レノファ山口:光の見えた勝ち点1。CKからパク・チャニョンが同点弾 連敗もストップ

試合後のレノファイレブン。引き分けに終わったが実りあるゲームだった

J2レノファ山口FCは5月13日、維新百年記念公園陸上競技場(山口市)で京都サンガF.C.と対戦。セットプレーから先制を許し前半から追いかける展開となったが、徐々に相手陣内でのプレーが増えると、後半13分にDFパク・チャニョンが同点ゴール。難敵を相手に勝ち点1を積み上げ、連敗も3で止めた。

明治安田生命J2リーグ第13節◇山口1-1京都【得点者】山口=パク・チャニョン(後半13分)京都=小屋松知哉(前半21分)【入場者数】4220人【会場】維新百年記念公園陸上競技場

GKは村上昌謙が先発。FWには岡本英也(背番号7)を起用した
GKは村上昌謙が先発。FWには岡本英也(背番号7)を起用した

今季初出場の村上がPKストップ

前線にFW田中マルクス闘莉王やFWイ・ヨンジェを置く京都。このターゲットに対してレノファは体格差では劣るため、なるべく彼らをゴールに近づけないことが必要だった。しかし、前半は「プレスを掛ける位置が(自ゴール側に)深くなった。岡本(英也)や小塚(和季)からなかなか限定ができず、ずっと下がっているような状況」(上野展裕監督)で、クロスを入れられたり、長い縦パスを通されたりと苦しい展開となってしまう。前半13分にはペナルティエリア内の守備でハンドを取られ、PKを献上する大ピンチに陥った。

GK村上昌謙。ハイボールへの対応でも強さを見せた
GK村上昌謙。ハイボールへの対応でも強さを見せた

この日のGKは今季初スタメンの村上昌謙。開幕戦からゴールを守ってきていたGK山田元気は京都からの期限付き移籍で契約の関係上出られず、村上にはいきなりの試練がやってきた。だが、昨季までは不在だった専属GKコーチ(昨季まで京都のコーチだった平井直人GKコーチ)が就任し、「分析した結果を平井さんから教えてもらっていた」(村上)とPKにも自信が付いてきていた。成果をこの場面で発揮。キッカーの闘莉王にはGKから向かって右側へと飛ばされたが、横っ飛びの村上が伸ばした右手はボールを確実に外へと追いやった。

PKの大ピンチをしのいだとはいえ京都に持って行かれていた流れを止めることはできず、前半21分、CKのこぼれ球を繋がれてMF小屋松知哉に先制を許してしまう。その後も高い位置で奪いきれず、FKやスローインなどから京都にチャンスを作られていく。結果的には前半は、香川勇気とパク・チャニョンの両センターバック、それに先発起用したFW岡本英也が競り合いで跳ね返したり、村上がハイボールを処理したりと、選手個人の奮闘でなんとか1失点で耐えしのぐ。攻撃面では同42分、CKの流れからパク・チャニョンがヘディングシュート。これが相手の手に当たったものの笛は吹かれず、レノファは運や流れをうまく引き込めずにハーフタイムに入っていく。

後半は一転してレノファペース

両手を突き上げてゴールを喜ぶパク・チャニョン
両手を突き上げてゴールを喜ぶパク・チャニョン

インターバルで修正すべきポイントは明白だった。高い位置でのプレッシャーを、なんとなく掛かっているというのではなく、まずはしっかりと寄せて奪い返すこと。そして素早く切り替えてリズム良く横と縦にボールを動かすこと。口頭での指示だけでなく、後半はFW大石治寿の起用や前線の布陣変更など物理的な手段も使って再構築を図った。

後半13分、DF星雄次のクロスがカットされてCKを獲得。小塚和季がセットすると、前半から何度もセットプレーに顔を出していたパク・チャニョンが、タイミングを計って相手守備陣の間でヘディングシュート。ボールはしっかりと枠を捉え、レノファが追いついた。「パクに感謝したい。うまく合わせてくれた」と小塚。キッカーと受け手の呼吸が合い、レノファとしては2試合連続でのセットプレーからのゴールとなった。パク・チャニョンはJリーグ初得点で「これからも決めていきたい」と自信を深める一撃となった。

小野瀬康介はゲームを通して個人技とチームプレーの両方を発揮
小野瀬康介はゲームを通して個人技とチームプレーの両方を発揮

同点とした後も主導権を握ったのはレノファ。「自分たちの陣地でサッカーをする状況だと後手になるという話を渡辺(広大)選手としていた。それを意識しながら出場した」と話す大石が高い位置をキープしてボールを引き出し、小野瀬康介や星雄次が絡む機会も目立った。縦パスがカットされるイージーミスからのカウンターもあったが、相手陣内でリズム良く動かすことで、どこからでもゴールを狙える状態を作り出す。

手ごたえの勝ち点1。連戦に弾み

しかし、修正が効いてモメンタムを自分たちで呼び込んできたものの、シュートがGKの正面に飛ぶなど追加点は奪えなかった。1-1の引き分け。それでも、体格差のある相手の攻撃を1点に抑えたり、パスからリズムを作ってゴールに迫ったりと、内容のある勝ち点1となった。連敗が止まったことも大きく、3連戦の初戦をいい状態で終えることができた。

途中出場のFW大石治寿。戦術へのフィットが進む
途中出場のFW大石治寿。戦術へのフィットが進む

今節、レノファはスタメンの1トップに岡本英也を初起用。競り合いに勝つことは多かったものの、前半は奪う位置が低くなり持ち味を存分に発揮することはできなかった。ただ、前節は岸田和人が6試合ぶりに先発、今節は岡本の出場に加えて、大石治寿もシュートを積極的に狙い、「結果が出ていない中で悔しい気持ちでいっぱいだが、まだリーグ戦は続くのでしっかりとチームのために頑張っていきたい」とアピールした。FWの選択肢は広がってきており、レノファの基本的な戦術は変わらないが、対戦相手の戦い方や練習でのはまり具合などを見ながら柔軟に組み替えていくこともできそうだ。

課題もある。特にセットプレーに絡む部分は修正途上で、セカンドボールの回収だけでなく、例えばファールやボールコントロールミスから簡単にセットプレーを与え、自らピンチを招いたことは反省点。それに、流れの中からのゴールが生まれず、小塚は「最後の決定力」を一因に挙げた。その言葉の通りもっとシュート精度へのこだわりが必要だろう。もちろんシュートに至る前のプレーでも改善の余地はあり、上野展裕監督も「選手たちが意思疎通をもっとして、連係も、個人での打開も、もっとしていってほしい」と話す。

再びの連戦。上野展裕監督は「全員で戦い、精一杯のプレーをしたい」と話した
再びの連戦。上野展裕監督は「全員で戦い、精一杯のプレーをしたい」と話した

再びアウェーでの連戦となり、17日には正田醤油スタジアム群馬(前橋市)でザスパクサツ群馬と対戦、さらに21日にはNDソフトスタジアム山形(山形県天童市)でモンテディオ山形とのゲームとなる。移動を含めハードスケジュールとなるため、2戦ともホームチーム側に有利な日程となるが、厳しいゲームこそチーム一丸となって総力戦で戦いたい。光は差してきている。チーム全体が同じ方向を向き、レノファの志を抱いて前に進んでいこう。