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愛子さま初めての記者会見「生んでくれてありがとう」 あふれる両陛下への感謝

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
20歳の愛子さま(アフロ)

「母の『生まれてきてくれてありがとう』という言葉にかけて、私も『生んでくれてありがとう』と伝えたいと思います」

 そう話されたのは、天皇皇后両陛下の長女・愛子さま。3月17日の午後、成年皇族となられた節目の初めての記者会見で、記者から「ご両親にお伝えになりたい言葉は?」との問いかけに、愛子さまは母・雅子さまへの感謝の気持ちを述べられたのである。

 生まれてから今日までの20年間、ご両親である両陛下から注がれてきた、深い愛情への感謝のお気持ちが、「生んでくれてありがとう」という言葉にすべて集約されているように筆者には感じた。

 そして30分近くにも及んだ異例とも言える長い記者会見は、その言葉の一つひとつから、まさに愛子さまの誠実なお人柄がにじみ出ていらっしゃったように思う。

■笑顔で語られたご両親とのエピソード

 愛子さまは記者の質問に、言葉を選びながら具体的かつ丁寧に話されていた。

 中でもご両親との微笑ましいエピソードは、ご一家がどのように仲睦まじく暮らして来られたのか、はからずも愛子さまの内面に初めて触れたような、とても爽やかな印象をうけた。

 那須の御用邸で過ごされた夏休みのある日、愛子さまは縁側のソファでまどろんだまま、朝まで眠っていたという笑い話も、その背景にご両親の「そのまま眠らせておきましょう」という愛情が感じられた。おそらく雅子さまは、そっとブランケットをかけられたのではないだろうか。

 須崎の海では、サーフボートに3人乗れるかどうか、チャレンジしたところ、ひっくり返ってしまったお話も、ご一家の笑い声がこだまする楽し気な様子が伝わってくる。

 そして、こんなことも述べられている。

「両親は私の喜びを自分のことのように喜び、私が困っているときは自分のことのように悩み、親身に相談に乗ってくれるような、私がどのような状況にありましても、一番近くで寄り添ってくれるかけがえのない有り難い存在でございます」

 ご体調を崩された雅子さまを、陛下はプロポーズの際に「僕が一生、全力でお守りします」と約束した通り、傍に寄り添い支え続けた姿を、愛子さまもじっと見つめてこられたのだろう。

 ご両親の、お互いに労りあい、助け合って来られた日々の中で、愛子さまは人としての大切なものとは何かを学ばれたのではないかと思う。

 それがともに喜び、ともに悩む家族の良き関係性を生んだのではないだろうか。

■現在の興味と日々の暮らし

 去年秋、皇居の御所に引っ越され、愛子さまの生活環境が大きく変わられたことにも触れられた。

 天皇陛下と一緒に皇居内をジョギングしたり、家族3人でテニスをしたり、また職員相手にバドミントンやバレーボールを楽しんでいらっしゃるとか。

 そして、生き物好きの愛子さまらしい一面ものぞかせている。

「日々の生活では、緑豊かなところに住んでおりますので、自然には興味がございます。移居のあと敷地内を探索する時間がまだ十分にとれておりませんけれども、皇居にはどのような生き物が生息し、どのような生態系が広がっているのかということはとても気になります」

 ずっとワンちゃんや猫ちゃんを飼い、今も保護犬の「由莉」とともに暮らされている愛子さまにとって、命あるものが語り掛ける世界は、心を豊かにしてくれると感じているのかもしれない。

■愛子さまの未来

 これから先、成年皇族としてどのような分野に関わりを持たれていくのか、その点についても愛子さまは具体的に述べられている。

 東日本大震災の被災地で、友人がボランティアをしていることに触れ、愛子さまも被災地の復興に心を寄せていること、そして盲導犬や聴導犬といった働く動物たちの支援も行いたい旨を話された。

 皇室の一員としてのあり方を尋ねられた時には、父である天皇陛下を彷彿とさせるような生真面目な一面をのぞかせている。

「私は幼いころから、天皇皇后両陛下や上皇上皇后両陛下をはじめ皇室の皆様が国民に寄り添われる姿や、真摯にご公務に取り組まれる姿を拝見しながら育ちました。

そのような中で、上皇陛下が折に触れて仰っていて、天皇陛下にも受け継がれている、『皇室は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽をともにしながら務めを果たす』ということが基本であり、もっとも大切にすべき精神であると私は認識しております」

 巷間漏れ伝わっている、「聡明」で「誠実」な愛子さまのお人柄は、まさに事実であったと確信できるご発言に、誰もが感服したことだろう。

 成年皇族としての深いご自覚と強い責任感が、愛子さまの中に光り輝くように、しっかりと息づいていらっしゃるのだ。

 かといって、まだ大学生の身。

「小さい頃から人見知りのところがございますので、これから頑張って克服することができればと思います」

と、話されていた時には、ちょっぴりはにかんだ笑顔を見せて、それがとても可愛らしく、等身大の大学生であることを思い出させた。

 これからは、コロナ禍で楽しめなかったキャンパスライフを、愛子さまが一日も早く満喫できる日がやって来るよう祈らずにはいられない。

「愛子さまの素顔とは? 陛下のご学友が明かす、20歳になる前と後」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220322-00287694

「実は雅子さまのルーツは岩手に…知られざる被災地との繋がりは?」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220310-00285258

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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