平均年齢61歳。自殺も多い。「孤独死」の正体とは?

孤独死は高齢者だけでない(写真:アフロ)

高齢の単身世帯が増えることで心配される「孤独死」。自治体でも、65歳以上の単身世帯への見守りを行うなどサポートが広がっています。しかし、5月17日に発表された日本少額短期保険協会「第4回孤独死現状レポート」では、「孤独死」は高齢者だけの問題でないことが強調されています。

■「孤独死(孤立死)」とは?

内閣府「平成29年版高齢社会白書」の中には、「孤立死(孤独死)」についての記述があり、「誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される死」と説明されています。公式には「孤立死」という表現が正しいようですが、ここでは「孤独死」を使わせていただきます。

「孤独死現状レポート」内では、孤独死について「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」と定義されています。1人暮らしの人が自宅内で亡くなり、しかも亡くなっていたことが後で見つかる状態が「孤独死」のようです。

内閣府の定義には“自宅内”とは明記されていませんが、同じ資料内で孤独死と考えられる件数を「1人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」としていることから、場所は同じく自宅内を想定していると考えられます。

なお、「孤独死現状レポート」では賃貸住宅オーナー向け保険を扱う保険会社からデータを集めているため、「賃貸住居内」における孤独死限定のデータです。

■60歳未満も4割。自殺の割合も高い

レポートによると、孤独死の平均年齢は61歳と比較的若く、高齢者でない65歳未満の孤独死が5割を超えています。60歳未満はおよそ4割というのも驚きです。

男女比ではおよそ8:2で、女性の4倍も男性の孤独死が多いことがわかります。

孤独死者の死因では、原因不明を除けば、病死に次いで多いのが自殺で、男性10.2%、女性16.3%を占めています。一般の死因に占める自殺の割合は男性2.1%、女性0.9%(厚生労働省「人口動態統計(2017年)」)であることから、孤独死の原因として、自殺の割合が高いことがわかります。

実は、孤独死における深刻な問題は、自殺が多いことだとレポートで指摘されています。特に、自殺による孤独死は20代~30代の女性で多いという特徴もあり、何かしらの対策は必要です。

■孤独死が多い時期は?

季節によって孤独死が発生しやすい時期があるのでしょうか。

同レポートによると、7月が最も多く、次いで1月、8月が多いものの、年間を通じてさほど大きな違いはないようです。7月、8月は暑さが厳しくなって熱中症が増える影響もあり、また、1月はインフルエンザが流行ったり、寒暖差による血圧のトラブルなども起きやすい時期だからでしょうか。

■発見までの日数は平均17日

レポートによると、孤独死から発見されるまでの平均日数は17日。3日以内の早期発見は40.2%、30日以上経過する割合は14.3%です。女性の方が早期発見が多めで、男性の方が長期化しやすい傾向があるようです。

第一発見者は、多い順に次の通り。

<第一発見者>

・不動産の管理会社・オーナー

・親族

・福祉(ケアワーカー・配食サービス・自治体・配達業者・ガス電気等の検針員等)

・他人(「異臭」や「郵便物の滞留」で発覚)

・友人

・警察

何かの時に気にかけてくれる友人などを作っておくことの大切さがわかります。

高齢単身世帯に対しては、自治体が乳酸菌飲料や弁当を手渡ししたり、緊急通報装置の貸与、定期的な訪問をするなど、すでにサポートを行っているところも少なくないですが、若年層の1人暮らしには特にサポートはありません。SNSなどで安否確認をし合う友人なども作っておくと安心です。

■孤独死による損害額

最近は、「特殊清掃」という職業が知られるようになってきました。孤独死をした人の部屋を片付け、清掃をして元通りにする仕事です。

レポートでは、実際の損害額のデータも集計されていますが、残置物処理費用の平均額が約21万円で、最高額は約178万円。原状回復費用の平均額は約36万円で、最高額は約416万円でした。

<残置物処理費用>

平均214,120円(最高1,781,595円)

<原状回復費用>

平均361,392円(最高4,158,000円)

このほか賃貸住宅ならではの未納家賃などもあり、こうした負担は、連帯保証人や借り主の相続人にあるとされます。しかし、亡くなった人に遺産がないと、相続人が相続放棄をする可能性もあります。となると、賃貸住宅内での孤独死による損害は、賃貸住宅オーナーが負担せざるを得ないケースもあります。

こうしたリスクに備えるため、賃貸住宅オーナー向けの保険や特約があります。賃貸住宅内での孤独死や自殺、犯罪死によりオーナーが被る損失や清掃・遺品整理等にかかる費用が補償されます。

逆に、1人暮らしをする人が、自分が孤独死をして遺族に迷惑をかけたくないという時に、賃貸人用の火災保険に付ける特約(孤立死原状回復費用保険)などもあります。

あるいは、100万~500万円程度の死亡保険(定期保険など)に入っておくのも1つの方法かもしれません。ただし、生命保険には3年程度の自殺免責がある点は知っておきましょう。

■孤独死は今後も増える?

孤独死が増える背景には、単身世帯の増加があるとされています。

厚生労働省「国民生活基礎調査(平成28年)」によると、単身世帯とその予備軍である夫婦のみの世帯は、2016年時点ですでに全世帯の半数を超えています。2040年には6割を超えるという推計もあります(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2018年推計)」)。そのため、孤独死はまだ増加していくかもしれません。

世界で見ると、日本の単身世帯の割合34.5%(2015年)はイギリス以外のヨーロッパの国々より低めです。日本だけが特別「孤独」になっているわけではないようです。

【参照】日本少額短期保険協会「第4回孤独死現状レポート」

【関連拙著】「ひとり老後を快適に暮らす本」(共著)