝だが…。敵地では5月も勝てず

ギラヴァンツの今月の対戦成績は2勝1敗1分。2勝はいずれもホームゲームで、アウェー戦では今月だけでなく開幕以降一度も勝てていない。

要因はいくつもあるが、一つにはJ2以上のカテゴリーとは大きく異なるJ3の試合環境があるだろう。ピッチから見渡す風景や細かく言えば芝やロッカールームの環境も違う。ただ、環境をスケープゴートにしていては白星と黒星のまだら模様が続くだけだ。今節を前にGK高橋拓也にJ’s GOALのインタビュー取材をしたが、高橋は「自分たちが基準レベルを上げていかないといけない」と強調。この言葉の通りに、どんな環境であっても自分たちの土俵で戦える強靱なチームを、戦術面、メンタル面の両側で作り上げなければならない。

水永翔馬は移籍後の初得点となった
水永翔馬は移籍後の初得点となった

そしてもう一つ挙げたい理由が勝利ゲームのあとの緩み。連勝し続けなければJ2に復帰できないという危機感はもっと漂っていい。原田武男監督は勝敗に関わらず選手を入れ替えるなど競争を促しているが、戦う集団へと変えていく作業はまだ道半ば。ホーム戦での勝利に慢心することなく、勝っているときこそゲームを分析し、ゴールシーンを解析し、クオリティを高めたい。

ギラヴァンツの次のゲームは6月4日。静岡県沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場でアスルクラロ沼津と初対戦する。「選手は100パーセントでやっているがなかなか結果が出てこない。それを変えるためにも次は絶対に勝って流れを変えたい」(水永)。飛び石の白星から抜け出すべく、戦術と戦う気持ちを高め、初めての土地に乗り込んでいく。

ギラヴァンツ北九州のホームゲームに関しては2試合に1回程度の予定でゲームレポートを載せている。スタイルはJリーグ公認ファンサイト「J’s GOAL」でマッチレポートが掲載されていた時期(14年度まで)のものや、「九州J-Park」に掲載していたものを踏襲している。次回掲載は第14節AC長野パルセイロ戦(6月25日)の翌日の予定。