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年始は「東京オートサロン」で景気回復を実感しよう!

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
東京オートサロンに出展される日産の新GT500マシン 【写真:日産自動車】

新年明けましておめでとうございます。

2014年が幕を開けた。

今年はモータースポーツ界にとって、どんな1年が待っているのだろうか。リーマンショック直後から、自動車・バイクメーカーのワークス活動の撤退、エコカーへのプロモーション費用投資の影響で非常に厳しい状況が続いてきた。しかし、2年ほど前からモータースポーツ業界の不況は底を打ったと見られる動きが目立ちはじめ、いよいよ今年はモータースポーツ業界の完全復活に向けたV字回復の1年になりそうな予感がしている。自動車メーカー、バイクメーカー共に本格的なモータースポーツ活動再開に積極的な動きを見せ始めている2014年。年始は「Go! for 2014」と題し、今年のモータースポーツ界を沸かせてくれそうな話題をいくつかピックアップしていきたい。

まずVol.1は年初めのイベント「東京オートサロン」をピックアップしよう。

東京オートサロン 2013年会場の様子
東京オートサロン 2013年会場の様子

カスタムカーの祭典は過去最大規模に

お正月休みが終わると、今年も恒例のカスタムカーの祭典「TOKYO AUTO SALON 2014 with NAPAC(通称:東京オートサロン)」が幕張メッセ(千葉県)で開催される。会期は1月10日(金)から12日(日)の3日間だ。

「東京モーターショー」に比べると開催期間が短いが、東京ビッグサイトに移転してしまったモーターショーに対して、「東京オートサロン」は今年も幕張メッセで開催。しかも、幕張メッセ国際展示場ホール1から11に加えて、今年はイベントホールも加わり、昨年以上の規模になっての開催となる。入場者数も過去最高になった28万人(3日間合計)を超える事が期待される。

世間のエコカー志向で今や少数派になってしまったカスタムカー。しかし、それでも多くの業者が出展し、来場者は増える一方だというから驚いてしまう。特に「トヨタ86」が登場した2011年あたりからはスポーツカー好きの若者の来場も目立ち始め、会場は非常にエネルギッシュな空気に溢れている。

「東京オートサロン」は元々「東京エキサイティングカーショー」として1983年に始まったイベントで、1987年から「東京オートサロン」に名称を変更し、年々規模を拡大している。近年、特に目立つのは自動車メーカーの巨大ブースの展示だ。自社または系列ブランドのカスタムパーツを積極的に販売するようになった自動車メーカーにとって今やオートサロンは外せないイベントで、モーターショーへの出展とは異なる雰囲気の展示も見所だ。また、モータースポーツ活動のPRの場としても自動車メーカーはオートサロンを積極的に活用しており、多くのレーシングカーを一度に見れるチャンスでもあるので、モータースポーツファンは是非足を運びたいイベントになっている。

各メーカーのブースの展示を見ていこう。

日産は新GT500のGT-Rも展示

NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)をモータースポーツ活動の基盤として持つ日産自動車は「NISSAN GT-R NISMO」や「X-TRAIL X-TREMER Package Stretched」、「ELGRAND Rider High Performance Spec Black Line」など、日産の新しいカスタマイズの世界を提案するモデルを多数展示予定。

さらに、レーシングカーの展示にも注目したい。今シーズンより新規定に移行する「SUPER GT」のGT500車両となる「NISSAN GT-R NISMO GT500」が展示。開幕戦に向けてテストが重ねられている新GT500マシンを間近に見れるチャンスだ。より市販車のGT-Rに近づいたフォルムを持つマシンはきっと日産ファンやSUPER GTのファンの心を鷲掴みにしてくれるだろう。また、レーシングカーとしては他に、今年、「ルマン24時間レース」(フランス)に出場を予定している電力駆動レーシングカー「ZEOD RC(ズィーオッド・アールシー)」も展示される。

日産自動車「東京オートサロン」特設サイト

NISSAN GT-R NISMO GT500 【写真:日産自動車】
NISSAN GT-R NISMO GT500 【写真:日産自動車】

ホンダもGT500のNSXを展示

2015年からF1グランプリに復帰する本田技研工業。モーターショーでは新NSX・コンセプトやビート後継車のS660などが話題になったが、今回のオートサロンではやはり新GT500マシンとなる「NSX CONCEPT-GT」の展示に注目したい。このGT500車両の最大の特徴はレクサス、日産のFRレイアウトと異なるMRレイアウトの車両であるということ。さらに昨年GT300クラスでチャンピオンを獲得し、その実力を証明済みのレーシングハイブリッドシステムを搭載した車両だということだ。11日(土)と12日(日)の2日間は山本尚貴、伊沢拓也、小暮卓史らが出演するドライバートークショーも予定されており、気になるニューマシンの話が聞ける事も楽しみだ。

Honda NSX CONCEPT-GT 【写真:本田技研工業】
Honda NSX CONCEPT-GT 【写真:本田技研工業】

また、ホンダブースでは昨年、マルク・マルケスが見事ワールドチャンピオンに輝いたMotoGPマシン「RC213V」の展示の他、今年から始まる予定の軽自動車N-ONEのワンメイクレース用車両の展示も行われる。

本田技研工業「オートサロン」特設サイト

走る楽しみを伝えるGazoo Racingブース

トヨタ自動車は今年もオートサロンには「TOYOTA/Gazoo Racing」ブースをはじめとするブースを出展予定。TRDブース、MODELLISTAブース、G'sブース、AREA 86ブース、GAZOO Racing 86/BRZ Raceブースを一堂に集合させ、トヨタの幅広い車種ラインアップから様々なクルマの楽しみ方を提案していくとのこと。

ホンダ、日産とは少し異なり、乗って楽しむクルマを積極的に展示する「Gazoo Racing」。今のところレクサスの新GT500マシンの展示はアナウンスされていないが、「86/BRZ」レースに参加したマシンも多数展示される予定になっており、自分がレース参加者になることを頭に描きながらクルマを見るのも楽しいだろう。

Gazoo Racing ブースマップ

オートサロンで新情報ザクザク

モータースポーツ業界では「東京オートサロン」はいわば「賀詞交換会のようなもの」だと言われている。数多くのドライバーが来場し、自動車メーカーブースに限らず、様々なモータースポーツ関連企業ブースのイベントにドライバーたちが登場するのが恒例だ。そのため、金曜日のプレスデーで今年のモータースポーツ活動の発表が行われたり、イベントのトークショー中に最新情報が発表になることが多い。GT500のドライバーラインナップなどは2月、3月の各メーカーの活動体制発表会で明らかにされることが多いため、オブラートに包んだ話し方に終始することが多いが、そのメーカーのブースに出演する以上は2014年シーズンの期待をかけられた選手である証。リラックスムードでファンに挨拶するドライバー達とファンとの年始のコミュニケーションの場でもあるが、あまり突っ込んだ質問をされるとドライバーも困ってしまうのでホドホドに(というか、そこは今は言えない空気を読んであげよう)。

また、デモンストレーションランとしては、山本尚貴のドライブによる新しい「スーパーフォーミュラ」のマシン、SF14が走る他、毎年恒例となったラリードライバー新井敏弘の華麗なドーナツターンも見逃せない。あ、それに多数来場するキャンギャルも、という方は10日(金)に行われる「日本レースクイーン大賞」の表彰式もお見逃しなく。

とかくモータースポーツ関連情報が少なくなる年始のこの時期。シーズン開幕が待ち遠しくてウズウズしているなら、ぜひ足を運んで欲しい。

【TOKYO AUTO SALON 2014 with NAPAC】

1月10日(金)プレスデー/一般特別公開13:00-18:00

1月11日(土)9:00-18:00

1月12日(日)9:00-17:00

会場は幕張メッセ(千葉県/JR海浜幕張駅から徒歩)

公式サイト

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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