Yahoo!ニュース

本当に好きだったら、フラれてしまう恐怖も受け入れられます~お見合いおじさん活動月報(27)~

大宮冬洋フリーライター
何度会っても、一歩踏み込む勇気がなければ先に進めません。イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。最近は、婚活講師のマチコ先生にも仲間に入ってもらっています。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、まだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をレポートします。

***

一番人気の今井恭子さん。6年ぶりの恋人ができて、卒業!

 今年も春がやってきましたね。僕の周辺からは「出会いの予感がして浮き足立ってきた!」なんて声が聞こえています。一方では、卒業式など別れの季節でもありますね。我がオネットからも卒業生が出ました! 2年前に僕がスカウトして入会した今井恭子さん(35歳)。先月から正式に交際を始めたということで、めでたく卒業です。

 原色を基調にした華やかなお洒落がよく似合う帰国子女の恭子さん。見た目とは違って押しが弱く、恋愛には受け身でした。「良さそうな男性から押してもらったら3回目ぐらいのデートで受け入れるけれど、すぐに価値観の違いが判明して別れてしまう」ことを繰り返してきた女性です。

「見た目が派手な分には構わないのですが、中身まで遊び人だとついていけません。私は地味な性格ですから」

 そんな恭子さんには男性を何人も紹介してきました。昨年末の募集(終了しています)でも恭子さんが一番人気だったんです。彼女は自分でも地道な婚活をしていて、昨年の秋には10歳年上の女友達から独身男性を紹介されたとのこと。1歳下の研究者、健吾さんです。

「文系の大学院に30歳までいて、今はアルバイトもしながら非常勤講師の仕事をしている人です。安定収入ではありません」

 一方の恭子さんは学部卒でずっと働いていて、転職もしてキャリアを積み重ねています。「正直言って、結婚しなくても飢え死にするわけではありません。だから、よっぽど好きじゃないと結婚する気にはなれません」

たくさん会いすぎちゃダメ。馴れ合いになる前に関係性をクリアにするべき

 健吾さんのことは初対面から「いいな」と思っていたと明かす恭子さん。デートにも誘ってもらったそうです。でも、恭子さんは相変わらずの受け身。お互いにたくさん話をして、手をつないで帰ったこともありましたが、その先に進むことはありませんでした。

「私が仕事で資料を作っていることを話したら、『こういうやり方はどうかな?』と一緒に考えてくれるんです。サイエンス本のどれを読もうか迷っていたら、全部に目を通した上でお勧めしてくれたり。私、こんな風に優しくされたことがないので感動しました。付き合う前に10回ぐらいデートしましたね」

 恭子さんと健吾さんのデートレポートをリアルタイムで聞いていたマチコ先生がたまらずにアドバイスをしたのです。「たくさん会いすぎ。馴れ合いになる前に関係性をクリアにするべき」だと。

 自分には粘り強さが足りず、傷つくのを恐れてあきらめてしまうことが多かったと反省した恭子さん。勇気を振り絞って、11回目のデートを誘ってきた健吾さんに返信しました。

<付き合うのでなければこれ以上会っても意味がないと思っています>

 健吾さんは慌てて対応。

<もう付き合っていると思っていた。改めて付き合おう>

 それが先月半ばのこと。めでたい結末ですが、健吾さんにはぐらかされてそのまま自然消滅してしまう恐れも十分にありました。恭子さんはなぜ一歩踏み込むことができたのでしょうか。

「本当に好きだったら、フラれる怖さを抱えながらも自分からはっきり言わなくちゃいけないんですね。マチコさんのおかげで自分の意識レベルを上げることができました」

 リスクを負って行動したことで6年ぶりの「ちゃんとした彼氏」ができたと微笑む恭子さん。誇りと喜びで美しく輝いています。本当に良かったね。恭子さんの実家近くの図書館でもデートしているとのことなので、ご両親と健吾さんが顔を合わせるのも時間の問題です。後は楽しく過ごしているだけで結婚へと自然と進むのではないでしょうか。オネットには戻って来ちゃダメだけど、相談にならいつでものりますよ!

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

あなたを結婚させたい! オネット&マチコの超実践的婚活道場

税込2,970円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

大宮冬洋が自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる、お見合いおじさん活動「オネット」(大宮ネットワーク)の舞台裏をご紹介。オネット会員の匿名のプロフィールやお見合いの様子、成婚&退会者インタビューのほか、チームメンバーの婚活講師マチコ先生による婚活必勝アドバイスもお届けします。また、本連載の購読者は無料オプションとして、会員とのお見合いを希望することもできます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

大宮冬洋の最近の記事