Yahoo!ニュース

定年後、年金、給与以外に得られる副収入ベスト5、シニア300人に聞いてみた

斉藤徹超高齢未来観測所
定年後、年金、給与以外に得られる副収入は何か(写真:イメージマート)

定年を迎え、サラリーマン生活をリタイアすると、基本的には公的年金が生活の基本収入となります。しかし、年金だけに頼り切りの生活はいささか、不安も感じるものです。

改正高齢者雇用法により、現在、多くは65歳までは働き続けていますが、それを過ぎてもアルバイトや短期雇用など、何らかの形で働き続ける人の数が増え続けています。65歳以上の就業率は2006年以降一貫して上昇し続けており、2022年では25.2%と高齢者の4人に一人が働き続けています。

近年就業率が高まり続けている理由としては、定年年齢を過ぎても元気で働き続けたい意欲があることに加え、年金プラスアルファの収入を得たいと考える人々が増えているからでしょう。

そして、これ以外にも副収入を得ている人々がいます。年金、給与以外の副収入を得ているシニア300人に、副収入の具体的な内容や、副収入の使い道について聞いてみました。

まず、シニアの副収入ベスト5をご紹介します。

第5位 シルバー人材センターからの収入

第5位 シルバー人材センターからの収入
第5位 シルバー人材センターからの収入提供:イメージマート

第5位はシルバー人材センターでの働きによる副収入でした。シルバー人材センターは、高齢者が働くことを通じて、生きがいや地域の活性化に貢献することを目的に設立された組織で、多くの市町村に設置されています。おおむね60歳以上であれば加入することができます。仕事内容としては、短期、軽易で高齢者に向いた安全な仕事が提供されています。今回のアンケートでの回答数は少数でしたが、地域における社会的意義も高い仕事もあり、もっと注目されるべき副収入の獲得手段だと思います。

第4位 家賃・不動産からの収入

第4位 家賃・不動産からの収入
第4位 家賃・不動産からの収入写真:イメージマート

第4位は、家賃・不動産収入で、アパート経営や駐車場、土地の賃貸などを通じての収入です。多くの方が取得時期を5・60代と回答されていましたので、ここからは推測になりますがご両親から資産を受け継がれた方も多いのではないかと思います。マンションやアパート経営は、老後においても安定的な収入をもたらしてくれることで注目される副収入手段ですが、自己資金で投資する場合は多額の資金が必要とされること、資産が老朽化した場合には維持管理コストが嵩むこと、空室となった場合のリスクなど、そのメリット・デメリットを考慮した上で投資判断する必要があるでしょう。

第3位 個人年金保険からの収入

第3位 個人年金保険からの収入
第3位 個人年金保険からの収入写真:イメージマート

第3位は個人年金保険です。個人年金保険とは、老後に必要な生活資金に対して、公的年金(国民年金、厚生年金など)に上乗せし、補完する目的で自分自身が準備、加入する保険です。保険契約者は毎月一定額を積み立て、あらかじめ決めた一定の年齢(60歳や65歳)に達した時点で、年金もしくは一括という形で資金を得ることができるものです。20年もしくは30年など一定期間積み立てる必要があるため、多くの人は3・40代から保険に加入しています。個人年金保険には、金額が確定している「定額型」、受取金額が変動する「変動型」、受取期間が10年、20年などの「有期タイプ」、一生受け取れる「終身タイプ」など、さまざまなタイプがありますので、自分の老後の生活イメージにあったタイプを選ぶことが大切です。

第2位 ポイ活による収入

第2位 ポイ活による収入
第2位 ポイ活による収入写真:アフロ

第2位はポイ活です。ポイ活とは、さまざまな方法でポイントを貯める活動で、キャッシュレス決済やポイントサイト、アプリの活用でポイントを貯め、貯めたポイントは買い物に活用したり、マイルに交換することが可能です。今回の調査もポイントが貯まるインターネットのオンライン調査であることからも、ポイ活が高い順位になったと想像できます。最近では、歩くだけでポイントが貯まったり、ゲームをするだけでポイントが貯まるなど、手軽でさまざまなバリエーションが広がっています。大きく稼ぐことは困難でしょうが、リスクも少なくスキマ時間を利用してお小遣いを得る手段としてシニアの人気を得ているものだと思われます。       

第1位 株式など投資活動からの収入

第1位 株式など投資活動からの収入
第1位 株式など投資活動からの収入写真:イメージマート

第1位は株式の売買、投資信託などへの投資からの収入でした。今回、回答頂いた300人中、16%の48名の方が、投資活動と答えられました。ただ一口に投資とは言っても、積極的に株の売買を行いキャピタルゲインを得ようとする積極派タイプと、株式を長期間保有して配当金を得る穏健派タイプに分かれると思いますが、おおむねこれは半々くらいに分かれていました。

来年から新NISAが始まり、最大利用額が増加し、非課税保有期間が無制限になるなど、さまざまな投資メリットが拡大します。これを機に投資活動にチャレンジしてみるのも良いきっかけかもしれません。また今回、投資と回答頂いた方のほとんどは男性で、女性の方はごくわずかに留まっていました。しかし、今後自分のお金は自分で守る時代になってきます。「わからない」といって何もしないのではなく、今後は「投資を学ぶ」姿勢が大切になってくると言えるでしょう。

以上でランキングベスト5の紹介は終わりですが、これ以外の副収入活動としては、「メルカリやジモティーなどのフリマへの出品」なども複数回答がありました。これは、投資とは逆に女性の回答が多かったですが、自宅の断捨離を兼ねてこうしたフリマサイトへの出品なども、副収入を得る効果的な手段と言えるでしょう。

その他のユニークな副業としては、

・会社の顧問契約(78歳・男性)

・退職前に勤務していた会社からの業務委託(73歳・男性)

・個人事業主としてビジネス研修講師(78歳・男性)

・夫が農業をして野菜を直売所で販売(67歳・女性)

・鍵盤楽器曲をギタータブ譜に編曲したシートを売っている(66歳・男性)

・太陽光発電の売電(68歳・男性)

・占い師(65歳・男性)

などがありました。こうした副業は、誰もができるというものではありませんが、現役時代のキャリアを重ねる中で可能となるものや、趣味を通じて特殊な才能を伸ばすといった方法が副業につながることを教えてくれます。

副収入の使い途について

さて、こうして得た副業収入をシニアの人たちはどのようなことに活用しているのでしょうか?ざっと回答を分類してみると、

・「貯蓄、再投資」

・「食費、生活費、小遣い」

・「趣味、旅行、レジャー」

と、おおむねこの3パターンに分類できました。投資と回答した人では、「貯蓄、再投資」、ポイ活や不動産収入、個人年金は、「食費、生活費、小遣い」と回答された方が多いように感じました。

人生100年時代と言われる昨今、老後の自分の身の安全を守るのは自分しかいません。老後の金銭的不安を少しでも解消するためにも、こうした副業への備えが今後ますます重要な時代になってくるでしょう。

※本件はオンラインアンケートの「ミルトーク」を使い調査。60歳以上の男女300人からの回答をもとに分析いたしました。

超高齢未来観測所

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

斉藤徹の最近の記事