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F1が新型コロナ感染者発生でオーストラリアGPを中止!米国インディカーは無観客レースで開幕へ

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
チーム内に感染者が出て、棄権を決めたマクラーレンのF1マシン(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウィルスの感染拡大は週末の開催に向けて準備中のレースにも影響を与えはじめた。批判もある中で開催に向けて動いていた「F1世界選手権」の開幕戦・オーストラリアGPはフリー走行開始直前の2020年3月13日(金)午前10時(現地時間)に中止が発表された。

(オーストラリアGPの中止を伝えるF1公式ツイッター)

マクラーレンのスタッフから陽性反応

F1は開幕戦・オーストラリアGPを実施するべく、開催地のメルボルンで準備を進めていた。

コロナウィルスの感染拡大防止策としてドライバーとファンの接触をなるべく避ける措置が取られたり、メディアの囲み会見を行わないなど、集まる人の健康の配慮が行われていた。

しかし、発熱から検査を受け隔離されていた「マクラーレン」のスタッフの1人が陽性反応が出たことで、3月12日(木)に同チームはF1開幕戦の棄権を発表。F1パドックから感染者が出たことで、チームを集めての会議が行われ、フリー走行当日の朝になって中止が発表された。

もはや世界中の誰もが感染者になり、クラスターになってしまうことは避けられない状況の中で、観客ではなくチーム側から感染者が出るというのは最も避けたい事態だった。

「マクラーレン」と「ハース」のスタッフが検査を受けたことが伝えられ、2019年王者のルイス・ハミルトン(メルセデス)ら多くのドライバーが開催に対して疑問を投げかけていたが、陽性者が出た「マクラーレン」は即座に棄権を発表。F1とFIA(国際自動車連盟)がオーストラリアGPを開催するか否かの判断に注目が集まっていた。

(オーストラリアGP棄権を発表したマクラーレンのツイッター)

オーストラリアGPはサポートレースも含めた全てのイベントが中止となり、撤収作業に入ることになる。次戦・バーレーンGP(3月22日決勝)は無観客でのレース開催がすでに発表されているが、今後の先行きは不透明だ。

世界的に感染者が増加傾向にある中で、バーレーン、ベトナムと続き、5月にはオランダでグランプリ開催を控えるF1が今後の開催をどう判断するか注目が集まる。

今年は全22戦というF1史上最多のグランプリ数でスケジュールは過密。今後の開催日程の変更など影響が出ることは避けられないだろう。

WECはセブリング中止、インディカーは無観客レースに

急激な感染拡大が懸念されるアメリカではトランプ大統領が3月12日にイギリスを除くヨーロッパからの入国を禁止した。

これによって、中嶋一貴、小林可夢偉らがトヨタで参戦する「WEC(世界耐久選手権)」はフロリダ州・セブリングで開催予定だった3月20日(金)のレースを中止した。同選手権はヨーロッパのドライバーやチーム関係者が多く、まさにヨーロッパからの米国渡航の直前だったからだ。

(WECセブリングの中止を伝えるWEC公式ツイッター)

アメリカ国内でも様々なスポーツイベントの中止、開催延期が発表されているが、米国で人気のストックカーレース「NASCAR」は3月15日決勝のアトランタ、3月22日決勝のホームステッド・マイアミのレースを無観客で開催することを発表した。

(2戦の無観客レース実施を伝えるNASCARの公式ツイッター)

そして、3月15日に「WEC」や「NASCAR」と同じくフロリダ州で開幕戦を予定していた「インディカー」(NTTインディカーシリーズ)も無観客でのレースを発表。これはセントピーターズバーグの市街地を利用してのコースとなるが、市街地コースで関係者以外が入場できないという前代未聞のスタイル。

無観客レースが決定したセントピーターズバーグでのインディカー(2019年)【写真:INDYCAR】
無観客レースが決定したセントピーターズバーグでのインディカー(2019年)【写真:INDYCAR】

アメリカでは「NASCAR」や「インディカー」をメジャーな放送局が生放送しており、モータースポーツはいわばテレビスポーツ。

観客からのチケット収入が皆無となる事態は主催者、統括団体にとって厳しいが、テレビを通じてファンにレースを楽しんでもらい、メッセージを伝えることができる。「インディカー」開幕戦は延期の可能性も報じられていたが、無観客での開催を決めた。

(インディカー参戦の佐藤琢磨のツイッター)

ただ、アメリカでのコロナショックはまだ始まったばかりで、感染拡大防止という意味では非常に重要なフェーズに入っていく。こちらもスケジュールはガチガチに組まれており、いつまでテレビ放送のみの無観客レースを続けていくか、事態の収束は見通せない。

世界中のモータースポーツ界は戦後最大のピンチを迎えている。

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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