レノファ山口:欠如した気迫と運動量。レノファらしさなく熊本に完敗

一森(背番号1)、福満(7)、庄司(10)らが先発に復帰した

明治安田生命J2リーグ第34節の11試合が2日、各地で行われた。レノファ山口FCは今季唯一の開催となる下関市営下関陸上競技場でロアッソ熊本と対戦。前線からチェックする熊本の術中にはまり、0-2で敗れた。レノファは2連敗で11位に後退した。

明治安田生命J2第34節◇山口0-2熊本【得点者】前半10分=菅沼実(熊本)、同33分=植田龍仁朗(熊本)【入場者数】7609人【会場】下関市営下関陸上競技場

攻撃的な守備、熊本が先手

熊本のはっきりとした狙いにレノファは苦しんだ。「立ち上がりから構えることなくボールに行った」(清川浩行監督)という熊本は、高い位置からのプレッシャーでレノファの最終ラインやボランチからのパスを制限する。レノファは縦パスを出せないだけでなく、横パスやDFとMFの間の簡単なパス交換さえ思うように繋がらなかった。

打開の有効策を見いだせないまま前半10分、ルーズボールを処理しようとしたGK一森純とDFユン・シンヨンが交錯。クリアが中途半端になったところを菅沼実に狙われてゴールに送り込まれた。一連のプレーの中で一森はファールをアピールしたが認められず、先制点は熊本へ。さらに同33分には熊本がコーナーキックのチャンスを獲得。ボールをセットした清武功暉がゴール前に作られた密集に速い弾道のボールを入れると、植田龍仁朗がタイミング良く頭を出してゴールネットを揺らした。

2点差を付けられたレノファ。ただ前節で0-3から2点を返したように、『いつもの戦い方』ができていれば複数得点でギャップを詰める作業は決して難しいものではなかった。

今季唯一の下関開催。7000人を超えるサポーターが集まった
今季唯一の下関開催。7000人を超えるサポーターが集まった

岸田が指摘した気迫不足

この試合、レノファはMF庄司悦大をボランチ、トップ下にはMF福満隆貴を配置する従来通りの布陣を採用。GKも一森純に戻した。廣木雄磨を出場停止で欠く左サイドバックには前所属チームで同ポジションのプレー経験がある星雄次を起用し、戦術が浸透したメンバーで11人を編成した。ところが、染みついていたはずの戦術は発揮されず、消されたパスコースを描き直すことができないまま時間だけが経過。運動量が低調で、間でパスを引き出す動きや最終ラインの背後に抜け出すスプリントも鈍かった。

レノファは後半、早めに交代カードを切っていく。

後半13分からピッチに立ったFW岸田和人はチームに「気迫も何もない」とぴしゃり。「下手にいいプレーしようというのではなくて、まずは気持ちを見せることだったり、チームにどれだけ貢献したいかという気持ちを見せること」を役目と自認し、追いつけるかどうか分からないボールでもゴールライン際まで走って奪い取ろうとしたり、同36分にはコーナーキックに飛び込んでヘディングシュートを狙ったりと「気迫」を見せつけた。

練習試合でDFに阻まれながらも攻撃に出ようとする岸田(9月26日、安芸高田市)
練習試合でDFに阻まれながらも攻撃に出ようとする岸田(9月26日、安芸高田市)

ケガを抱えていた岸田は9月26日に行われたサンフレッチェ広島との練習試合で復帰。相手DF2人に囲まれて倒れ込みながらもシュートを狙うなど、岸田らしいアグレッシブさを披露し内容のあるゲームを作り上げていた。

その余勢を駆った岸田に加えて、練習試合に出ていたMF安藤由翔も後半途中からピッチに立ちゴールを目指す。しかし『いつもの戦い方』は行き渡らず、全員攻撃とは程遠い単発の攻撃が続いた。対して熊本は、「自分たちが勇気を持って行けるかいけないか」(清川監督)と強い意識付けで後半を戦い、脚を攣る選手を出しながらも守備のやり方を変えることはなかった。

スコアは動かず0-2でゲームセット。2連敗となったレノファの上野展裕監督は「もっとハードワークできる。もっとプレスに行けると思うし、もっと寄せられて、もっとプレッシャーに行ける。動き回って決定機ももっとできると思う」と険しい表情で振り返った。

庄司のシュート3本が意味するもの

上野展裕監督は「選手たちの限界はない。伸ばしてあげるのが仕事」とも話した
上野展裕監督は「選手たちの限界はない。伸ばしてあげるのが仕事」とも話した

今節、気迫や運動量の不足が敗因になった。裏付ける数字もある。それは庄司悦大がシュートを3本『も』打っているという点だ。

庄司はパスサッカーの中心にあり、シュートではなく精度の高いパスを使ってゲームを動かす。シュートに行くのはビッグチャンスが目の前に転がっている時か、パスの受け手がおらず選択肢がない時。前半35分と後半33分に放ったミドルシュートはいずれも後者の理由からで、パスを受けようとする動きが不足していたことを物語る。確かに熊本はパスコースを切りにきていたが、最も簡単な対応方法はその動きを上回る運動量を出せば良かっただけだ。

ほとんどの選手にとって初めてのJ2リーグだというのも影響を与えているかもしれない。慣れないリーグの中、疲労やストレスがエネルギーを奪う時期に来ている。だが、それも乗り越えねばならない。JFL、J3、J2とステップアップしてきたゲームキャプテンの島屋八徳は「疲れの蓄積している部分もあるが言い訳でしかない」と一蹴。「もう少しチームとして一丸となって戦う姿勢を見せられればと思う。ここでブレてはいけない。自分たちがやってきたことを見つめ直し、信じてチームがまとまり、勝ちを掴みにいきたい」と前を向いた。

レノファはアウェー戦となる次節、ツエーゲン金沢と対戦する。相手は残留争いの中にあり、やはり難しい試合になるだろう。それでも、「攻撃の詰めも、守備の詰めも、最後までやりきる。くっきりはっきり動ききる」(上野監督)といういつものサッカーができれば勝つ確率もいつもの高さに戻る。運動量豊富に全員守備・全員攻撃をするレノファスタイルを取り戻したい。残り8戦、720分。動き回ってこそ悔いの残らないシーズンになる。