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小室圭さんが説明文を公表、弁護士の見解は? 書くほどに言い訳に…との指摘も

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
眞子内親王殿下と小室圭氏のご婚約内定記者会見(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

■小室圭さんの文書を読んで

 小室圭さんの母・佳代さんと元婚約者男性との金銭トラブルについて、経緯を説明した文書が世間をざわつかせている。

 なにしろ、眞子さまとのご結婚が、多くの国民の祝福をもって受け入れられるのかどうかの瀬戸際に出された、A4サイズで28枚にも及ぶ労作である。

 内容に関しては、各メディアで詳細に報じられ、様々な分析と論評がなされているが、反応は芳しいものではないように思える。Yahoo!ニュースの関連記事をざっと見回しても、読者のコメントのほとんどが、小室さんに対して否定的だ。

 筆者も公にされてすぐに全文を入手し、できるだけ客観的に公平な第三者の立場で読み進めたのだが、最初に感じたのはやはりその長さであり、読み進めるうち、正直、自己正当化に終始する一方的な説明のような印象を抱いた。

 しかも文書の構成は、論理破綻を避けようとしたのだろう、論文的あるいは裁判に提出する申述書のように感じられた。とはいえ、あくまで小室さんの主観の範囲ではあるが、時系列に沿って丁寧に説明し、事実関係の判断について根拠を示そうとしている努力には、並々ならぬ思いが読み取れる。

 そこで筆者は、こんな疑問を抱いた。

 小室さんはアメリカで法律を学んでいるだけに、できるだけ合理的に説明しようとしているが、ならば、今回の金銭トラブルに関して裁判になった場合、勝てるのだろうか?…というものだった。

 そこで、筆者は丸の内のお堀を挟んで皇居を眺める瀟洒なビルに事務所を構える、「丸の内ソレイユ法律事務所」所長の中里妃沙子弁護士を訪ねた。

■弁護士の視点は?

 中里弁護士はすでに文書を読んでおり、経緯を十分把握した上で、筆者の疑問にこう答えてくれた。

「まず裁判になったら勝てるかという点については、この文書に書かれている内容は、ほぼ事実であろうとした場合、元婚約者の方が借用書など、明確な証拠がない限り小室さん側に有利に展開するでしょう」

と、結論づけたが、一方で「ただし」と注文がつけられた。

「”解決金”を渡すことで、それが借金の返済と思われることに拒否感を持っていたと書いてあります。しかし、解決金は和解のためのお金であって、借金の返済金という性格ではありません。本当に解決したければ、選択肢として排除すべきではないと思います」

 さらに、小室さんは、母親が婚約破棄をされたことによって傷つけられたことに対する慰謝料が生じると示し、元婚約者から受け取った金額との相殺についても言及している。これについて法的な整合性はあるのかと尋ねた。

「これは成り立たないと思います。一方的に婚約を破棄されたとすれば、確かに慰謝料が発生する場合もありますが、離婚でも慰謝料が大体150万~200万円が相場なんです。婚約破棄の慰謝料は、それよりもかなり低いわけですから相殺にはなりませんね」

 また文書の書き方についても中里弁護士は、こう語る。

「法律的に、小室さんはお金を返す義務はないかもしれないですが、書けば書くほど、言い訳を書いているんだなって思いますね。誠に残念なことです」

 もし弁護士さんやパラリーガル(弁護士の補佐事務員)がこういった文書をあげてきたら、中里弁護士はどう感じるのか?

「文章を書くには目的があり、はっきり物事を伝えたいときには長い文章は書かないほうがいいのです。余分なことが混じると、訳が分からなくなってしまいますから。一方、けむに巻きたいときは、長い文章を書きますね。小室さんは、なぜこんな長い文章を書く必要があったのかなと思います」

■小室さん文書の真意を推察

 最後に中里弁護士は、こんな指摘を投げかけた。

「この文書が出たことを知った時、私は小室圭さんと眞子さまの結婚が近いと感じました。秋篠宮さまや宮内庁長官から何らかの説明が求められていたので、それに応えたということでしょう。この文書によって明確に説明した上で、一連のトラブルに幕引きを図ろうとしているような印象を受けました」

 確かに西村泰彦宮内庁長官は、8日の定例記者会見で「非常に丁寧に説明されている印象だ」と評価し、「理解ができた」とべた褒めだった。

「これは既定路線の途中に置いておかなくてはならない布石だから、文書として説明を果たしたという、アリバイのようなものと暗に認めたのでは…?」

 文書を提出した真意は、中里弁護士の言う通りかもしれない。

 しかし、それで国民の祝福は得られるのだろうか?

 小室さんの法的な瑕疵は無いという主張よりも、元婚約者に対して「心から感謝している」という思いを可能な限り言葉を尽くして語り、眞子さまとの未来についても、責任ある考えを示してほしかったと筆者は感じた。

 そうすれば国民の心も氷解し、今よりも理解を寄せるのではないだろうか…。

続編「小室圭さん急転直下 解決金をめぐる180度変わった真意とは?」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20210413-00232488/

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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