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佳子さま、ご心境の変化? 映像メッセージの「話し方やファッション」に昨年との違い 識者は

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
佳子さま(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、この2年、皇室の方々はリモートでの公務を行いつつ、スピーチが必要な時などは、あらかじめ撮影したビデオメッセージを出されることが多くなった。

 皇室の方々と国民が直接触れ合う機会がほぼ無くなってしまったのは残念ではあるが、その代わりメディアを通じて、ビデオ映像のメッセージをじっくりと拝見できるようになって、以前よりも皇室に親しみを感じている人も増えているような気がする。

 先月30日、佳子さまが「全国都市緑化祭」にオンライン出席された際も、ビデオメッセージという形を取ったのだが、それを見た友人から「佳子さまってあんなに落ち着いていらっしゃる方だったのね。素敵だったわ」と、感想が送られてきた。

 実は筆者も、その話し方や雰囲気などが以前と明らかに違っているという印象を受けていた。そこで本当に佳子さまが変わったのか、第三者の目で検証してもらった。

◆以前のスピーチとの比較

 パフォーマンス心理学研究の日本の第一人者で、ハリウッド大学院大学の佐藤綾子教授は、昨年10月の「国際ガールズメッセ」に寄せた佳子さまのビデオメッセージと、今回の映像を見比べた上で、こんな分析を寄せてくれた。

「去年のビデオは、ファッションもアクセサリーも初々しくて、完璧でいらっしゃいました。しかし、スピーチは上下に頭を動かし、フレーズとフレーズの間に規則的な間が入っていますね。これは間違えないようにリズムをとっている話し方ですが、聞き手との間に距離ができてしまい心に響きません」

 と、専門家しか分からない細かな特徴をとらえていた。

 では今年3月の「全国都市緑化祭」のスピーチはというと、

「洋服は緑のスーツで、落ち着いて地味になり過ぎてしまわないよう、パールのイヤリングとネックレス、ブローチは花のデザインで行事のテーマに沿っていました。スピーチも、フレーズごとに間を取ることはなくなり、声のトーンも変えられて、安心感と落ち着きが出ています」

 そして以前と違うことが、はっきりと表れていたのは、ビデオメッセージの冒頭、佳子さまの話し始めだという。

 見直してみると、今回のビデオメッセージで佳子さまは、最初に2秒ほど、無言でカメラを見つめ深々とお辞儀をし、それからゆっくりと話し始められた。佐藤教授によれば、そのしゃべらない沈黙の時間が「重み」を醸し出し、見ている人に気持ちが伝わるのだという。

 こうした変化に佐藤教授は、佳子さまのご心境の変化があったのではないかと分析する。

「皇室の一員として国民の信頼を得ることができるよう、自分がしっかりしたものを見せようという意識を強くお持ちになったのだと思いますね。これは私見ですが、愛子さまが成年になられたことも影響しているのではないでしょうか。佳子さまは7歳年上ですから、女性皇族として立派に務めを果たそうと、声の出し方や話し方などすべてを変えられたのでしょう」

◆はっきりと分かった変化

 他にも佳子さまの変化を感じていた人がいる。皇室ジャーナリストの山下晋司さんだ。

 宮内庁で報道担当として、多くの記者会見やおことばの場に立ち会ってきた山下さんだけに、その微妙な変化も感じとったのだろう。

「佳子内親王殿下の今回のビデオメッセージを拝見した時、声のトーンなどを意識的に変えられたと確信しました。昨年は、いままでと少し違うかなと思った程度でしたが、今回は明らかに変わっていましたね。落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと、一言一句、噛み締めるように話されていて、非常に良かったと思います」

 皇室の方々は、公的な場でスピーチをする機会が多く、その度にスピーチの出来について思いを巡らしていらっしゃるはずだ。

 佳子さまの変化は、以前よりも聞いている人びとの心に伝わるよう、試行錯誤を繰り返されている証しでもある。

 思い出すのは、初めての記者会見にあたって、陛下が愛子さまに話されたというアドバイスだ。一人一人の顔を見ながら、目を合わせつつ、自分の伝えようという気持ちを持って話していくのがコツだと助言され、愛子さまもそれを実践されたのだが、佳子さまもそんな思いを抱かれたのだろうか。

 意外にも、山下さんはこう分析する。

「愛子内親王殿下の影響ではないでしょう。頼りにしていた眞子さんが宮家を離れて米国に行ってしまわれたので、27歳の自分が悠仁親王殿下のためにもしっかりしなくてはいけないというお気持ちの表れではないでしょうか。佳子内親王殿下はフィギュアスケートやダンスといった、人にどう見せるかというスポーツをなさってきたので、ご自分の見せ方には以前から長けていらっしゃいました。スピーチのトーンなどを変えたのも、今までの可愛い女の子から、大人の女性に変える時期だと判断されたのだろうと思っています」

 確かに、佳子さまは努力の人である。フィギュアスケートやダンスはもちろん、学業においても大学に入り直し、自らの努力を厭わずに歩んでこられた。

 佳子さまと会った人びとを取材した際にも、公務にあたって事前資料を念入りに読み込むなど、誰もがその真摯な姿を語ってくれた。

 これからも佳子さまは、人知れず努力を重ね、国民の心に届くスピーチをされるのではないだろうか。

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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