レノファ山口:シュート今季最多18本も無得点。横浜FCに破れる

メンバーに大きな変更はない。ゲームキャプテンはMF島屋八徳(前列中央)

レノファ山口FCは10月30日、ホームの維新百年記念公園陸上競技場(山口市)で横浜FCと対戦。1万3千人超のサポーターの後押しを受けシュート18本の猛攻を見せたが、好守に阻まれ0-2で敗れた。

明治安田生命J2リーグ第38節◇山口0-2横浜FC【得点者】前半22分=イバ(横浜FC)、後半6分=イバ(横浜FC)【入場者数】13311人【会場】維新百年記念公園陸上競技場

横浜FCの体を張った守備に苦戦

ゲームを圧倒的に支配していたのはレノファだった。「自分にあまりマークが来ていなくて楽にパスが出せる状況だった」と話すのはMF庄司悦大。MF三幸秀稔とのダブルボランチが前を向いてプレーできる時間が長く、効果的にパスを送り出す。両サイドバックも攻撃参加も目立ち、レノファらしい攻撃サッカーが展開できていた。

庄司悦大は「シュートの意識を高く持って入った」と話した
庄司悦大は「シュートの意識を高く持って入った」と話した

シュートも積極的に狙ったレノファだったが、なかなか枠を捉えられない。前半9分に庄司がミドルシュートを放つも4カ月ぶりに先発のGK渋谷飛翔が好反応。15分にはFW岸田和人のパスからMF島屋八徳が狙ったが、横浜FCのDF藤井悠太がシュートコースに入ってカット。中田仁司監督(横浜FC)が「選手は最後まで体を張って守ってくれた。集中力や負けたくないという気持ちを出してくれた」と称えた粘りにレノファは跳ね返され続ける。

先制点を呼び込んだのはアウェーチームだった。前半22分、横浜FCは右からのCKのチャンスを獲得しMF中里崇宏がゴール前の密集に供給。一度はレノファもクリアするが中里が再びクロス。これをニアサイドでMF小野瀬康介が競ると、流れたところにFWイバが詰めてゴールネットを揺らした。

主導権を握っていた中で簡単に失点を許したレノファ。しかし、戦術を大きく変えることはなく、ハーフタイムにMF鳥養祐矢からMF加藤大樹にスイッチした点を除けば、後半に入っても自分たちのリズムでゲームを進めていく。だが、後半6分、横浜FCに一気に攻め込まれ、MF佐藤謙介のシュートのこぼれ球からイバに追加点を許してしまう。

2点差を付けられたレノファはFW中山仁斗を投入、最終盤まで主導権を掌握し決定機も量産する。それでもゴールは遠く、後半26分にはDF小池龍太のクロスに中山が頭で合わせるもGKの正面。同33分に打ったMF福満隆貴のシュートはインターセプトされてしまう。レノファはドリブルスピードの速い安藤由翔をピッチに送り出し、なんとかゴールをこじ開けようと試みる。後半43分にもビッグチャンス。島屋のクロスからゴール至近で福満がダイレクトでシュートを放つが、枠に飛んだボールもGK渋谷が立ちはだかった。結局、レノファはゴールを開ける鍵を見つけられないまま試合終了のホイッスルを聞くことになり、プレーオフ出場の可能性もなくなった。

シュート18本、決めきれず

ゲームを通してレノファが放ったシュートは18本。第23節ザスパクサツ群馬戦(○2-0)と第30節松本山雅戦(△0-0)で記録した17本を上回って今季最多だった。枠を捉えていたシュートも多かったが、述べてきた通りGKの好セーブや相手守備陣のシュートブロックを最後まで打ち破ることはできなかった。今季、4得点以上挙げている試合は3試合あるがいずれもシュート数は13~15本に留まり、第22節ギラヴァンツ北九州戦(○5-1)ではシュート13本で5点と高い決定力を示した。それらの試合に比べてこの試合の(あるいは終盤戦に入って以降の)レノファは何が違うのだろうか。

上野展裕監督は「決めきるだけの練習をチームでも個人でも取り組むだけ」と前を向く
上野展裕監督は「決めきるだけの練習をチームでも個人でも取り組むだけ」と前を向く

一つ確実に言えるのはシュートコースに入れるだけの時間を与えているという点だ。ダイレクトプレーでは難しいがドリブルやパスの中からシュートに行く場合、もうワンテンポ早めに判断できればゴールに繋げられた可能性も残る。確率の高いほうを探ってパスを回すのは戦術の根幹とはいえ、回しているうちにブロックを作られてかえってコースを狭められたという場面もあった。

選手個人の足元の技術やパスコンビネーションが試合を重ねるたびに成熟し、いまや前線でボールを失うリスクは小さくなってきた。その代償とでも言うべきか、繋げるからこそ自信を持って繋いでしまい、シュートチャンスを逸しているかもしれない。上野展裕監督は「攻撃では点を取れるように個人でもチームでも練習をする」と話す。まさに個人の部分での判断や精度、そして集団としてのゴールに向かう戦術という両面で、スピードとクオリティが求められている。

守備についても課題のセットプレーから簡単に失点するなど見つめ直す部分はある。とはいえ、今季は15年シーズンに比べても守備面の強化は進み、練習でも時間を割いている。なかなか結果には繋がってこないが、守備を意識しすぎて攻撃が後ろに引っ張られるような元も子も失ってしまう事態だけは避けたい。MF三幸秀稔は内容に反して結果が出ない状況について、「いつものことになってしまってはならないので、どこかを改善しないといけない」とした上で、「(改善点は)失点を減らすところも少しはありますが、それでも得点がゼロで終わっているので、後ろよりも前。前でもっと点を取っていかないといけない」と話した。その言葉の通りだろう。守備に目をつむることはできないにしても、いま優先的に取り組むべきは攻撃の部分だ。

1万3千人超。平均入場者数は7位に

維新公園の入場者数が1万人を超えるのは今季3回目
維新公園の入場者数が1万人を超えるのは今季3回目

今節、維新公園には1万3311人のサポーターが訪れた。レノファとしては今季2番目に多い数字。三浦知良(横浜FC)を一目見ようという観客もいたと考えられるが、スタジアムのほとんどの区画がチームカラーのオレンジに染まっていた。

その多くのサポーターの前でゴールがひとつも生まれなかったのは悔やまれる。それでも、パスを使って相手陣内に入っていくスタイルや、DF小池龍太、MF島屋八徳らが豊富な運動量でボールを追う姿勢など、レノファサッカーのスタイルは見せられたと思う。あとは結果。ゲームキャプテンの島屋は「勝ち試合を見せることができず、申し訳ない気持ちでいっぱい。引き続き応援してもらえるよう、もっともっとピッチでひたむきな姿を見せたい」と気持ちを新たにしていた。

上位の順位と入場者数の関係(入場者数5位は千葉で平均1万129人)
上位の順位と入場者数の関係(入場者数5位は千葉で平均1万129人)

また、ホーム戦平均入場者数は6695人となりJ2全体の7位に付ける。J2の1年目にして堂々たる数字だ。J2ではチームの成績と入場者数はそれなりの相関関係にあり、現時点で成績上位のチームはやはり入場者数でも上位に立つ。レノファの場合も、入場者数の多い試合でなかなか勝てないという妙なジンクスがあるにしても(※)、リーグ7位の規模を誇るサポーターたちがチームを引っ張り上げていると胸を張れよう。

(※入場者数の多い試合は天候に恵まれ最高の観戦環境になっている。他方、パスサッカーをするレノファの場合、雨に濡れたピッチのほうがボールは回しやすい…。晴れていたほうがいいけれど雨のほうがいいという難解なレノファパラドックスだ。ピッチ上だけ雨でスタンドは晴れなどというのは不可能なので、チームは晴れても勝てるサッカーをし、訪れるお客さんも雨が降っても厭わず観戦するということを意識していけばいずれは解決できるかもしれない)

たくさんの後押しを受けるレノファというチーム。次は勝利で応援に応える番だ。次戦は11月3日午後4時から味の素スタジアム(東京都調布市)で東京ヴェルディと対戦。ホームゲームは3節先となり、11月12日午後1時から維新公園でモンテディオ山形と戦う。このゲームが今季のホーム最終戦となる。