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本当に結婚したいなら他の選択肢をなくすこと。過去に会った人の悪口をチビチビ考えている暇はありません

大宮冬洋フリーライター
「自分はとにかく結婚して幸せになる」と決めて、前を向いて走り続けるのが本当の婚活(写真:アフロ)

5つの結婚相談所と7名の婚活者が総当たり方式で面談したら「当たり前のこと」がわかった件

<一番聞きたいことはこれですか?と最初に聞いてくれたので、あらかじめ書いて送った相談内容とはやや異なることに悩んでいると話せた。その悩みをさらに具体的に聞き、私の長所を踏まえて何をしたらいいか提案くださり、今頑張らないといけない、と言われて無理なくそう思えた。温かみがあり、とても励まされた。>

 先週の23日(祝)、小さな結婚相談所の比較申込サイト「こんかつ山」と共同で、「婚活カウンセリング回転寿司」というイベントを企画した。結婚したい独身男女(以下婚活者)7名と5つの結婚相談所のカウンセラー(写真下)が総当たり方式で個別にオンライン面談するという内容。今回で2回目の開催だ。参加希望の婚活者からは事前に相談内容を提出してもらい、各相談所に渡しておいた。Zoomの「ブレイクアウトルーム」機能を使ったため、相談所も婚活者も参加無料だ。

 婚活者が相談所を比較する参考用に、以下の項目でカウンセリングを3段階評価してもらうことにした。「自分の相談内容を理解してくれたか」「アドバイスは適切だったか」「アドバイスは具体的だったか」「全体として好印象を持てたか」「前向きな気持ちになれたか」の5項目である。

 当日、カウンセリング時間は1つの相談所につき約10分間。婚活者全員から期限までに評価の回答をもらった。3段階評価のうち、「とても満足」を2点、「満足」を1点、「不満」を0点とした。5項目なので1名につき10点満点、7名全員から満点をもらったら70点に達する計算になる。

上段左から、YMAの高澤氏、筆者、しあわせ婚活Miyabiの加藤氏。中段左からRepreの村木氏(惜しくも準優勝)、ひまわりの城畑氏、Bridalチューリップの志水氏、下段はこんかつ山運営の新井氏。(筆者撮影)
上段左から、YMAの高澤氏、筆者、しあわせ婚活Miyabiの加藤氏。中段左からRepreの村木氏(惜しくも準優勝)、ひまわりの城畑氏、Bridalチューリップの志水氏、下段はこんかつ山運営の新井氏。(筆者撮影)

「私の話を聞いてくれていない」と思われたらカウンセリングは成り立たない

 冒頭のコメントは、61点を獲得して優勝を果たした結婚相談所、しあわせ婚活Miyabi(大阪府高槻市)の加藤広美氏が得た評価コメントの一例だ。ほとんど絶賛である。相談内容を事前に読み込んだうえで「ご相談の肝はこれですよね?」と確認することで、文章化できなかった本音を引き出すことに成功したようだ。

 参加してくれた5つの相談所が得た平均点は47点。前回よりは点数が上がったが、やはり厳しめ。ある参加者は、10点から0点まで相談所の評価をはっきり分けていた。

 ポイントは一番目の評価項目である「自分の相談内容を理解してくれたか」に尽きると筆者は感じた。10分間という短時間であっても「私の話を聞いてくれていない」と思われたらカウンセリングは成り立たないのだ。人と人との会話の基本、当たり前のことが評価を大きく左右した。

「自分は何に困っているのかをわかっていて相談しようと思ったこと自体が素晴らしいことだとまずお伝えしました。その時点で前を向いているのです」

 優勝者の加藤さんは淡々と語る。シングルマザーとして2人の息子を育て上げてから46歳のときに再婚した経験がある女性だ。数え切れないほどの失敗と後悔があるが、その人生経験を先達の助けを借りて冷静に振り返る時間を設けたらしい。それが結婚相談所のカウンセラーとしての強みになっている。

「男性も含め、どの方の相談内容も自分にも身に覚えがあるところを見つけられました。表面的なことではなく、その悩みに潜んでいる気持ちの部分です。例えば、根本的に自信がないことが原因の悩みだったり。私はもっとひどかったなー、と思いながらお話を聞いてアドバイスを考えます。自分が体験したことしか自信を持って話せませんから」

「女性よりも男性のほうが悩みを誰にも言えずに一人で抱えてしまっている傾向があります」と加藤氏。独身男性の相談にも積極的に乗っている。(写真提供:加藤氏)
「女性よりも男性のほうが悩みを誰にも言えずに一人で抱えてしまっている傾向があります」と加藤氏。独身男性の相談にも積極的に乗っている。(写真提供:加藤氏)

「他人と一緒に住める気がしない」のは独身時代は当たり前です

 自分の小さな成功体験を過大評価して他人に押し付けるのはダメなカウンセラーの典型例だ。正直に言って、筆者にはその傾向がある。この件に関しては生粋の関西人である加藤さんに叱咤された。

「成功体験なんて聞かされても面白くないですよ。やっぱり失敗体験のほうが面白いし共感してもらえます。今回の相談内容でも『機嫌良くいられない』という謙虚なものがありましたが、『私はずっと不機嫌だったけれど、それは他人のせいだと思っていました』と明かして笑ってもらいました」

 相談して心が軽くなったら、具体的に行動しなければならない。加藤さんによれば、今回の婚活者7名はいずれも自己分析ができていて、「あとちょっとの努力」が必要なのだと本当はわかっている人たちだ。逆転ホームランを打てる秘策ではなく、あとちょっとの努力。だからこそ現実的でしんどいのだ。

「他人と一緒に住める気がしない、という方もいました。一人でのんびり暮らしていたらそう思うのは当然です。私も離婚して子どもたちと暮らし始めてからは同じように感じていましたから。でも、覚悟をしてちょっとがんばってみたら、意外と一緒に住めるんです。『あなたもその努力ができない人には見えないよ』と伝えました」

 自ら結婚相談所を運営する加藤さんは、本当に結婚したいならば結婚相談所のシステムが良いと信じている。真剣に結婚したい人だけが集まっている場所に我が身を置くことが最も効率的だからだ。そのうえで大事な心構えがある。「他の選択肢を用意しないこと」だ。

「自分はとにかく結婚して幸せになると決めるのです。『仕事に生きる』とか『趣味に没頭する』などの選択肢を捨てられない人ほど、以前にお見合いをした人からこんなことを言われた、などとチビチビ考えています。結婚という目標に向けて走るならばそんな暇はないはずです」

 今までの生活を変えるのは誰でも怖い。しかし、他の選択肢を用意せず、一番しんどい「ちょっとの努力」を自らに課す――。人生の岐路で一歩踏み出すには必要なことなのだ。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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