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眞子さまのモデルケースは? 物議を醸した世界のロイヤルウェディングから考察

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
眞子さまご婚約内定についての記者会見(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 秋篠宮家の長女・眞子内親王の結婚問題をめぐって、ネット上には真偽のほどが分からない情報があふれている。その論調は、お相手の方のネガティブなものばかりで、個人的な意見としては少し気の毒な気がしてくる。それだけやんごとなき皇室の内親王殿下と、いわゆる何の肩書も無い一市民の若者の結婚は、いくつものハードルを越えていかなくてはならないということなのだろう。

 海外の王室に目を転じると、ハードルの高い結婚にまつわる数々のドラマが散見され、それらを紐解くことで、眞子さまのこれからを考えてみたい。

■愛する人と結婚するために王位を捨てた、イギリス王・エドワード8世

 イギリスのエリザベス女王の伯父にあたるエドワード8世は、1936年に国王に即位した人物だ。しかし、その在任期間は歴代最短のわずか325日。なぜエドワード8世は退位したのか。そこにはひとりの女性のために貫いた愛が隠されていた。

 皇太子時代、とあるパーティでエドワード8世は、離婚歴のある人妻ウォリスと出会い、たちまち恋に落ちてしまう。すぐに2人の恋は、マスコミにも知られ国民の大きな関心事に。

 エドワード8世はウォリスとの結婚を望んだが、いわば人妻との不倫であり、また離婚歴あるアバズレ女のようなイメージが先行し、イングランド国教会も国王の立場にある者が離婚歴のある女性と結婚することは認めず、世論の大多数が反対であった。やがてウォリスは夫と離婚し、法的には何の問題もなくなった。

 イギリス議会は結婚に強く反発したが、エドワード8世は「愛する女性の助けと援助なしには、重い責任を背負い、国王としての義務を果たすことはできません」と宣言。国王の座を捨てて市井の人となり、愛する女性との人生を選んだのだった。

 エドワード8世は77歳の時、末期の食道がんでこの世を去るまでウォリスと添い遂げた。死後、イギリス王室は2人の王室復帰を認め、遺体はウィンザー城近くの王室の墓地に埋葬されている。

■夫の誠意と努力で世論を動かした、スウェーデン王室・ヴィクトリア王女

 スウェーデンでは1979年に王位継承権が改正され、女性も王位につく権利が与えられた。これに伴って、長女のヴィクトリア王女が次期国王となる皇太子の立場となったのである。

 そのヴィクトリアが愛した男性は、通っていたスポーツジムの経営者で、トレーナーでもあったダニエルという、ごく普通の人物だった。学歴や経歴が素晴らしいわけでもなく、見かけがハンサムというわけでもない。この交際が発覚すると、将来の女王の結婚相手にふさわしくないと国民の大半が反対。

 そこで、ヴィクトリアの父、国王のカール16世はダニエルに結婚の条件を出した。それは、スウェーデン王室として必要な教養を身に付けることだった。

 ここからダニエルの目覚ましい努力が始まる。まず外見をイメージチェンジし、3か国語をマスター。国際マナーや立ち居振る舞いを身に付け、王室やスウェーデンの歴史や公務について徹底的に勉強。ダニエルは辛抱強く取り組み、約7年の歳月をかけて、国王から出された難題をクリアしたのだった。

 こうしたダニエルの想像以上の頑張りに、スウェーデン国民もヴィクトリアとの結婚を祝福。国王にも認められ、2010年に2人はめでたく結婚した。

 今では2人の子どもに恵まれ、夫婦二人三脚で公務に勤しみ、誠実な人柄で国民からの絶大な信頼を勝ち得ているという。

■眞子さまの場合は……

 今回取り上げたエピソードの中で、眞子さまのケースと酷似しているのは、スウェーデンのダニエル王子(皇太子と婚姻したことで王子となった)であろう。

 眞子さまのお相手の方も、現在、アメリカで弁護士になろうと奮闘中とのこと。時折、揶揄される留学経費などの経済的な問題はさておき、眞子さまの夫になるための努力を見える形で示し、国民の納得を得ることが必要だろう。ダニエル王子は約7年の時間を費やし、愛を貫いたのだ。

 彼の努力がどんな未来をつかむのか、眞子さまのためにも結論を急がず、じっくり見守って行きたい。

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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